超小型モバイルにBlu-ray、フルHDノート、地デジ──VAIOシリーズが担う「Quality」への自信(2/2 ページ)

» 2006年05月16日 22時20分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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世界初Blu-rayドライブ搭載ノート「VAIO type A」

 VAIOシリーズ2006年PC夏モデル第二弾の大きなポイントは、満を持して発表された感のあるBlu-rayドライブ搭載+Blu-rayディスクへのHD映像ムーブ対応のモデルを投入したことだ。

 次世代光メディアドライブを搭載する2006年PC夏モデルは、富士通がデスクトップPC「FMV-DESKPOWER TXシリーズ」(TX95S/D)にBlu-rayドライブを、ノートPC「FMV-BIBLO NXシリーズ」(NX95S/D)にHD DVDドライブ搭載モデルを、同じく東芝もHD DVD搭載の地デジ対応AVノート「Qosmio G30/697HS」を投入しているが、ノートPCへのBlu-rayドライブ採用は、今回のtype Aシリーズが2006年5月現在で世界初となる。なお松下電器産業は、PC用Blu-rayドライブとしてノート用スリムタイプのモデルも投入するが同社製ノートPCへはまだ採用されていない。

 VAIO type Aのテーマは「Hi Quality all in one」。Blu-rayドライブ、フルHD(1920×1200ドット)表示対応液晶パネル、新開発デジタルチューナー、HDMI端子搭載、大容量HDD(RAID 0構成でHDD2基を内蔵可能。最大240Gバイト)、出力SN比約107デシベルを実現する高音質スピーカー、最薄部33.5ミリ/光沢ブラック基調/軽量マグネシウムボディ構成の薄型デザインなど、昨今のノートPCが備えられる・望まれる機能をほぼまかなう“全部入り”構成となっている。店頭販売される標準仕様モデルを2機種、CTOによるカスタマイズ注文が行えるVAIOオーナーメードモデル(VOM)モデルに4機種のベースモデルを用意する。価格はオープン、予想実売価格はフルHDパネル搭載の「VGN-AR70B」で40万円前後。

 フルHD表示に対応する17インチワイドクリアブラック(ピュアカラー)液晶パネルに、LCDモジュールの厚さを従来モデル採用の10ミリから7ミリに薄型化した同社独自の高色純度を実現するパネルを新たに採用し、画質を向上させながら薄型軽量化を実現した。ノートPCで初となるBlu-rayドライブは、フルHD液晶パネル採用のハイエンドモデル「VGN-AR70B」に標準で搭載、ほかVOMのベースモデル2機種において搭載の有無を選択できるようになっている。

 また、VOMのベースモデル「VGN-AR90PS」および「VGN-AR90S」の2モデルにおいて、新たに開発された同社製小型デジタル放送チューナーの有無を選択できる。この構成により、地上デジタル放送をフルHDで視聴、HD画質でHDDに録画、録画したハイビジョン画質のままBlu-rayディスクへのムーブ(BD-RE)が行える。ちなみに片面1層のBlu-rayメディア1枚に約2時間分の地上デジタルハイビジョン放送が記録可能である。さらにHDMI端子を標準で備え、本機とHDMI対応家庭用テレビと接続できるようにもなっている。

photophoto フルHD表示対応の17インチワイド液晶ディスプレイを搭載する。本体天板もつやのあるブラックカラーが施され、プレミアムな印象を与える

photophoto 本体左側にBDドライブを搭載する。HD DVDドライブを搭載する東芝「Qosmio G30」はドライブが前面にあり、かつスロットインタイプとメディア出し入れが行いやすい仕様だが、VAIO type Aは幅をとる横長のボディであり、かつドライブも側面トレイタイプなので、実使用時にはやや操作しにくいかもしれない

Blu-rayで強化されたハイビジョン映像編集対応の地デジデスクトップ「VAIO type R」

 デュアルコアCPUと大容量のメモリ搭載、バンドルする映像・画像編集ソフトの豊富さが特徴のハイビジョン映像編集対応のデスクトップモデルが「VAIO type R」だ。

