第1回 果たしてWindows Vistaはテイクオフできるのか?元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(2/2 ページ)

» 2006年06月13日 08時30分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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アップグレード版Windows Vistaのゆくえ

 アップグレードにあまり熱心でない証拠なのかどうかは分からないが、実はこれまでMicrosoftがリリースしたWindows Vistaのベータリリースで、アップグレードインストール(既存のOSの設定やデータなどを引き継ぐインストール)は一度もサポートされていない。一応、アップグレードインストールのボタンはあるのだが、毎回グレーアウトされ、利用できない状態にされている。それは5月のWinHEC 2006で配布されたビルド5384でも変わらず、6月8日に一般リリースが始まったβ2版で、ようやくWindows XPからのアップグレードが行えるようになったほどだ。

6月8日に一般公開されたβ2で、ようやくWindows XPからのアップグレードインストールが可能になった

 公式にはWindows Vistaは、32ビット版のWindows XPから32ビット版のVista、64ビット版のWindows XPから64ビット版のVistaへのアップグレードをそれぞれサポートすることになっている。言い換えれば、たとえハードウェアがx64対応であっても32ビット版のWindows XPがインストールされた環境を64ビット版のWindows Vistaへアップグレードインストールすることはできず、すべてクリーンインストールとなる。また、将来的にもこの機能が提供されることはどうやらなさそうだ。32ビットOSと64ビットOSでデバイスドライバ間に互換性がないことを考えれば無理からぬところだが、いつでも好きな時に64ビット環境へ移行できるというx64のうたい文句は、色あせた印象が否めない。

 32ビットから64ビットへの移行は脇に置いても、1度もアップグレードインストールの検証を行っていない、というのは異常な事態だ。おそらくそれをやろうとすると、開発チームがパンクしてしまうのだろう。Windows Vistaでは、再びユーザーモードドライバが導入されるなど、32ビット−32ビット、64ビット−64ビットの移行でさえもデバイスドライバの互換性が問題になりそうな部分が多くある。アップグレードインストールを行うと、あまりにも多くの問題が上がってきて忙殺されてしまうからなのだろう。それでも、製品候補版(いわゆるRC)をリリースするまでに、アップグレードインストールの検証はどこかで実施しなければならないハズだ。

 こうした事情だけでも、11月の製造工程向けリリース(RTM)というのは、かなり楽観的なスケジュールではないかと思う。現実には、パフォーマンスチューニングの問題(本連載で触れることになるだろうが、現時点でAeroをまともに動かすには、かなりハイエンドのシステムが必要になる)、ドライバサポートの問題など解決しなければならない課題はたくさんある。これから半年足らずの間、超人的な開発努力によりスケジュールを守ることができるのか、注目されるところだ。

元麻布春男氏のプロフィール

フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。


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