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» 2006年12月25日 17時00分 公開

イマドキのイタモノ「短期集中横並びレビュー」:ミドルレンジのIntel P965マザー3製品を比較する──第1回:なぜIntel P965なのか

その種類を問わず、パーツでボリュームゾーンになるのが「実売価格2万円台前半」という指標。集中連載はこの価格帯で自作ユーザーに注目されている「Intel P965」搭載マザーを横並びで比較する。

[寺崎基生,ITmedia]

Core 2 Duoで久々に盛り上がりを見せる自作PC

 自作PC市場で、いま注目を集めているのがCore 2 Duoに対応したマザーボードである。このインテル製デスクトップ用デュアルコアの最新CPUが7月にデビューしてから約半年が過ぎて、ローエンドモデルのCore 2 Duo E6300は2万円代前半という購入しやすいボリュームゾーンに入ってくるなど、Core 2 Duoの価格もかなり手頃になってきた。

 自作PC市場が「Core 2 Duoで久々に盛り上がりを見せる」理由は、なんといってもPrescottからSmithfield、PreslerというPentium 4後期からPentium D世代における「電力消費の激しいCPU」から、消費電力を抑えた新しいアーキテクチャになったことだ。シングルコアのPentium 4 6xxシリーズでも100ワットを超え、デュアルコアのPentium D 960やPentium Extreme 965に至っては130ワットという非常に大量の電力を消費する状況で、電力消費に伴う発熱は激しく、騒音の大きなCPUクーラーが必要となっただけでなく、運用に伴う電気代が気になるほどになってしまうほどに扱いにくいCPUだったのだ。

 Core 2 Duoでは、最もクロックが速い最上位モデルでも75ワットと消費電力は半減した。CPUの消費電力が減少すれば、電気代の節約は当然として発熱が少ないことで大型のCPUクーラーもいらなくなり、組み込むパーツを選べば電源ユニットもそれほど大容量でなくともよくなる。パーツ選びの選択肢が増えるし、経済的でもある。静音化もしやすいため、ホームシアター系のPCや、リビングに置くPCなどでも利用しやすい。

 本質的なことではないかもしれないが、Core 2 Duoの低クロックモデルが高いオーバークロック耐性を持つことが多いのも自作PCユーザーには受けがいい。Pentium 4やAthlonなどでオーバークロックにチャレンジして楽しんでいたユーザーたちが注目しているという側面もある。マザーボードメーカーもそのあたりの事情はよく分かっているようで、オーバークロック機能を充実させたモデルが数多く発売されている。

 加えて、Windows Vistaのリリースが近いという時節柄の事情も自作PC市場の追い風となっている。強力なCPUパワーと大量のメモリ、そして、高性能なGPUを要求するWindows Vistaのために新しいPCを自作で用意しておこうというユーザーも少なくないようなのだ。Windows Vista以外にも、HD-DVDやBlu ray DISCによるハイビジョン映像の再生なども、シングルコアCPUではパワー不足でよりハイパワーなPCを必要とするような、キラーコンテンツが多数出現し始めている。

低価格でも高機能で高品質なCore 2 Duo対応マザーボードを選びたい

Intel P965の構成。上位モデルのマザーではサウスブリッジにRAIDをサポートするICH8Rを搭載するケースが多い

 Core 2 Duoに対応するチップセットには、Intel P965、Intel G965を始めとして、Intel 975X、Intel 945P、Intel 945G、NVIDIAのnForce 600iファミリー、nForce 590 SLI for Intel、nForce 4 SLI for Intel、VIA VT8251と種類が多い。発売されているマザーボードの種類も多いので万人に共通する「最適の一枚」を選ぶのは大変だ。

 今回は、Core 2 Duo対応マザーボード選びを行うときのヒントとなればと思い、Core 2 Duo対応チップセットのメインストリームであるIntel P965搭載マザーボードからASUSとGIGABYTE、MSIの製品を比較してみた。用意したマザーボードは、ASUSTeKの「P5B-E Plus」、GIGABYTEの「GA-965P-DS4」、MSIの「P965 Platinum」である。この3モデルは、2万円弱から2万円台前半の価格帯で販売されている、Intel P965搭載マザーの中では、ミドルレンジの位置付けとなる製品群だ。ハイエンドモデルは3万円近いものが多く、バリュークラスなら1万円台半ばで購入できる。

 ハイエンドモデルがサウスブリッジにRAID機能を搭載するICH8Rを搭載している一方で、バリューモデルのサウスブリッジはRAID機能を搭載しないICH8となる。ほかにも、電源回路や使用しているコンデンサの品質など、ハイエンドモデルとバリューモデルの違いは小さくない。

