“P”に入ったのはワンセグだけじゃない──富士通「FMV-BIBLO LOOX P70T/V」(2/2 ページ)

» 2006年09月13日 11時50分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
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チューナーが内蔵されて使いやすいワンセグ機能

StationMobile for FMV2005

 LOOX P70T/Vのもうひとつの大きな特徴が、ワンセグチューナーユニットの搭載だ。2スピンドルノートのLOOX Tシリーズには、今年の夏モデルからワンセグチューナー搭載モデルが発売されていた。そのチューナーユニットが、より小型のPシリーズにも搭載されたのである。ただし、LOOX TシリーズはPCカード方式だったのだがLOOX P70T/Vは内蔵方式であるため、カードスロットをふさぐことがない。搭載しているチューナーユニットは、ピクセラ製のPIX-ST020というモデルだ。市販されているモデルではないため、細かいスペックは明らかではないが、ワンセグ放送のみの対応である。

 チューナーをコントロールするのは、「StationMobile for FMV2005」というこちらもピクセラ製のアプリケーションだ。一般的なテレビチューナーカードと違って、予約して録画することは「いまのところ」できない。録画したい場合はすべて手動で行うことになる。録画は最大6時間で自動的に停止するしくみになっている。

通常画面なら結構きれいに見えるのだが、全画面表示では少し粗くなってしまう。元がQVGAサイズだから仕方ないところ

 ワンセグ放送は、320×240ドットというQVGAサイズの放送となっているため、画質に関しては推して知るべしだ。高解像度なLOOX P70T/Vで全画面表示にしてしまうと、解像度の荒さが目立ってしまう。とはいえ、全画面ではなく、通常サイズの画面表示ならきれいな画質で視聴できる。

 筆者が評価作業を行った場所は江戸川区にあり、東京タワーとの間には何も高い建物はないのだが、部屋によって受信できる部屋と受信できない部屋がでた。東京タワー側のベランダ向きの部屋では窓際なら内蔵のアンテナで良好な受信が可能だが、窓から離れると内蔵アンテナでは不安定になるためヘッドフォンを兼ねたアンテナを接続しないと安定した視聴ができなくなる。なお、実験したところ、付属のヘッドフォンでも、手持ちの通常のヘッドフォンでも受信能力に違いはでなかった。一方、玄関側の部屋では、ヘッドフォンを接続してもまったく受信できなかった。室内で使用するときは、受信する場所が大きく影響するようだ。

内蔵&付属アンテナでは受信できない部屋で、適当なありもので何とか受信させる方法を試してみた。たまたまピンセットでつないでいるが、アンテナ線が金属部に触れていればOKのようだ

 ちなみに、部屋にデジタル放送対応のアンテナが来ているなら、何とかヘッドフォンケーブルに信号を伝えれば良好な受信が可能になる。アンテナケーブル接続コネクタとピンセット、ヘッドフォン分配機を組み合わせて試してみたところ、玄関側の部屋でも快適な視聴が可能になった。使用した小物類は、すべて100円ショップで調達できるものだ。(編注:この作業は評価機に変換コネクタがなかったため行っています。製品版には、屋内アンテナケーブルとLOOX P本体を接続する

「RF変換ケーブル」が添付されているので、屋内でもヘッドフォンアンテナを利用せずにワンセグ放送が視聴可能です)

 なお、内蔵アンテナでもヘッドフォンアンテナでも、受信できているときは、非常に映像はきれいで、ノイズや画面の乱れは皆無だ。映像の下には、放送の字幕を表示できるため、番組によっては音を出さない状態でも楽しめる。また、データ放送の表示も可能で、天気予報などを必要なときに見ることができるのも便利だ。

大容量バッテリーで3時間の録画もこなす

 録画されたファイルは、「.ets」という拡張子を持つ、独自の形式のファイルで、録画したStationMobileでしか再生できない。録画の品質の設定はできないためデフォルトの1種類のみになる。この画質でニュース番組を30分録画したところ、ファイルサイズは約80Mバイトとなった。ビットレートとしては40〜45Kbps程度というところである。このビットレートでも、QVGAサイズであるため、十分見られる画質となっている。ただし、あくまで「その場限りで見る」というものであり、保存用には向かないといっていいだろう。録画ファイルには字幕データは保存されていないようで、再生しても字幕を表示することはできなかった。

 LOOX P70T/Vの搭載するHDDの容量は30Gバイトで、最近のノートPCとしてはやや少なめだ。しかし、45Kbps程度の映像を保存するのであれば十分に足りる。パーテーションで区切られているDドライブの12Gバイトすべてを録画に割り当てたとすれば、75時間の録画ができることになる。

 LOOX P70T/Vには、標準のバッテリーパックのほかに容量の大きなバッテリーパックLもオプションで用意されている。バッテリーパックLは、カタログ値で8時間駆動が可能であるが、長時間録画にどのくらい耐えられるか確かめてみた。充電100%の状態から連続して録画を行っていたところ、2時間50分で電池切れのアラームが鳴り、サスペンド状態になった。バッテリーだけで3時間近くの録画に耐えられるというのはかなりのものだろう。ただし、標準バッテリーに比べるとやはり重く感じられる。

 標準バッテリーなら1キロ以下の重量であり、持ち歩くのには十分な軽さである。画面表示も少し文字が小さいもののかなり鮮明で使いやすい。ペンや指での操作も快適で、手に持ったままでも使いやすい。さらに、ヒマなときにはテレビの代わりにもなる。モバイルデバイスとしてさらに使いでのあるPCに進化した。

液晶ディスプレイを反転させてペンオペレーションができるようになるコンパーチブルスタイルのLOOX Pはボタン1つで縦方向表示が可能だ

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