PavilionシリーズはノートPCとして復活を果たした家庭内での使用を意識した個人ユーザー向けのモデルだ。今回取り上げる「HP Pavilion Notebook PC dv1700/CT」は、すでにレビューを掲載している「dv5200/CT」の下位モデルにあたる。14インチのワイド液晶ディスプレイを搭載した筐体はdv5200/CTよりひと回りコンパクトで、机上スペースをより有効に活用したいユーザーや自分の家の好きな部屋でノートPCを利用したいホームモバイル志向のユーザーにアピールする構成となっている。
末尾の「CT」という文字から分かるとおり、本機は日本HPの直販サイト「HP Directplus」で基本スペックを選択して購入できるCTO対応モデルである。評価機はCPUにCore Duo T2300E(動作クロックは1.66GHz)を採用、1Gバイトのメモリと、Serial ATA接続の100GバイトHDD、DVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブを搭載するが、Celeron M 410(動作クロックは1.46GHz)と512Mバイトのメモリ、40GバイトのHDD、DVD-ROMとCD-RWのコンボドライブを搭載した構成を選べば、8万円強という価格で購入できる。CPUにはCore Duo T2500(動作クロックは2GHz)を選択できるほか、メモリも最大で2Gバイトまで増強可能と、A4サイズのノートPCとしてはコンパクトな筐体にパワフルな基本性能を組み込むことも可能だ。
dv1700/CTの機能で触れておきたいのがコンテンツプレーヤーとしての優れた使い勝手だ。最大解像度1280×768ドットの液晶ディスプレイには、DVD映画などのワイド映像をほぼ全画面に表示できる。また、極めて明るい輝度とパネル表面の光沢処理よるくっきりとした表示など、きれいな映像を楽しみたいユーザーでも満足できるだろう。ただ、光沢処理をしているdv5200/CTと同様、パネルへの映り込みが強いため照明の位置や日中の窓際では視認性がやや低下する。
キーボードの奥には、再生操作ボタンと音量調整ボタンに加え、ワンタッチでHPオリジナルのコンテンツ再生ソフトを起動する「QuickPlay」ボタンが用意される。電源オフの状態でこのボタンを押せば、QuickPlayと同じユーザーインタフェースを備えたインスタント機能「QuickPlay direct」が起動する。QuickPlay directでは音楽CDやDVDだけでなくHDDの「共有ミュージック」フォルダに保存したMP3ファイルも再生できる。ユーザーが自分で聞きたいファイルをプレイリストに登録する必要があるが、プレイリストをWindows上のQuickPlayと共有できるのは便利だ。
本体前面に搭載されたALTEC LANCING製スピーカーは、ノートPCに内蔵されるものとしては良好な音質を持つ。サブウーファーを搭載しないため低音部が弱いが外部スピーカーを接続しなくて十分満足できる音質を楽しめる。なお、オプションとして用意されるリモコンを使えば、本体から距離を置いた場所からでも、映像や音楽の再生操作を行なうことができる。このリモコンはユニークな形状をしており、未使用時には本体左側のExpressカードスロットに収納できる。見た目は奇抜であるが、リモコンの紛失防止やスロットの保護に役立つ実用的なアイデアといえる。
キーボードは、縦と横がともに19ミリという広いピッチを確保した正方形キートップになっている。シャーシの剛性が高いため、打鍵した力をしっかりと受け止める感触が感じられる快適なタイピングができた。Enterキーの外側に「Home」「End」などのキーが配置されるものの、Enterキーとの間隔をほかのキーの並びよりわずかに広くすることでタイプミスを防いでいる。なお、カーソルキーの右側には「Back」「Ok」とプリントされた小さなボタンがあるが、BackキーはBackSpace、OkキーはEnterキーとして機能する。
タッチパッドは、一般的なノートPCがキーボードのホームポジションに合わせて配置されるのに対し、dv1700/CTはパームレストのちょうど中央にある。このため、評価作業においても、タイプ中に親指の付け根のあたりがパッドに触れて意図せずマウスカーソルを動かしてしまったりタップ操作を行なってしまったりということがまれに起きた。こういう状況を防ぐために、パッドのすぐ上にパッドのオン・オフを切り替えられるボタンが用意されている。文章入力に集中したいときは、パッドをオフにして誤操作を防止するといいだろう。
筐体に用意されたインタフェースは、右側の前後と左側の3カ所にあるUSB 2.0のほか、IEEE 1394(4ピン)とメモリカードスロットを右側面手前に、ExpressCardスロットを左側面手前に配置するなど、使用頻度の高いインタフェースへ簡単に手が届くよう工夫されている。ただし、本体左側の中央に置かれたLAN端子は、ケーブルを手でひっかける可能性が高い。なお、CTOでは無線LANとBluetoothを追加できる。LANケーブルだけでなく、マウスなどの周辺機器もワイヤレスで利用可能になる利便性を考えると、予算に余裕があるなら導入を検討してみてほしい。
評価機はソフトウェアにオフィススイートを追加しているため、17万円をわずかに超える価格となった。しかし、プライベートで使う家庭/個人用ノートと割り切れるなら、オフィススイートを省いて15万円強で購入することもできる。メインノートとして申し分のない性能と機能を備えた一台がこの価格なら、間違いなく「お買い得」といっていいだろう。
PCMark05 | PCMarks | 2834 |
CPU | 3897 | |
Memory | 2396 | |
Graphics | 948 | |
HDD | 3887 | |
3DMark05 | 3DMarks | 525 |
FF XIベンチ | Low | 3222 |
High | 2126 |
Pavilion dv1700/CT(評価機構成) | ||
CPU | CoreDuo T2300(1.66GHz) | |
BIOS | Quanta | |
チップセット | Intel 945GM Express | |
ノース/サウスブリッジ | Intel 945GM Express + ICH7M | |
L2キャッシュ | 2048Kバイト | |
メインメモリ | 容量 | 1Gバイト (512Mバイト×2) |
規格 | DDR2 533 MicroDIMM | |
メモリスロット(空き) | MicroDIMM×2(0) | |
ハードディスク | 容量 | 100Gバイト |
回転数 | 5400rpm | |
型番 | MHV2100BH | |
光学ドライブ | MATSHITA DVD-RAM UJ-840S | |
ディスプレイ | サイズ | 14インチワイド液晶 |
解像度 | 1280×768ドット | |
グラフィックスチップ | Intel GMA 950(チップセット内蔵) | |
グラフィックスメモリ | 最大128Mバイト(メインメモリ共有) | |
サウンドチップ | Coneant High Definition Audio | |
光デジタル音声出力 | − | |
PCカードスロット | − | |
Expressカードスロット | ExpressCard×1(ExpressCard/34およびExpressCard/54対応) | |
USB | USB 2.0×3(左側面×1、右側面×2) | |
IEEE1394 | 4ピン×1(右側面) | |
ビデオ出力 | アナログRGB(左側面) | |
キーピッチ/ストローク | 約19ミリピッチ/約2.5ミリストローク | |
ポインティングデバイス | タッチパッド | |
イーサネット | 10BASE-T/100BASE-TX(Intel PRO/100 VE) | |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g準拠(Intel PRO/Wireless 3945ABG) | |
Bluetooth | HP Intergrades Module with Bluetooth 2.0 | |
FAXモデム | v.92 56Kbpsモデム | |
バッテリ駆動時間 | 約4.15時間(標準添付・6セルバッテリー) | |
外形寸法 | 271×209.5×24.3〜28.3ミリ | |
重量 | 2.43キロ | |
搭載OS | Windows XP HomeEdition SP2 |
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