2万円を切る「Radeon X1650 Pro」は「ミドルレンジGPU」パワーを発揮できるかイマドキのイタモノ

» 2006年09月06日 11時49分 公開
[長浜和也ITmedia]

 先日、GDDR4と採用したハイエンドGPU「Radeon X1950 XTX」と一緒にATIから発表されたRadeon X1650 ProはミドルレンジをターゲットにしたGPUだ。X16「50」「Pro」とある型番からは、従来のRadeon X1600XTから「マイナーバージョンアップした」「やや価格を抑えた」モデルであることが想像できる。

 Radeon X1600 Proの主要スペックはこちらの記事でも紹介しているが、コアクロック600MHzにメモリクロック700MHz(データ転送レートにして1.4Gbps)とRadeon X1600 XTよりやや速めに設定されている。Vertex Shaderが5つにPixel Shaderが12本とGPUの構成がRadeon X1600 XTと同等であるだけに(ついでに言えば、90ナノメートルプロセス採用で構成トランジスタ数が1億5700個とこちらも同じ)、「Pro」という型番末尾にも関わらず、Radeon X1600 XTよりパフォーマンスが向上していることが期待されるが、はたしてどうだろうか。

 ATIが製品発表の資料で示していた、Radeon X1650 Pro搭載グラフィックスカードの実売想定価格は99ドルとされていた。すでに、日本のパーツベンダーから製品価格が予告されているが、安いところでは1万5000円台をつけている。ちなみにITmedia Shoppingで調べたRadeon X1600 XT搭載グラフィックスカードの価格はこちらのように、2006年9月始めの時点で2万円前後となっている。また、GeForce 7600 GS搭載製品はこちらのように1万円台後半、GeForce 7600 GT搭載製品はこちらのように2万円台後半というあたりがそれぞれ主流となっている。

 「Radeon X1600 XTのマイナーバージョンアップだよね」とやや失意的な意見を聞くことが多いRadeon X1650 Proであるが、こういう価格関係でRadeon X1600 XTを凌ぐパフォーマンスを発揮するのであれば、コストパフォーマンスを重視する(もしくは重視せざるをえない)「お父さん買い」的自作PCユーザーとしては貴重なGPUとなるだろう。

 今回は、Radeon X1650 Proを搭載したSapphireのカードとAthlon 64 3500+と基幹とするミドルレンジ構成のPCを用いて、Radeon X1600 XT、GeForce 7600 GS、それから、やや価格帯は異なるものの、ミドルレンジGPUとしてユーザーから支持を受けているGeForce 6800 GSでパフォーマンスを比較してみた。なお、Radeon X1650 Proに適用したドライバはATIから提供を受けたCatalyst 6.7を使っている。

カードに搭載されるビデオメモリはGDDR3が256Mバイト。出力インタフェースはDVI-Iが2つにS-Videoが1つ。パッケージにある説明によると電源ユニットは350ワット以上を推奨している

ベンチマークシステム環境
CPUAthlon 64 3500+
マザーボードASUS A8N-SLI
メモリPC3200/512MB×2ch
HDDST3160023AS
OSWindows XP Professional +SP2

3DMark05 Score
3DMark03 Score

3DMark03 GT1
3DMark03 GT4

Aquamark 3
DOOM3(timedemo demo1)

FarCry(HardwareOC River)

Windowsアイドル時101
3Dmark06 Fillrate multi148
3Dmark06 Pixel154
3DMark05 Pixel155
3DMark03 GT4160
3DMark03 PixelShader154

 参考までに、Radeon X1650 ProとAthlon 64 3500+を組み合わせたシステムの消費電力。3DMarkシリーズでとくに電力を消費するテスト項目におけるピーク値を並べている

 3DMark06の結果において、Radeon X1650 Proの値が明らかに低くく(GeForce 7600 GSの半分にも達しない)信頼に乏しいと考えられるためここでは掲載していない。その要因が今回適用しているCatalyst 「6.7」にあるとしたら、そのほかのベンチマーク結果も影響を受けている可能性がある。そのため、今回掲載されている結果は参考値として見ていただきたい。後ほど再検証をしてパフォーマンスの傾向に変化があったときは再度紹介させていただきたい。

 Radeon X1650 Proの結果はベンチマークテストによってその順位を大きく変動させている。Radeon X1650 Proが突出していい結果を示しているのが3DMark05の3DMark値だ。Radeon X1600 XTを上回るのは当然として、GeForce 7600 GS、そして、価格帯的にはやや上になるGeForce 6800 GSも押さえ込んでいる。しかし、この傾向が見られるのは3DMark05だけでほかは苦戦を強いられている。動作クロックが下回っているRADOEN X1600 XTに対して明らかに優勢であるのはDOOM 3、ForCry(ただし、最軽負荷状態はのぞく)に限られ、3DMark03 GT4では低解像度条件でRadeon X1600 XTの結果をわずかに下回っている。

 動作クロックではRadeon X1650 Proが優勢に立つGeForce 7600 GSに対しても、優勢であるのは3DMark05、3DMark03の3DMark値、同じくGT4などに限られる。DOOM 3は重負荷時条件で、FarCryは高解像度重負荷条件でのみ上回る。Aquamark3ではすべての条件でGeForce 7600 GSを下回った。GeForce 6800 GSに対しては3DMark05以外でRadeon 1650 Proが上回る結果を出すことはなかった。

 3DMark05の結果を見たときは、2万円を切るGPUでこれだけのパフォーマンスが出るのならばミドルレンジ最強のグラフィックスカードになるではないかと期待したが、ほかのベンチマークの結果はその期待が早計であったことを示している。DOOM3とFarCryの結果を見る限り、Radeon X1650 Proはそのクロック分だけRadeon X1600 XTを上回る結果を残しているといえる。重負荷条件においてならばGeForce 7600 GSも(わずかであるが)凌いでいる。

 Radeon X1600XTと比べた場合、Radeon X1650 Proは少なくともクロックが速くなった分だけそのパフォーマンスは向上したと評価できる。コストパフォーマンスを考えると、ATI製のミドルレンジGPUは次期モデルが登場するまでRadeon X1650 Proにシフトすると考えていいだろう。価格帯が完全に競合すると思われるGeForce 7600 GSに対しては、ほぼ互角、重負荷条件ならわずかに上回ることが、1万円台後半におけるGPUの選択においてユーザーに支持される可能性はある。

 ただし、ミドルレンジGPUの売れ筋である2万円前後という価格帯にあるGeForce 6800 GSはパフォーマンスで完全にRadeon 1650 Proを上回る。そして、わずかばかりの追加出費でGeForce 7600 GTが購入できることを考えると、ミドルレンジGPUの需用が一気に2万円を切る価格帯に下がってくることはないと考えられる。Radeon 1650 Proは「ミドルレンジの中の下」となる1万円台後半のGPUラインアップにATIの有力なGPUが加わったことに最も大きな意味があるといえるだろう。

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