 今回取り上げたミドルクラスの製品はハイエンドモデル並みの品質と機能を持ちながら価格を下げたラインアップとなっている。ハイエンドマザーには手を出せないが機能は落としたくない、というコストパフォーマンスを重視するユーザーに好まれるモデルといえる。ただ、製品ごとにコストダウンのポイントが異なっていて、そこが今回取り上げた製品ごとの差別ポイントにもなっている。まずはハイエンドモデルとの相違点なども含めて、3モデルの外観を紹介しよう。

ASUS「P5B-E Plus」

 ASUS P5Bシリーズは、Core 2 Duo対応マザーの中でも定番の人気モデルだ。なかでも、サウスブリッジICH8RがサポートするRAIDを利用できる「P5B Delux」や、無線LANユニットを追加した「P5B Delux WiFi-AP」の人気が高い。しかしながらP5B Deluxは、秋葉原価格でも2万円代後半と価格帯は高め。P5B Delux/WiFi-APとなるとさらに高価になる。一方、P5Bシリーズには廉価モデルとしてP5Bがあるが、こちらはサウスブリッジがICH8である。11月に発売されたばかりのP5B-Eは、その中間に位置するモデルで、2万円台前半とかなり購入しやすい価格になっている。

 サウスブリッジには、ICH8Rを搭載しており、P5B Deluxと同様RAID機能を搭載する。基板には「Stack Cool2」と呼ばれる、冷却に優れた機構が組み込まれているなど、ハイエンドモデルにかなり近い仕様だ。ただし、PCI-Express x16スロットが1本であることや、電源回路をグレードダウンするなどして、低価格化を実現している。

 ハイエンドモデルのP5B Delux/同 Delux Wifi-APとの最も大きな違いがチップセットの冷却方式だ。ハイエンドモデルがヒートパイプを組み合わせたクーラーユニットでVRM回路などと一緒にチップセットも冷却するが、P5B-E Plusでは、ごく普通のヒートシンクに変更されている。

GIGABYTE「GA-965P-DS4」

 GIGABYTEのIntel P965搭載マザーボードでは、「G-965P-DQ6」がトップモデルとなるが、その高品質な設計をできるだけ踏襲しながら低価格を実現しているのが「GA-965P-DS4」だ。電源供給回路などはグレードダウンしているものの、それでもほかの競合するマザーボードベンダーのミドルレンジラインアップ以上の贅沢な設計となっている。価格は2万円代前半であるがそれ以上の価値が盛り込まれたマザーボードといえる。

 チップセットや電源回路を冷却するためのクーラーユニットにヒートパイプを組み込んでいるのも上位モデルと共通で、ファンレスで高い冷却能力を発揮してくれる。BIOSには、GIGABYTEオリジナルのDual BIOSを搭載し、いざというときの冗長性を確保するなど、安心感の大きなモデルとなっている。新しいBIOSを搭載したGA-965P-DS4 Rev.2.0も発売されているが、Rev.1.xでもBIOSの更新により、クアッドコアのCore 2 Extremeに対応可能だ。

 下位モデルと比べると、サウスブリッジがRAID機能搭載のICH8Rとなっていることや、ヒートパイプによる冷却機能、IEEE 1394を搭載するなど、より上位モデルに近いお買い得モデルとなっている。

MSI「MSI P965 Platinum」

 MSI P965 Platinumは、MSIの製品ではトップモデルに冠されるPlatinumが付いているとおり、Intel P965搭載モデルではMSIのラインアップで最上位のモデルとなる。Platinumモデルらしく、黒い基板を採用しているのも特徴だ。下位モデルとしては、P965 Neo-Fが存在する。

 ハイエンドモデルらしく、サウスブリッジにはRAID機能付きのICH8Rを搭載。オンボード機能も充実していて、IEEE 1394やギガビットLANなど、ひと通りの機能を実装する。MSIのWebページに掲載されているスペック表では、Core 2 Duoには対応すると明記されているもののCore 2 Extremeへの対応は明らかにされていない。しかし、BIOS Ver.1.2からはクアッドコアのCore 2 Extremeまで対応可能になったようだ。

 MSI P965 Platinumの最大の特徴は、トップモデルでありながらも2万円を切る低価格を実現していることだ。今回用意した3枚の中でも、最も低価格で販売されており、コストパフォーマンスが高い。


 以上、実売価格2万円前半のミドルレンジマザーボード主要3モデルについて、4回連続でスペックやBIOSの機能、パフォーマンスを比較してそれぞれの特徴を明らかにしていく。次回は「オンボードデバイス」の項目を横並びで比べてみよう。

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