PC本体は、新型液晶用の独自端子を除けば、ほかのVALUESTAR Lスタンダードタイプと同じ筐体となる。スペックはCPUがCeleron D 346(3.06GHz)、512Mバイトのメインメモリ、250GバイトのHDD、そしてDVDスーパーマルチドライブという構成だ。このスペックはエントリー機の「VL500/FG」と同じで、シリーズ最上位機としては物足りない印象を受ける。だが、先述のとおりCeleron Dでも処理能力が不足することはないし、むしろスペックを控えることで、デジタル放送対応チューナーを搭載した新型液晶を付属しながら実売で28万円程度に抑えているのは好印象だ。
ただし、より大容量のデータを扱うハイビジョン映像録画に対応した製品としては、HDD容量が250Gバイトというのは心もとない(せめて1つ下のモデル「VL590/F」と同じ400Gバイトくらいは搭載して欲しかった)。また、メモリも512Mバイトというのは、起動時にすでに400Mバイト近いメモリを消費し、さらにAVアプリケーションを活用することが前提の本製品としてはあきらかに不足しがちだ。スワップファイルの発生により、結局のところ動作は重くなるので、購入時にはメモリ増設を勧めたい。その場合は512Mバイトのモジュールを増設することで装着済みのメモリがデュアルチャンネル動作となり、より高い処理能力が期待できる。
なお、本体にTVチューナーカードを搭載しないということは、わざわざサイズの大きいVALUESTAR L スタンダードタイプと組み合わせる必然性は、従来のTVモデルに比べると薄くなっているわけで、今シリーズで投入されたスリムタイプでもこの液晶をセットにしたモデルを期待してしまう(もちろん、ラインアップ上の位置付けや価格面で開きがあるのを承知の上だが)。
OSにはWindows XP Media Center Edition 2005が採用され、録画データの再生やオンライン上の動画コンテンツの視聴がリモコン操作で簡単に行えるようになった。また、USB接続のFeliCaポートも付属し、EdyカードによるオンラインショッピングやSuicaカードの履歴確認が行えるなど、よりネットを活用しやすい環境が整った点も見逃せない。従来どおりのソフトチョイスにも対応し、ユーザー好みのソフト環境を構築しやすいのも魅力だろう(体験版が多いため、機能をフル利用するには製品版の購入やオンライン上からの有料アップデートが必要)。
本製品の価格は実売でおよそ28万円前後と、デジタル放送対応機としては比較的安価な部類に入り、しかもそのTV機能は現在のPCではトップクラスと言える。VALUESTAR Lが持つ初心者向けソフトやサポートも健在で、とくに家族を中心にデジタル放送対応TVとPCを購入したい入門者には間違いなくお勧めできる製品だ。
ただ、デジタル放送に対応した同社製品としては、実売30万円前後の価格帯で液晶一体型モデル「VW770/FG」がラインアップされている。比べてみると、HDD容量や省スペース性ではVW770/FGが勝るが、液晶ディスプレイの機能や解像度、そして本体の拡張性ではL970/FGがリードしており、どちらも甲乙付けがたい。あえて用途で区別すると、主にリビングに設置して液晶TVとして利用するならVW770/FG、TV機能だけでなくPCとして文書作成などの実用アプリケーションも頻繁に使うなら本製品が向いている。いずれにしてもそれぞれ高い満足感を得られるに違いない。
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