 ノートモデルのtype Aと同様にBlu-rayドライブを搭載し、ほかアドビシステムズ製高機能映像編集ソフト「Premiere Pro 2.0」(VCG-RC72DP)、ペガシス製カット編集ソフトTMPGEnc 4.0 XPressを中心とする「TMPGEnc for VAIO」、HDV編集対応の「VAIO Edit Components 6」、HDV映像取り込み用ソフト「DVgate Plus」など、ハイビジョン映像の取り扱い・編集用バンドルソフトがとくに充実している。予想実売価格は、19インチ液晶/BDドライブ/デジタルチューナー/Pentium D 940/500GバイトHDD搭載の「VCG-RC72DPL9」で約44万円。

 店頭用の上位2モデルには地上デジタル/BSデジタル/110度CS放送対応のデジタルチューナーが標準で備わり、Blu-rayメディアへのハイビジョンムーブ(BD-RE)が行える。BD-ROM再生にも対応し、再生ソフトであるインタービデオ「WinDVD BD for VAIO」が付属する。なおVGC-RC72DPにはHDCP対応DVD-Dに加えDVI-I端子/S映像出力端子を備える、GeForce 7600 GT搭載グラフィックスカードを採用するが、NVIDIAの映像再生支援技術「PureVideo」によるハードウェアデコードには対応しない。BD-ROM含むハイビジョン映像は現状、ソフトウェアデコードにより再生される。ソフトウェアデコードのため同社によると、BDでサポートするH.264 AVCやVC1フォーマットの再生時にはコマ落ちが発生する可能性もあるとしている。

 VOMモデルにて、Pentium D 960(3.60GHz)を含む4種類のCPU、最大3Gバイト(1Gバイト×2+512Mバイト×2構成)までのメモリ容量、RAID構成にも対応する最大1Tバイト(500Gバイト×2)のHDD、19インチまでの液晶ディスプレイ計7機種(デジタルチューナー/BDドライブ搭載時はHDCP規格対応の3機種)などのメニューを設け、カスタマイズオーダーも可能となっている。

photophoto BDドライブ+デジタルチューナー+デュアルコアCPU+ハイビジョン映像編集ソフトを備える「VAIO type R」。HDV撮影データを取り込み、ハイビジョン編集し、BDメディアへハイビジョン画質のまま記録できる。上位モデルにはPremiere 2.0/VAIO Edit Components 6.0操作用のUSBジョグコントローラが付属する(写真=右)

photophoto HDCP対応DVI-D端子搭載のGeForce 7600 GT/256Mバイト搭載グラフィックスカードを搭載(VGC-RC72**)する(写真=左)。BD-ROM再生も行える再生ソフト「WinDVD BD for VAIO」が付属する(写真=右)

文庫本サイズの超小型モバイルPC「VAIO type U」

 「文庫本を持ち歩くように、いつも携帯して欲しい」。重量520グラム、4.5インチワイド液晶パネルを採用するWindows XP+インテルCentrino準拠のUltra Mobile PCが「VAIO type U」だ。2002年に発売した「バイオU」におけるコンセプト“両手に持ったままの操作性=モバイルグリップ・スタイル”を継承し、さらに進化させたモデルとして投入する。

 奇しくもマイクロソフトとインテルによる“Origami”ことUMPCの規格に対抗するかのようなその仕様は、CPUにIntel Core Solo U1300(1.06GHz)、512Mバイトメモリ、30GバイトHDD、1024×600ドット表示対応の4.5インチワイド液晶パネルを搭載する、Windows XPマシンとなる。ほか、IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN、Bluetooth、指紋センサー、FeliCaリーダー(ポートリプリケータに搭載)、イン/アウトのツインカメラを搭載し、150(幅)×32.2(高さ)×95(奥行き)ミリとなる文庫本ほどのサイズと約520グラム(標準バッテリー搭載時)の重量、そして3.5時間(標準バッテリー搭載時)のバッテリーライフを実現する。石田VAIO事業部門長はOrigamiについて「ソニーは以前からUMPCを発売していたという自信があり、type Uはそこでやってきたことをより進化させただけだ。そこにたまたま同じようなコンセプトを持つOrigamiが出てきただけにすぎない。そのため、いい/悪いと述べるものでもない」と述べ、同社らしい独自の機能や特徴を持って開発し、投入できる強みをとくに強調する。

