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» 2006年12月27日 18時49分 公開

イマドキのイタモノ「短期集中横並びレビュー」:ミドルレンジのIntel P965マザー3製品を比較する──第3回:コンデンサと電源回路、BIOSを比較する

ボリュームゾーンの「実売価格2万円台前半」のIntel P965搭載マザーを横並びでレビューする集中連載。第3回は安定性と性能に影響する項目に注目する。

[寺崎基生,ITmedia]

 イマドキのマザーボード選びでは、基板に実装されているパーツや搭載されている回路の仕様などを重視するユーザーが増えている。とくに、コンデンサの品質とCPU周りの電源供給回路(VRM)のフェーズ数に注目することが多く、マザーボードベンダーもそれに応えるような製品を投入するようになってきた。

 コンデンサの品質は、マザーボードの寿命や安定性などに影響する。高品質のコンデンサを使用したマザーボードは、長期間の運用でも液漏れや破裂することなく安定して使用できるといわれている。また、電気的特性が優れたコンデンサは、ノイズ成分に強くオーバークロック耐性に優れるともいわれる。少し前までは、国産のコンデンサ、とくに日本ケミコンやルビコンのコンデンサが一番といわれていた。最近のハイエンドマザーボードでは、従来の電解コンデンサに代わって、三洋のOS-CONに代表されるような、固体電解コンデンサの人気が高まっている。固体電解コンデンサは、電解質に固体の導電性高分子や有機半導体などを使用しており、液漏れや破裂といったトラブルの心配がほとんどなく、非常に長寿命なのが特徴だ。

 CPUに電力を供給するVRMは、CPUの消費電力が増えることに伴なってフェーズ(回路数)を増やして、より安定化させるようになってきている。ただし、フェーズが増えると当然コストもアップするため、グレードの高い(価格を高くできる)ラインアップでフェース数を多くできるようになる。個人用途で一般的な使い方を想定したマザーボードなら3フェーズでも十分に実用的であるが、ハイエンドモデルでは6〜8フェーズを採用する製品も増えている。最近では12フェーズというマザーボードも登場している。

みんな気になるコンデンサ

 今回取り上げた3種類のマザーボードは、どれもCPU周りの電源回路に固体電解コンデンサを採用している。とくに、P5B-E PlusとGA-965P-DS4は、CPU周りだけでなくマザーボード全体のコンデンサが固体電解コンデンサとなっている。P5B-E Plusでは、上位モデルのP5B Deluxe/同 Deluxe WiFi-APよりもハイグレードな仕様となっており、アジア限定モデルとして品質向上のためにとくにコストをかけた構成になっている。GA-965P-DS4も、上位モデルのGA-P965-DQ6と同様に、すべてのコンデンサが三洋製と日本ケミコン製の固体電解コンデンサが実装されている。

 コンデンサに関しては、3製品とも一定以上のレベルにあるが、実売価格の差がある分、P5B-E PlusとGA-965P-DS4にアドバンテージがある。

実装されているコンデンサを並べてみた。左からP5B-E Plus、GA-965P-DS4、P965 Platinum

みんな気になる電源レギュレータ回路

 3枚のマザーボードで最も内容が異なっているのが、このVRMのフェーズ数である。最もコストをかけていると思われるのがGIGABYTEのGA-965P-DS4で、6フェーズのVRMを搭載している。上位モデルのGA-965P-DQ6が12フェーズという、ほかではあまり見られない豪華仕様であるために、カタログで数字を並べるとDS4の半分に減っている6フェーズでは頼りないような気がするもが、実際には十分にハイエンドな仕様なのである。さらに安定性と耐久性が向上ようにする。レギュレータがヒートシンクで冷却されるのも注目しておきたい。

 P5B-E PlusとMSI P965 Platinumはどちらも4フェーズのVRMを搭載しており、ミドルレンジとしては標準的な構成となっている。P5B-E Plusが上位モデルであるP5B Deluxeと最も大きく違っているのもこの電源周りの仕様なのである。

