暖かくなる季節を前に静かな水冷PCの現状を探る――NEC Direct「VALUESTAR G タイプX/タイプC」(1/2 ページ)

» 2006年03月24日 17時50分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

水冷PCに注力するNEC Direct

 メーカー製水冷PCの歴史をひもとくと、元祖という意味では2002年に発売された日立製作所のノートPCが浮上する。一方、デスクトップPCの先駆けはNECのVALUESTARシリーズだ。同社の水冷PCの歴史は3年ほど遡る。2003年5月に“世界初”のメーカー製水冷デスクトップPCを発表し、話題を集めた。その後もNECは継続的に水冷PCを発売しているが、今やその中心は同社の直販PCが担う。

 2000年7月、NECの直販PC部門として前身の121@storeが産声を上げ、2004年2月に現在の名称に改めたNEC Directだが、本社の直轄部門となってからの動きは精力的だ。デスクトップPC/ノートPCともにオリジナルモデルを相次いで投入しているほか、最近は周辺機器として携帯プレーヤー「VoToL」がリリースされたことも記憶に新しい。

 ダイレクトPCらしく、基本的にどのモデルもBTOが可能で、自分の好みや予算に応じて構成を選べる。また、店頭モデルにはないハイスペックな構成や、TV機能を省いて安価に抑えることもできるなど、豊富な選択肢を持つのも特徴と言えるだろう。なお、NEC DirectのPCは店頭モデルと区別する意味で、デスクトップPCのVALUESTAR/ValueOne、ノートPCのLaVieともにGという型番が付けられている。なお現在のラインアップにおいて、水冷PCはハイエンドのVALUESTAR G タイプXと、スリム型のタイプCという2モデルが用意されている。まずはこの2モデルの共通項から見ていこう。

ハイエンドモデルのVALUESTAR G タイプX(左)と、ミドルレンジに位置するVALUESTAR G タイプC(右)

歴代の水冷PCで30デシベル以下の騒音レベルを維持

 VALUESTAR G タイプX/タイプCは、水冷ユニットという点で見ると第3世代にあたる。同社の水冷PCには「騒音レベルの平均値が30デシベル」という独自の製品化基準が設定され、歴代の水冷PCは常にそのレベルをクリアし続けている。当然、その間もPCの性能は進化し続けているにもかかわらずだ。

 ご存じのとおり、ここ数年はCPUやグラフィックスチップの発熱量増加によって、静音性を維持しながら冷却性能を確保するのが非常に難しくなってきている。例えばデュアルコアで高クロックのCPUと、高性能なグラフィックスカードを搭載したハイエンドデスクトップPCや、ゲーマーPCとうたわれるホワイトボックスPC/自作PCは、静音性を犠牲にして性能を優先することも多い。その相反する静音性と性能をうまく両立したのが水冷PCとなるわけだ。

 2003年、同社が初めて水冷PCを投入したときに開発スタッフにインタビューしたのだが「もし、アイドル時に騒音レベルが30デシベルを超えてしまうようになった場合は水冷PCを発売しない」とコメントしていたのを覚えている。それ以降も水冷PCは着実リリースされており、そうしたメーカーの努力は素直に評価に値すると言えよう。

水冷ユニットは異なるが、マザーボードは共通の仕様

写真はタイプXに内蔵されている水冷ユニットで、水冷ジャケットをはじめ、ポンプやリザーブタンク、ラジエータなどで構成される

 気になる水冷ユニットであるが、タイプXとタイプCではこのユニット自体が異なることが考えられる。それが冷却性能の差になって現れている。実際、タイプCで選択可能なCPUの上限は2.80GHz駆動のPentium D 820(TDPは95ワット)であり、タイプXで選択できる3.20GHz駆動のPentium D 840(TDPは130ワット)が用意されていない。

 これはタイプXとタイプCで冷却ファンやラジエータの形状が異なっているほか、タイプXではラジエータをケース外部に出し、電源ユニットの排熱と分離させた余裕のある作りになっているが、タイプCはケース内部にラジエータを設置する。この違いが冷却性能の差につながったと見ることができる。

 もちろん、水冷ユニットが異なっていても騒音レベルは同社の規定以下に抑えられており、両モデルとも起動していることが分からないほどだ。筆者が静音対策を行って自作したPCが、明らかにうるさいと感じられる。筆者の場合は大型の冷却ファンを低速回転で駆動させたり、HDDに静音カバーを付けたりといった対策を行っているが、グラフィックスカードがGeForce 6800 Ultra搭載モデルのため、このカードが高負荷時に発する冷却ファンの風切り音がいかんともしがたいのである。「必死で考えて自作したのにメーカー製PCにかなわないとは...。次回は水冷にチャレンジしよう」と言うのが正直な感想だ。

左がタイプXの水冷ユニットで、手前がラジエータ、奥が電源ユニットとなる。ラジエータの表面積はタイプCよりも広い。また、どちらにも12センチ角の大型ファンが1基ずつ装着されており、タイプCよりも冷却効率が高いのがうかがえる。右のタイプCはラジエータが本体に内蔵されており、電源ユニットに1基、ラジエータに2基の8センチ角の排気ファンが取り付けられている

 一方、マザーボードは両モデルとも共通で、チップセットはグラフィックス機能を内蔵したIntel 945G+ICH7Rだ。メインメモリはDDR2 SDRAM(PC2-4200)で、同容量のメモリモジュールを2枚装着すればデュアルチャンネル動作が可能である。タイプX/タイプCともにBTOメニューでは256M〜2Gバイトまで選べるようになっている。ただ、Intel 945G Expressの仕様では最大4Gバイトまでサポートするが、マザーボードにはDIMMスロットが2基しか用意されていないため、両機とも最大搭載量は2Gバイト(1Gバイト×2)までとなる。

 マザーボードの形状は独特で、横長のメインボードにライザーカードでPCIスロットが供給される。メインボードにはPCI Express x16とライザーカード用の2基のスロットが並び、エラー検出用のLED表示ユニットを実装している点が目を引く。PCIスロットを備えたライザーカードはタイプXとタイプCで違っており、前者がPCI Express x1×1、PCI×3で構成され、後者がPCI×3のみとなる。加えて、タイプCは内部にゆとりがあるのだが、タイプXは3.5インチシャドウベイがある関係で、長さ18センチを越えるPCIカードは1基しか装着できない。

 また、グラフィックスカードを取り付けるPCI Express x16スロット部分にも相違が見られる。タイプCではロープロファイルのみとなるのに対し、タイプXでは2スロットを占有する高性能なグラフィックスカードも装着可能だ。このあたりは明確な線引きがされており、興味深い。ちなみに、どちらのモデルともメモリスロットに干渉するためPCI Expressのカード長は20センチ以下で、タイプXは厚さが40ミリ以下のグラフィックスカードに限定されるのは覚えておきたい。

左上がマザーボードで、タイプX/タイプCともに共通だ。右上は拡張用のライザーカードで、PCI Express x1のスロットを備えた左側がタイプX、右側がタイプCとなる。下段はケースカバーを外した状態で、左がタイプX、右がタイプCだ。前者が豊富な拡張性をウリとする半面、内部はやや窮屈になっている
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