専用ハードによる素因数分解に初成功 NICTと富士通

» 2006年09月01日 16時50分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)、富士通、富士通研究所は9月1日、専用ハードウェアを使った素因数分解実験に世界で初めて成功したと発表した。素因数分解は、広く普及しているRSA暗号の原理に使われており、解読可能性の検証を進めることで将来の安全性の強化につながるとしている。

 素因数分解アルゴリズム「一般数体ふるい法」をベースとし、ふるい処理を専用ハードで行い、線形代数処理と平方根計算処理をソフトで行う実験システムを構成。入力可能数は最大で768ビット。

 素因数分解プロジェクト「Cunningham Project」から未分解の423ビット(10進法で128けた)の数を選び、システムを約1カ月間稼働。62けたと66けたの素因数への分解が完了した。

 RSA暗号はSSLなどで広く使われている暗号技術。素因数分解ができれば暗号は解読できるため、RSA暗号の安全性を確認するためには「素因数分解がいかに難しいか」を検証する必要がある。これまでソフトによる実験は多く行われてきたが、専用ハードによる実験は初めてという。

 現在、一般的にRSA暗号の鍵として使われているのは1024ビット。実験ではこれより小さい数を分解したため、「現実のRSA暗号がただちに解読できることを示すものではない」としている。今後、アルゴリズムを改良し、高速化した場合の解読可能性を分析することが課題としている。

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