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» 2006年08月22日 17時00分 公開

「ワンセグ対応1キロ級ノートPCを比較する」第1回:2スピンドル1キロノートの「サイズ」「重さ」「バッテリー」をチェック

昨年末から登場した「ワンセグ」対応のノートPC。「えっ、ノートPCでワンセグですか?」と言う声があったものの、いまや重要なキーワードになっている。主要3モデルの使い勝手をチェックする。

[富永ジュン,ITmedia]

 地上デジタル放送の13分割された帯域のうち、1セグメントのみを利用した携帯機器向け地上デジタルテレビ放送サービス、略して「ワンセグ」。無料で視聴できることやデジタル放送ならではのきれいな画質、文字や画像を使ったデータ放送などが特徴とされる。2006年4月1日からの本格的なサービスインをうけて、携帯電話だけでなく1キロ級のノートPCでもワンセグチューナーを搭載するものが登場している。ここでは、携帯性が高い3機種をピックアップして、注目のワンセグだけでなく、携帯重視のノートPCに求められる性能を全方位で比較した。

ワンセグ対応1キロ級ノートPCをチェックする

 現在、モバイルノートPCと呼べるサイズと重量でワンセグチューナーを搭載しているのは、富士通「FMV-BIBLO LOOX T T70S/V」(以下、LOOX T)、ソニー「VAIO type T VGN-TX92PS」(以下、VAIO type T)、エプソンダイレクト「Endeavor NA101」(以下、Endeavor NA101)の3機種だ。このほかに、ソニー「VAIO type U」とパソコン工房「Lesance NB CL206GW-GT/TV」、「Lesance NB CL206GW-M/TV」の3機種があるが、VAIO type Uは約520グラムの軽量コンパクトボディやスライド式キーボードなどモバイルノートPCというよりはPDAやデジタルガジェット的な作りでコンセプトが違うため、また、パソコン工房の2機種は12.1インチ液晶ディスプレイを備えたA4サイズの2スピンドルノートPCで重量も約1.98キロあるなど、常時携帯しうるモバイルマシンとは言い難い携帯性なので、これら3機種は今回の横並び比較には加えないことにした。

FMV-BIBLO LOOX T T70S/V

 LOOX Tは、高輝度LEDバックライトを備えた10.6インチワイド(最大解像度1280×768ドット表示)スーパーファイン液晶ディスプレイと超低電圧版Pentium M 773(動作クロック1.30GHz)を搭載する2スピンドルノートPCだ。チップセットはIntel 915GMS Express、メモリはDDR2 400 SDRAMを採用する。Intel Core Duo/同Soloがリリースされた現在となってはやや先進性に欠ける構成だが、3機種中唯一ファンレス構造で静音性能が高い。また、光学ドライブを取り外して軽量化が図れる「モバイル・マルチベイ構造」は、持ち運びを前提とするユーザーには便利だ。

 搭載されているインタフェースはIEEE 802.11 a/b/g対応無線LANモジュール、IEEE 1394、指紋センサー、ステレオスピーカー、メモリーカードスロットなど。Microsoft Office Personal 2003をはじめとする豊富なソフトがバンドルされているのも特徴だ。富士通直販サイト「WEB MART」ではカスタムメイドモデルが用意されていて、メモリ容量、光学ドライブの種類、バッテリー容量、そして全9色の本体カラーなどを自由に組み合わせられる。

VAIO type T VGN-TX92PS

 VAIO type Tは、薄さ約4.5ミリの新開発白色LED採用の11.1インチワイド(最大解像度1366×768ドット表示)クリアブラック液晶を採用した2スピンドルノートPCだ(レビュー記事はこちらを参照)。ワンセグチューナーユニットが内蔵されているのは、ソニー直販サイト「ソニースタイル」で販売されているVAIOオーナーメイドモデルに加えて、店頭モデルのVGN-TX72B/B(記事掲載時にワンセグチューナーを内蔵するのはVAIOオーナーメードモデルのみと記載されていました。ここにお詫びして訂正させていただきます)蛾用意されている。VAIOオーナーメイドモデルではスペックのBTOが可能で、CPUがIntel Core Soloに超低電圧版Celeron M、メモリはDDR2 533 SDRAMを512Mバイト〜1.5Gバイトから選択できるほか、HDD容量、光学ドライブの種類もそれぞれ指定できる。

 搭載されているインタフェースは、IEEE 802.11 a/b/g対応無線LANモジュール、IEEE 1394、Bluetooth、指紋センサー、FeliCaポート、ステレオスピーカー、メモリーカードスロットなど。今回取り上げる3モデルでは唯一、BTOオプションで英語キーボードが用意されている。本体カラーはブラック、ホワイト、カッパーの3色。

Endeavor NA101

 Endeavor NA101は、12.1インチ(最大解像度1024×768ドット表示)の液晶ディスプレイを備えた2スピンドルノートPCだ(レビュー記事はこちらを参照)。BTOオプションでは、CPUにIntel Core Solo U1400、超低電圧版Celeron M 423、メモリに512Mバイトから1.5GバイトまでのDDR2 533 SDRAMが選択できるほか、HDDは軽量化を優先して30Gバイトの1.8インチHDDか、パフォーマンスと容量を優先した40〜100Gバイトの2.5インチHDDから選べる。搭載するインタフェースは、IEEE 802.11 a/b/g対応の無線LANモジュール、IEEE 1394、Bluetooth、指紋センサー、モノラルスピーカー、メモリーカードスロットなど。通常の日本語キーボードに加え、日本語配列のままキートップの印字を英語のみにした「ローマ字キーボード」も用意されている。

