UMPC、9万9800円で日本に登場

» 2006年04月04日 13時12分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは4月4日、「Ultra-Mobile PC」(UMPC)の国内展開計画を明らかにした。まずTablet PCメーカーのPBJが同日から9万9800円(税込み)で予約を受け付け、14日に発売する。特に教育市場を重視し、ペン操作や携帯性をいかして小学校などへの導入を進める。

photo UMPC日本第1弾となる「SmartCaddie」

 何年か前、PocketPC(PDA)とフルWindowsマシンとの間のギャップに気付いた」──こう話す米Microsoftのビル・ミッチェルWindowsモバイルプラットフォーム部門担当副社長によると、UMPCはそのギャップを埋めるフォームファクターとして開発された。「携帯電話と同じように有用な、どこでも使えるプラットフォーム」に育てたい考えだ。

 日本ではPBJが第1弾「SmartCaddie」を発売する。40GバイトHDDやタッチパネル付き液晶ディスプレイを備え、重さはバッテリー込みで860グラム、228(幅)×146(奥行き)×25.1(厚さ)ミリと「女性のセカンドバックに入るサイズ」(PBJの高橋正敏社長)。コンシューマー向けに大手量販店で販売するほか、法人向けにはSI事業者などのパートナーを通じて提供していく。

- SmartCaddie
OS Windows XP Tablet PC Edition 2005
ディスプレイ 7インチ(800×480ピクセル)広視野角タッチパネル
CPU VIA C7-M ULV/1GHz
メモリ 512Mバイト
HDD 40Gバイト
通信 無線LAN、Bluetooth
その他 USB×2、内蔵スピーカー、各種オペレーションボタン&スティック
サイズ 228(幅)×146(奥行き)×25.1(厚さ)ミリ
重さ 860グラム
価格 9万9800円(税込み)

 10万円を切る価格は「頑張った」(高橋社長)という。ミッチェル副社長は「日本にはバイオUがあったが、値段が高すぎた」と指摘し、UMPCは想定価格設定を抑えて普及を図っていく姿勢だ。

 マイクロソフトは「きょう発表できたのが1社だったということ。大手メーカーも協業の視野には入っている。積極的なメーカーもいる」として具体的には明かさなかったが、国内他社からも新製品がリリースされる可能性があることをほのめかした。

文字入力を支援する「ダイヤルキー」

 MSが定めたUMPCの基本仕様は以下の通り。

  • 重さ:0.9kg以下
  • スクリーンサイズ:7インチ
  • タッチパネル、無線LAN、Bluetoothをサポート
  • バッテリー駆動時間:2.5時間以上
  • ハードディスク容量:30〜60GB
  • プロセッサ:Intel Celeron M/Pentium M、VIA C7-Mを内蔵

 さらにWindows XP Tablet PC Edition 2005とタッチパネルを搭載。いわゆるTablet PCのほとんどは電磁誘導式デジタイザを搭載しており、筆圧感知も可能な専用ペンを使って操作するが、指は使えない。これに対しUMPCは感圧式などのタッチパネルを採用しているため、指を使ってWindowsを操作できるのが特徴だ。

 さらに「タッチパック」ソフトをプリインストールし、タッチパネル使用時のユーザーインタフェースを改善している。

photo プログラム起動ツールには任意のソフトを登録できる

 タッチパックには、ワンタッチで各種ソフトを起動できる「プログラム起動ツール」や、Windows Media Playerの各ボタンを大きくして操作しやすくした専用スキン、米国でも大人気の「数独」のほか、文字入力に使える「スクリーンキーボード」が含まれる。

photo 米国でも「Sudoku」として大人気のパズル。手書きした数字を自動認識する機能を備えた

 スクリーンキーボードは、ハードウェアキーボードを持たないUMPCの文字入力を補助する機能。オンにすると、半円形にキーを配列したソフトウェアキーボード「ダイヤルキー」が画面の左右に現れる。ユーザーはゲーム機のコントローラを操作する要領で、親指を使って文字を入力できる。

photo 文字入力はペンのほか、「ダイヤルキー」とタッチパネルを使って親指でも可能になっている。写真のOutlookのように、スクロールバーを太くしてタッチパネルで操作しやすいようにカスタマイズすることも可能になっている
photo キーを指で叩くとクリック音が出て、打鍵感を感じさせるようにしている。ダイヤルキー表示はバッググラウンド画面に対する不透明度を設定できる

子どもで学校から自宅に持ち運べるUMPC

 3月の発表時にはコンシューマー向けAVデバイスとしての側面が目立ったが、日本市場で力を入れるのは教育市場。Tablet PCの3年半の経験がいかせる市場でもあり、市場調査時には教育関係者の関心が高かったという。

 国内初の活用事例として、今月開校した立命館小学校(京都市北区)が採用する。3年生4クラスのうち1クラスを対象に1人1台、計33台のUMPCを試験導入し、自宅でも学校と同様の環境で学習を進められるようにし、学習意欲や効率の向上を図っていく。

 同小にはTablet PCも導入するが、「Tablet PC製品はビジネスマン向けに設計されており、小学生が教室から家庭に持ち運ぶには大きさ重さの面で厳しい」(マイクロソフトの飯島圭一ビジネスWindows製品部シニアプロダクトマネージャー)ため、UMPCのような小型デバイスが望まれていたという。

 また早期パートナーとして小学館、学研、日本漢字能力検定協会、アルク、アドバンスト・メディア、IEインスティテュートが賛同。小学館は「100ます計算」などの反復学習法で知られる「陰山メソッド」のネット展開にUMPCを活用する予定で、9月から正式サービスを始める計画だ。

photo 小学館が始める「電脳陰山メソッド」

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