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» 2006年08月14日 14時00分 公開

山谷剛史の「アジアン・アイティー」夏休み番外編:リアルなメイドさんを中国で雇ってみた (2/2)

[山谷剛史,ITmedia]
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2人め、40歳女性、住み込み、月給1万円、勤務期間28日

 1人めが辞めて家族だけの生活に戻る。正直いえば少々ほっとしたが、その一方で、いざ、人手がなくなると掃除をしてくれるメイドさんだけでもほしくなってくる。前回は若いメイドさんで苦労したので、今度は人生経験のある女性はいかがかと漢族の女性を2人めとして雇ってみた。40歳と身分証明書に書いてあるが日本人ならば50代の外見はメイドさんというよりは家政婦さんだ。彼女はBさんとしておこう。

 Bさんは仕事が実によくできる。掃除洗濯子守りまで経験者だけあってそつなくこなす。子守り、とくにあやし方は筆者の家族も学ぶべきことが多くて感服する。ただそんなBさんにも問題があった。Aさん以上に大食漢で口が悪いというの問題ではあったけど、なにより、人生経験が豊富なだけあって中国社会の荒波をうまく乗りこなすために非常に計算高い、いや、実に狡猾で賢いのだ。

 Bさんは太ってはいない。しかし、筆者の倍はご飯を食べる。食事時に最も多く食べるのが家政婦。これでいいのか。“口の悪さ”も困った問題だ。筆者の家族に対しては言わないが、TV番組を見ていると、つねに罵声を飛ばし「げっへっへ」と笑っている。幼い息子が真似したらちょっと困る。

 しかし、それよりもなりよりも「狡猾」であることが困るのであった。雇った最初のうちは「人の見ないときに実にうまいこと手を抜いていた」Bさんは、なにかあったらすぐに解雇できる査定期間を過ぎて正式に雇用されたとたんに手抜きが本格化して、同じ部屋で赤子がいくら泣こうが昼寝を当たり前のようにするようになったのである。

 これに困った筆者は、契約期間更新の1カ月前に「なぜ仕事しないのかとBさんに聞いてみた。彼女は体調がよくないからという。「具合が悪いなら帰っていいですよ。その代わり会社に支払ったあと数日分の給料は金返してね」と遠まわしに解雇通達すると、Bさんは嬉しそうに荷物をまとめて家を出て行った。たしか体調が悪いということだったのに、数日後には新たな家で家政婦として働き始めている。

家族の前ではてきぱきと窓掃除をする家政婦風メイドのBさん

3人め 15歳女性、中等学校中退、住み込み、月給5000円、勤務期間2カ月〜

 2人めのBさんが辞めた。人生経験が豊富になると人は生きるために狡猾で姑息になることを彼女は筆者に教えてくれた。ならば「原点に回帰しよう」ということで、農村から出てきたばかりの純粋無垢なメイドさんを雇うことにした。ちょうど1人めの女性を紹介してくれた会社から「いま農村から出てきたばかりの女性がいる」というのでその女性を雇うことにした。彼女はCさんとしておく。Cさんも漢族だ。

 「社会に出て勉強したい」といって故郷の中学校を中退して街に出てきたという。標準中国語である北京語が話せないのが息子の守役としてネックになる。息子が標準語が話せない外人になってしまったら、まるで「中国版ダニエルカール」だ。しかし、それは息子が言葉を話せるようになってから対策を考えることにしよう。

 とにかく細いCさんは、田舎でジャガイモと青野菜とごくまれに肉料理を食べるくらいで、ほかの食材は食べたことがないという。そんな彼女は筆者の家族と一緒に食事をすると、普通の中華料理なのに「これ食べたことがないから食べれないです」と拒食反応を示す。たまには贅沢に日本料理を食べましょうというときも異形のブツは絶対に食べられないだろう。痩せている上に食事もとらないので、「肝炎か!」と心配してしまう(後日病院でチェックして問題ないことが判明)。

 家事を手伝ってくれるメイドさんといいながら、掃除機や洗濯機はおろか電話やTV、ガスレンジもない農村の家から出てきたCさんは、乳児も扱ったことがないため子守も頼めない。まだ何もできないCさんに雇い主はイチから家事の仕方を教えている。先に雇った二人と違って真面目なのが唯一の救いだ。

 真面目で純粋、口を挟まず物静かで、それでいて気が利き、失敗すれば泣きそうになるくらい真摯に反省する。今までの雇ったメイドさんの中では一番よさそうだが、しかし、身体が貧弱すぎたためか何するにしても仕事が遅い。野菜の皮むきや掃除にしても筆者の数倍は時間がかかる。ゲームやアニメのキャラクターなら思いっきり人気がでそうでが、現実世界のメイドさんとしては「これじゃ、仕事遅くて使えない。頼むからさっさとやってくれ」というのが雇い主の本音である。冷静に考えればそういうもんでしょう? でも、とりあえずは将来への投資ということで今も家で働いてもらっている。ひょっとすると「うぶでかわいいドジッ子を有能なメイドさんに育てていく」というリアルな育成ゲームといえるかもしれない。

「若い」「純真」「泣き虫」と典型的なメイドキャラのCさんは限度を超えた「とろい」メイドでもあった
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