オフィスに置けば“獅子奮迅”――ADF標準装備でさらに使いやすくなった「PIXUS MP830」(1/2 ページ)

» 2006年05月30日 16時45分 公開
[榊信康,ITmedia]

SOHO向けにADFを標準装備

 キヤノンは今春、「PIXUS」シリーズ拡充の一環としてインクジェット複合機2製品を投じている。このうち上位機「PIXUS MP830」は、昨年10月に発売されたホームユース向けモデル「PIXUS MP800」と同等のプリントエンジンを踏襲しつつ、ADF(オートドキュメントフィーダー)とFAX機能を標準搭載したスモールオフィス向けの製品だ。

 MP800の派生モデルではあるが、SOHOユーザーをターゲットにしているため、液晶モニターが3.5インチから2.5インチに小型化されるなどいくつかの変更がある。その中でも特に目を引くのがスキャン機能だ。MP800がスキャナ圧板にFAU(透過原稿ユニット)を装備していたのに対して、MP830ではADFを装備している。これによりフィルムスキャンには非対応となるが、大量の書類を効率よく電子化できるようになった。

 ADFの対応用紙サイズはA4/レター/リーガルで、A4とレターは35枚、リーガルは30枚までの給紙が可能。A5やB5用紙については1枚ずつの給紙で対応するとのことだが、筆者が試した限りでは複数給紙でも問題なく使用できた。おそらく“できない”のではなく、メーカーの品質や動作保証のラインをクリアしていないということなのだろう。若干の傾きなどを気にしない原稿なら、いっぺんに給紙してしまうほうが楽である(もちろん自己責任が前提だが)。

透過原稿ユニットが省かれた代わりに自動両面印刷ユニットが新設されている。大量の書類を印刷するオフィス用途で真価を発揮する

 ただし、ハガキなどの厚みがある原稿ではミスフィードが多発するので、素直に1枚ずつ給紙するのが無難だ。また、両面コピー/スキャンでは対応外のサイズだと当然ながらエラーが出る。そのほかの注意点としては、原稿台スキャンでは光源の最適化によって原稿の“テカリ”を抑え込めるが、ADFではかなり破綻してしまう。さすがにADFで写真や光沢紙をスキャンする人はいないだろうが、カタログなども避けたほうがよい。

 一方、解像度や入出力ビットなどに変更はない。光学系には2400/600dpiのデュアルCCDシステムを採用する。MP800だと高精細スキャン用(主にフィルムスキャン)に2400dpiのCCD、コピーなどの低解像度スキャン用に600dpiという振り分けだったが、MP830では原稿台が2400dpi、ADFは600dpiと使い分けている。

コピー/スキャンベンチマーク
原稿台からのコピー(片面/カタログ)
はやい 10秒7
標準 30秒5
きれい 59秒8
ADFでのコピー(両面/カタログ)
はやい 1分0秒2
標準 2分38秒6
きれい 3分48秒3
原稿台からのスキャン(片面/カタログ)
プレビュー 5秒5
300dpi 6秒9
600dpi 23秒3
1200dpi 2分11秒2
ADFでのスキャン(両面/カタログ)
プレビュー 不可
300dpi 21秒5
600dpi 1分5秒3
ADFでのスキャン(片面/カタログ5部)
プレビュー 不可
300dpi 41秒3
600dpi 2分7秒9

 専用CCDを搭載したためか、ADFでのコピーとスキャンはなかなかに高速だ。右に掲載したベンチマークの結果を見れば分かるように、原稿枚数が増えるほど時間的なメリットが出てくる。また、ADFは作業にともなうユーザの負担を解消するという利点もある。原稿を裏返したり入れ替えるためにPCや複合機のそばで待機している必要がなくなり、コピー/スキャン中の時間を有効に活用できるのだ。

 スキャンボタンの機能もなかなか凝っている。通常のスキャナや複合機のスキャンボタンは、PCのTWAINドライバやアプリケーションを起動する程度の機能しか持たないが、MP830のスキャンボタンはPCへのデータ保存も行える。PCへのデータ保存はJPEGまたはPDF形式から選択可能だ。もちろん、従来と同様にメール添付やアプリケーションへのデータ転送などの選択肢も用意されている。こと細かな設定は無理だが、添付の「MP Navigator」を使ってボタン押下時のアクションをPCからあらかじめ設定することはできる。地味ではあるが、いちいちPCに触らずとも複合機側だけで作業が終始するので煩わしさがない。

 なお、コピー機能はMP800と同じだが、両面コピーには専用のボタンが追加されており、このボタンで両面コピー専用のメニューを呼び出す仕様だ。

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