昨年はSPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)を導入した新型エンジンの採用、ヘッドとタンク分離型の6色独立インクタンクの搭載、インク吐出の無駄を省いたアクティブ・エアー・マネジメント(AAM)の実装とトピックがめじろ押しだったHewlett-Packard(以下、HP)のインクジェットプリンタ製品。L判1枚が最速約12秒で印刷可能という高速なスピードも忘れてはならないだろう。
このような大変革のあった翌年は、地味な/おとなしい製品に終始するケースが多々見られるが、HPの場合はどうだろうか。日本より一足先に発表会が行われたアジア太平洋地区のコンシューマー製品から、日本HPの2006年インクジェットプリンタ戦線を占ってみよう。
HPのプリンタ哲学は従来から明快で、「できる限りユーザーの負担を減らして、快適なプリント環境を提供する」というものだ。今では当たり前となったフォトシートをいち早く採用したのはHPだし、現在花形となった複合機に真っ先に取り組んだのもHPである。また、用紙の自動認識、それにもとづいた印刷品質の自動設定、自動両面印刷機能の実装、フォトトレイとメイントレイの装備など、PC接続時はもとより、スタンドアローンで使うさいにありがたみを感じる機能は数多い。
以前まで弱点と指摘されていた「フォトプリントが遅い」「ランニングコストが高い」という点も、昨年の新型エンジンの搭載とお得なフォトパックを投入することで見事に解決しており、今後のかじ取りはおのずと気になるところだ。
以下では発表会で多数投入された製品を、複合機、単機能プリンタ、小型フォトプリンタの3つのカテゴリに分けて見ていこう。ちなみに、今年のモデルからモデル名のルールが変更され、コンシューマー向けがPhotosmart、オフィス/SOHO向けがOfficejet/Officejet Proとなり、低価格帯のモデルがDeskjetと分類されるようになった。
HPお得意の複合機では、全5モデルが用意された。型番はすべて頭に「C」が、末尾はAll in Oneが付く。詳細は下の表にまとめたが、上は399ドルから下は99ドルまでと従来同様幅広い。新型エンジンの採用といったトピックこそないが(最小ドロップサイズも5ピコリットルのまま)、カラーマップの手直しや各種自動調整機能のブラッシュアップ、次ページで述べるアドバンスフォト用紙の改良などによって、印刷品質の向上(暗部での粒状感低減)や印刷速度のアップを実現している。また、これまでは上位機のみ搭載していたSPTがミドルレンジにまで広がっているのに加え、最上位機をのぞいて白とグレーの落ち着いたツートーンのカラーリングに統一されたのも見逃せないところだ。
注目はADFユニット(自動紙送り装置)を実装したC6180と、実売1万円以下で人気を博したHP PSC 1510の後継機と目されるC3180だ。前者は一見したところOfficejetシリーズのようなデザインをしているものの、SPTの採用でフォトプリントが高速・高画質で行える。新アドバンスフォト用紙のL判ならば12秒でプリントアウトできるほか、50枚まで用紙を収納可能なADFユニットを使うことで、大量のコピー/印刷/スキャンも容易に行える。有線LANと無線LAN(IEEE802.11g/b)に標準で対応しているのもポイントだ。
一方のC3180は圧倒的なロープライスを維持しながら、前面部分にメモリカードスロット(CF TypeII、SDメモリカード/MMC、メモリースティック、xDピクチャーカード)を実装し、新たにフォトシートボタンなどを搭載したのが目玉だ。同じくエントリークラスのC4180は2.4インチの液晶ディスプレイを備えて利便性をアップし、左側面にフォト用紙のカードリッジを収納できるスペースを設けるなど、C3180よりも使い勝手を高めたモデルである。なお、対応OSは全モデルともWindows XP/2000(SP3)/Me/98SEとMac OS X v10.3.9/v10.4となっている。
複合機のラインアップ | |||||
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モデル名 | C7180 | C6180 | C5180 | C4180 | C3180 |
インク | 6色(SPT) | 6色(SPT) | 6色(SPT) | 4色/6色交換 | 4色/6色交換 |
最高印刷速度(モノクロ/カラー) | 32/31ppm | 32/31ppm | 32/31ppm | 30/24ppm | 22/20ppm |
コピー速度(モノクロ/カラー) | 32/31ppm | 32/31ppm | 32/31ppm | 30/24ppm | 22/20ppm |
L判最速印刷時間 | 12秒 | 12秒 | 12秒 | 25秒 | 25秒 |
スキャナ | 4800×4800dpi(CCD) | 4800×4800dpi(CIS) | 2400×4800(CIS) | 2400×4800(CIS) | 1200×2400dpi(CIS) |
液晶 | 3.6インチQVGA | 2.4インチQVGA | 2.4インチQVGA | 2.4インチQVGA | × |
ADFユニット | × | ○ | × | × | × |
マルチトレイ | ○ | ○ | ○ | △(収納式) | × |
有線LAN | ○ | ○ | ○ | × | × |
無線LAN | ○ | ○ | × | × | × |
Bluetooth | ○ | × | × | × | × |
FAX機能 | ○ | ○ | × | × | × |
PictBridge | ○ | ○ | × | × | × |
自動両面印刷ユニット | 同梱 | 同梱 | × | × | × |
価格(米ドル) | 399ドル | 299ドル | 199ドル | 149ドル | 99ドル |
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