まずは本体サイズを比較する

 今回取り上げた3機種の大きさを比較してみると、小さい順からVAIO type T、LOOX T、Endeavor NA101となる。Endeavor NA101がほかの2機種と比べて明らかに一回り大きく、幅で約10ミリ、奥行きで約27〜42ミリ程度の差がある。これは3機種で最大となる12.1インチ液晶を搭載していることを思えば当然ともいえる。ただし、厚さも最厚部で約35ミリとほかの2機種に比べると約7ミリも厚い。この点はもう少し薄くできるとよかったように思える。

 ぱっと見ただけではほとんど同じサイズに見えるVAIO type TとLOOX Tだが、幅、厚みはほぼ同じものの、奥行きに関してはLOOX Tが約15ミリほど長い。液晶ディスプレイのサイズはLOOX Tが10.6インチワイド、VAIO type Tが11.1インチワイドなので、搭載する液晶ディスプレイのサイズと本体サイズの逆転現象が起きていることになる。これは、LOOX Tがディスプレイの両サイドのベゼル部分を広めにとっていることに加え、液晶ディスプレイのヒンジ部分からさらに後方へ筐体が伸び、そこにステレオスピーカーとバッテリーを装着するデザインになっているためだ。

 3機種ともに幅や厚みなどが急に変わる部位や目立った突起はなく、カバンからスムーズに出し入れが可能だ。また、LOOX TとVAIO type Tはサイズが横長でややイレギュラーなものの、一般的なサイズのインナーケースやPC用カバンに収納した場合でもだぶつきや空きスペースが気になったり、カバンの中でごそごそと動くというようなことはないだろう。

 本体サイズ以外でチェックしておきたいのは、ACアダプタのサイズだ。ノートPCのバッテリー駆動時間の伸びには目覚しいものがあるが、それでもやはりACアダプタを一緒に持ち歩いているユーザーは多い。カタログや製品紹介のWebページにACアダプタの写真が掲載されることは少なく、スペック一覧にACアダプタのサイズや重量が明記されることも多くない。本体サイズのコンパクトさにひかれて購入してみたら、ACアダプタが大きくて、かつ重たいために邪魔になるというのはよくある話だ。

 そのサイズは小さい順からEndeavor NA101、VAIO type T、LOOX Tと並ぶ。Endeavor NA101は一般的な折りたたみ型携帯電話の幅をやや狭くしたぐらいの大きさで、VAIO type Tはタバコの箱を一回り大きくした程度とこの2機種についてはどちらも携帯性に配慮していると言えるだろう。LOOX Tはサイズも厚みもほかの2機種よりも2周り以上大きい。筆者がLOOX Tを購入して頻繁に持ち歩くならば、間違いなくサードパーティ製の携帯性が高いACアダプタを購入することになるだろう。

ワンセグ対応ノートPCのフットプリントを縮尺をそろえて比べてみた。左からLOOX T、VAIO type T、Endeavor NA101

同様に筐体の厚さと液晶パネルの厚さ、断面形状を比較するために縮尺をそろえて並べてみた。左からLOOX T、VAIO type T、Endeavor NA101

重量とバッテリー駆動時間のトレードオフは?

 携帯性能に大きく影響する要素の1つである重量を3機種で比べてみよう。光学ドライブと標準添付のバッテリーを装着した状態でEndeavor NA101が約1.2キロ、LOOX Tが約1.37キロ、VAIO type Tが約1.27キロとなる。意外にもサイズが最も大きいEndeavor NA101が最も軽い。これは後述するバッテリー容量の差が影響していると考えられる。

 最後にバッテリー駆動時間だが、BAPCoがリリースしているベンチマークソフト「MobileMark 2002 1.0 Patch-2」のバッテリーライフテストを利用して実測してみた。このテストでは、バッテリーをフル充電した状態からテストを開始し、バッテリーが完全に放電されて自動的にノートPCの電源が切れるまでの実時間が計測される。シミュレートされるシナリオは、WebブラウザでテキストベースのHTMLファイルを開き、それをスクロールしながら読み進めるという比較的負荷の軽い処理だ。マルチメディアファイルやDVDビデオの再生、無線LANなどのネットワーク利用が含まれていないため、モバイルPCの用途を考えると実際の稼働時間はこのテストの結果よりももう少し短いと見てよいだろう。なお、テスト計測中の液晶ディスプレイは最大輝度、アイドル時でも液晶ディスプレイの電源は常に点灯している状態に設定した。

 結果は、時間が長い順からVAIO type Tの6時間11分、LOOX Tの4時間36分、Endeavor NA101の2時間53分となった。単純に考えるとEndeavor NA101の消費電力が大きいのかと思わせる結果だ。しかし、テスト時に計測されたバッテリー容量を見てみるとEndeavor NA101が3万8480ミリワットアワー、LOOX Tが5万6160ミリワットアワー、VAIO type Tが5万7720ミリワットアワーで、Endeavor NA101に搭載されているバッテリー容量がほかの2機種の7割程度であることが分かる(話が前後するが、ここでEndeavor NA101が3機種中最も軽いのはバッテリーの重量が少ないことに負うところが大きい、という結論に達する)。

 容量を同一として考察すると、液晶サイズ12.1インチのEndeavor NA101と10.6インチワイドながらも輝度が高めのLOOX Tのバッテリ駆動時間はほぼ同程度になる。LOOX Tよりも100グラム軽量ながらもさらに1時間半以上も長いバッテリー駆動時間を実現したVAIO type Tは、11.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載し、かつ、十分な輝度を確保していることから、内部的にかなりの省電力設計を達成していることが推測される。

(次回は実装されたインタフェースを比較する)

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