 両手で持って操作するスタイルというOrigamiのコンセプトと同じく、type Uもソニー流の特徴ある操作インタフェースをいくつも備える。type Uの“U”は、ソニーによると「Ultra mobile」「Ubiquitous」「User Friendry」の意味が込められている。本体を下から見るとキーボードパネル部がU字状になっておりバッテリーの出っ張りとともに左右にグリップ機能を持たせる、ディスプレイはその凹部にスライド機構を設けて収納できるようにする、握って指を置く位置にマウスポインタやランチャーメニュー「VAIOタッチランチャー」起動のためのボタン類がちょうどある、などコンパクトさとスマートな使い勝手を実現するデザインやボタン類の配置は絶妙だ。

 type Uの特徴的な操作インタフェースに、タッチセンサーによるランチャーメニュー「VAIOタッチランチャー」と、付属スタイラスでジェスチャー操作を行う「VAIOタッチコマンド」、スタイラスで直接書いた文字を認識する「NextText」とソニーエリクソン製携帯電話で知られる予測変換機能「PObox」などがある。

 VAIOタッチランチャーは、ネット/メール/音楽/地図/ゲーム/カメラなど重要機能を指の操作で呼び出せるメニューだ。指で押せるほどのサイズのボタンインタフェースが表示され、アプリ起動から表示回転(縦表示)、音量・輝度調整などが行える。

 もう1つはVAIOタッチコマンドだ。スタイラスで上下、左右方向、マル、V字/逆V字を描くようなジェスチャーによりさまざまな操作を可能とするものとなる。搭載アプリケーションをブラウザ/マルチメディア系/そのほかの3タイプに分け、それぞれにジェスチャーによるコマンド割り当てられる。例えば左方向へ直線的にジェスチャーすると「ブラウザの戻る」、左からV字型にジェスチャーすると「アプリケーション終了」といった操作が行える。

 “いつでも持ち運ぶ”をテーマとするtype Uならではの機能として、アルプス製の地図ソフト「プロアトラス2006 for VAIO」が付属し、イン(有効31万画素)/アウト(同131万画素)2種類のカメラも内蔵する。専用の別売りオプションとなるBluetooth GPSユニット「VCG-BUG1」(5月27日発売/予想実売価格:1万8000円前後)との併用により、本機をナビゲーションシステムとして活用したり、GPSで取得した位置情報をカメラ撮影時に付加する/その写真データをプロアトラス2006上にドラッグ&ドロップし、位置登録や写真表示を行うといった連携動作させる機能も有する。

 Bluetooth 2.0+EDRを標準で備える本機向けのオプションに、A2DP(オーディオ再生)/AVRCP(AVコントロール)/HSP(ヘッドセット)/HFP(ハンズフリー通話)プロファイルに対応するBluetoothオーディオコントローラ「VGP-BRM1」(ホワイト・ブラック 5月27日発売/予想実売価格:約1万円)も用意される。消しゴムほどとなるサイズと、スタンバイ時200時間/オーディオ再生時5時間のバッテリーライフ、好みのヘッドフォンを活用できるステレオミニプラグの実装が特徴だ。本機のほか、Bluetooth対応の携帯電話やカーナビなどでも使用できる。

photophoto 1024×600ドット表示対応の液晶ディスプレイ搭載にて、細かい地図データも精細に表示できる。ポートリプリケータにはFeliCaリーダーも備わっている(写真=右)

photophoto イン/アウト、2つのカメラを内蔵する。静止画のほか、320×240ドットのWMV形式の動画撮影も行える(写真=左)。7.4ボルト/5200mAhの容量を持つ7時間駆動の大容量バッテリー「VGPBPL6」も用意する。大容量バッテリー搭載時は重量630グラムとなり、バッテリーを搭載する右側がやや出っ張る形となる(写真=右)

photophoto オプションのBluetoothタイプのGPSユニットとA2DP対応のオーディオレシーバー。VGP-BRM1はtype UだけでなくBluetooth搭載携帯電話などにも活用できる。また、リモコン端子を搭載するウォークマン向けにピンプラグアダプタ付きのレシーバー「VGP-BRM1D」をソニースタイルで販売予定としている

 また石田VAIO事業部門長は今回のtype Uをベースに、HDDに変えて16GバイトタイプのNAND型フラッシュメモリを採用するノースピンドルtype Uを6月末に発表することを明らかにした。フラッシュメモリの採用により、軽量さや高速起動の実現が期待できる。さらに「具体的な計画は今のところない」としながらも、フラッシュメモリ採用の通常型ノートPCの投入も示唆している。

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