米Apple Computer主催の開発者カンファレンス「Worldwide Developers Conference(WWDC)2006」が米カリフォルニア州サンフランシスコで、8月7〜11日(現地時間)まで開催された。ここでは、同カンファレンスで発表されたばかりの新製品「Mac Pro」と「Xserve」についてまとめた。
ついに姿を現した最強のMacこと「Mac Pro」の特徴を一言でいえば、「パフォーマンスと拡張性を重視したハイエンドMac」と表現できるだろう。恒例のPower Mac G5とのベンチマークテスト比較で「2倍高速」とAppleが強調するように、パフォーマンス面でのアップグレードに目が行きがちだが、真にMac Proで注目すべきは、その拡張性にある。分かりやすいポイントで言えば、光学式ドライブを最大2基搭載可能になった点と、HDD用のドライブベイを4基備え、最大で2Tバイトまで容量を拡張できる点だ(500GバイトのSerial ATAドライブを4基内蔵した場合)。また、PCI Expressスロットを4本並べ、レーンの割り当てをソフトウェアで切り替えられるほか、2倍の厚みのある(2スロットを占有する)ハイエンドのグラフィックスカードを挿入できるようになったのも見逃せない。
従来のハイエンド機Power Mac G5と比較して、光学式ドライブを2基可能になった点と、インタフェースの配置や構成が変更された点以外は外見上に大きな変化がないMac Proだが、「以前よりも内部スペースに余裕が生まれたことで、さらに拡張性の部分を強化することが可能になった」と米Appleワールドワイド ハードウェアプロダクトマーケティング担当副社長のデビッド・ムーディー氏は述べる。同氏によれば、CPUをIntelアーキテクチャ(IA)ベースに変更したことで、「パフォーマンス」と「省電力」の2つの面で大きなメリットを享受することができたという。とくに省電力部分の効果は大きく、ファンの数を減らして静音化を図ったほか、熱設計上の理由から従来と比較して内部スペースに余裕ができ、その分を機能拡張にまわした結果、今回のMac Proが誕生した。
またMac Pro用のCPUとしてデスクトップPC用の「Core 2 Duo(開発コード名Conroe)」ではなく、サーバ/ワークステーション用の「Xeon 5100シリーズ(開発コード名Woodcrest)」を選択した理由について、ムーディー氏は「真のハイエンド機を目指そうとしたとき、Woodcrest以外の選択肢はなかった。デュアルコアCPU2基によるクアッドコア構成や、FB-DIMMスロット×8による最大16Gバイトのメモリ空間、1.33GHzのFSBなど、Conroeベースのシステムと比較して高い性能を実現し、よりシステムを高速化できる」と述べている。確かにConroeベースではシングルCPU構成が一般的で、メモリ容量も最大8Gバイトまでとなる。Woodcrestというのは意外なようでいて、その理由を聞くと素直に納得できる選択だと言える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.