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» 2006年07月26日 11時00分 公開

PC周辺機器売場の歩き方:第2回:製品型番で「メーカーの事情」を知る (2/2)

[後藤重治,ITmedia]
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メーカーの思惑が製品の型番に表れる

 型番は、一見機械的に付けられているように見えて、実はその製品がそのメーカーのラインアップ展開でどのように位置づけているかという思惑がはっきりと表れていることが多い。

 例えば「**-001」「**-002」といった具合に、末尾に3ケタの連番がついた製品が発表されたとする。これらの型番からは、このシリーズが将来的に3ケタを超える豊富なラインアップを想定していることが読み取れる。発表されたラインアップがごく少数であったとしても、型番を見れば今後の展開が予告されているに等しいわけだ。また、例えば型番の最後に「HG」とか「L」という文字列がついていれば、従来モデルとの上下関係を表している場合が多い。例えば「HG」はハイグレード、つまりラインアップで最上級の位置付けであることが多いし、逆に「L」はLow PriceだったりLightだったりと、どちらかというと廉価モデルであることが多い。

 もし「HG」のつくモデルが店頭で特価処分されている場合、「いい物が安く」であることが多いので、ハズレの確率はやや低いと言える。逆に「L」のつくモデルが安く販売されていても、もともとが下位グレードであるため魅力はそれほどない。通常製品に比べて目に見えない部分でコストダウンが図られていて、使っているうちに綻びが出てくる場合があるからだ。たとえ製品について十分な知識がなくても、こうして型番からある程度のことは読み取れるわけだ。

イレギュラー型番=従来製品に不具合?

 このほかにもいろいろなことを型番は教えてくれる。例えば、製品の品質に何らかの不具合や継続困難な事情が発生して早期に対策品を発売しなくてはいけなくなった場合、従来の製品型番の後ろに「A」や「N」といったアルファベットをつけて投入することが多い。従来製品とのすみやかな入れ替えが必要な場合に新旧の製品で型番がまったく変わってしまうと混乱を招くため、なるべくシンプルな型番である必要があるのだ。ロードマップ上にある本来の予定にある新製品の型番に影響を与えないためにも、イレギュラーな型番をつけざるを得ないという理由もある。

 「A」や「N」といったアルファベットがついた型番とつかない型番が存在している場合、アルファベットのつかない型番は何らかの不具合があって生産終了の憂き目を得た可能性が高いことになる。製品としての機能差はほとんどないのに、アルファベットなし型番が大幅値引きされている場合はなおさら疑わしい。新旧モデルの発売時期がやたらと近い場合も要注意だ。

 では逆に、純粋に数字が増えただけの型番はどうか。これは単純に後継モデルと見るべきであり、たいていの場合は問題ない。ハイエンドモデルの「***-9000」という製品があったとして、「***-9100」「***-9200」といった具合に新製品ごとに100刻みで数字が増えているのであれば、これは製品ロードマップに則った改廃であり、旧型番を購入してもリスクは低いと言える。

 しかし、これらの型番のルールを無視して、いきなり「***-9000A」「***-9000N」といったアルファベットつき型番や、小刻みな「***-9010」といったマイナーチェンジ的な型番が割り込んでいる場合は要注意だ。わざわざイレギュラーな型番を投入せざるを得なかった「何らかの」理由がウラに潜んでいると考えるのが妥当である。

型番の由来を知って「ハズレ」のない製品購入を

 誤解のないように言っておくが、本稿で言及している「不具合」というのは、リコールに及ぶようなレベルの品質不具合ではない。ルータにおいて特定のプロバイダ環境下においてスループットが低下するとか、USB機器で特定の製品と組み合わせるとハブ機能が使えなかったりとか、そういったレベルの話である。それらの不具合内容をきちんと把握したうえで購入するのであれば、なんら問題はない。

 ただ、初めて購入するジャンルの製品で、製品についての理解度が低い場合などは、これらの型番に着目することで、「ハズレ」を引くリスクを回避することができる。型番のつけ方はメーカーによって千差万別であり、いかなる場合もこの記事で紹介した話が役立つとは言い難い。しかし、製品の知識がゼロであっても役に立つテクニックなので、覚えておいて損はないだろう。

 そんなわけで、冒頭のクイズの答えは「買うのであれば2割引のITM-100N。半額処分になっているITM-100は要注意」ということになる。ハードウェア製品が5割引にもなれば原価割れを起こしていることはほぼ確実なので、特価になっているウラにはそれなりの理由があると見たほうが妥当だ。

 PC周辺機器メーカーによっては、型番の由来をカタログやWebで公開している場合もある。思いがけない意味がみつかる場合もあるので、興味があればチェックしても面白いだろう。

後藤重治氏のプロフィール

大手PC周辺機器メーカーでマーケティングや販促・広報を担当したのちフリーに。現在は製品レビュー執筆のほか、メーカーに対するコンサルティングを手掛ける。今回紹介した方法でしょっちゅう特価品を買いまくるから、部屋の中が周辺機器だらけなのが悩みと言えば悩み。


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