 このように電源レギュレータ回路を比較すると、明らかにGIGABYTE GA-965P-DS4に軍配が上がる。

CPU周りの状況を比べてみる。左からP5B-E Plus、GA-965P-DS4、P965 Platinum

基板の放熱機構にも注意したい

 P5B-E Plusでは、上位モデルと同じように、基板裏側に放熱用の銅板を持つStack Cool2システムが採用されている。一方、GA-965P-DS4では、上位モデルのGA-965P-DQ6が採用する基板裏面の冷却用バックプレートが実装されていないい。P965 Platinumでも、基板自体を冷却するシステムはない。冷却に着目してみると基板全体で冷却するというP5B-E Plusのアドバンテージは見逃せない差別ポイントとなる。

BIOS設定の自由度

 どのモデルも基本的なBIOSの設定は自由に行える。実装するBIOSのベンダーは、GIGABYTEのみAward/Phenixで、ASUSとMSIはAMIを採用している。ただ、AMI BIOSのインタフェースがAwardに近くなって、最近ではBIOSのメーカーを気にするユーザーは少なくなったように思える。イマドキのユーザーには、BIOSのベンダーよりも重要になっているのが「オーバークロックや電圧調整などが自由に行えるBIOS」ということになっている。ASUSもGIGABYTEもMSIもオーバークロック関連の設定には力を入れており、甲乙付けがたいというのが本当のところである。

 P5B-Eでは、AI N.O.S(Non-Delay Over Clocking System)を採用し、オートマチックのオーバークロック機能を搭載する。AI N.O.Sでは、アイドル時は定格動作となり、CPU負荷が上昇するとオーバークロック動作になる。マニュアル設定も充実しており、FSBは100MHzから650MHzまで1MHz単位で設定可能。コア電圧は、0.0125V刻みで1.1000〜1.7000ボルトに設定できる。メモリやPCI-Expressなどのバスクロックと分離させることも可能だ。CPUの倍率変更も可能で、Core2 Duo E6700を組み込んだときの倍率は6〜10倍に設定できた。自動オーバークロック機能のAI N.O.Sでは、「Auto」「Standard」「Sensitive」「Heavy Load」の4段階のレベルを選ぶことができる。

 GA-965P-DS4のBIOSでは、M.I.T(MB Intelligent Tweaker)によってオーバークロック設定を行える。FSBは100MHz〜600MHzの1MHz刻みの設定が可能。C.I.A 2という自動オーバークロック機能を搭載しており、「Cruise」「Sports」「Racing」「Turbo」「Full Thrust」の5つのモードを選択できる。CPUの負荷によって3段階のオーバークロックが行われる機能で、モードごとに3段階のオーバークロック比率を選べる。CPUコア電圧の調整は、0.68750〜2.37500ボルトと幅広い範囲で設定が可能で、さらに1.6000ボルト以下では0.00625ボルト刻みと非常に細かくステップが区切られている。CPU倍率は6〜10倍(Core2 Duo E6700使用時)を指定できた。

 P965 PlatinumのBIOSでは、MSIオリジナルのCore CELL機能によってオーバークロック設定を行える。FSBは200〜500MHzの1MHz刻み。コア電圧は+0.7875ボルトまで0.0125ボルト単位で設定することができる。Dynamic Overclocking Modeを有効にすると、CPUの負荷によって3段階のオーバークロックを自動的に変動させる機能を有している。

それぞれのマザーボードは自動オーバークロック設定機能を有している。左からP5B-E PlusのAI N.O.S、GA-965P-DS4のC.I.A.2、P965 PlatinumのDynamic Overclocking Mode

 どのマザーボードも、自動オーバークロック機能を持ち、CPUの負荷によって段階的にオーバークロックを行う機能を持つ。GA-965P-DS4とMSI P965 Platinumは3ステップのオーバークロックで、P5B-E Plusは1ステップとなる。マニュアル設定によるオーバークロックは、どのマザーも詳細な設定が可能で、項目に不満を思うことはないだろう。ただし、P965 Platinumは、CPUコア電圧をデフォルト以下にできないので、動作クロックも電圧も下げて、発熱を抑えたい使い方には対応しにくい。

 次回はユーティリティツールとパッケージ付属品に注目して比較してみる。

「ASUS P5B-E Plus」

「GIGABYTE GA-965P-DS4」

「MSI P965 Platinum」

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