これがデルの“トップエンド”だ――HDCP対応27インチワイド液晶「2707WFP」XPSクオリティを液晶へ(1/3 ページ)

» 2007年03月09日 16時00分 公開
[榊信康,ITmedia]

30インチより27インチがフラッグシップな理由は?

デルのWUXGA対応27インチワイド液晶ディスプレイ「2707WFP」

 Windows Vistaの登場やハイビジョンコンテンツの普及によりPC用ディスプレイにも高解像度とワイド大画面が求められる中、デルはWUXGA(1920×1200ドット)に対応した27インチワイド液晶パネル搭載の「2707WFP」を発売した。単なるPC用の液晶ディスプレイではなく、各種の映像入力端子を装備しており、昨年3月に発売されたWUXGA対応24インチワイドモデル「2407WFP」の上位機に位置付けられている。

 デルのラインアップには、2560×1600ドットの超高解像度を誇る30インチワイドモデル「3007WFP」が存在するが、同社は今回の2707FWPをハイエンドモデルとする方針だ。3007FWPは画面サイズと解像度で2707FWPに勝るものの、映像入力がDVI-Dの1系統だけで、利用にはDVIデュアルリンク対応グラフィックスカードが必要になるなど、特定のユーザー以外にはおすすめしにくい。

 一方の2707WFPは、現状でもっともニーズが高い解像度のフルHD(1920×1080ドット)を上回るWUXGA(1920×1200ドット)に対応しつつ、広色域のバックライトを搭載、そしてさまざまな機器との接続を想定した豊富なインタフェースを設けているため、最上位機にふさわしいという判断だ。デルが「最新のテクノロジーで最高のパフォーマンスを実現するPCシリーズ」とするXPSブランドのPCと組み合わせることを考慮した“トップエンド”のディスプレイとなっている。

高級感と使い勝手を両立したアルミニウムボディ

 2707WFPはフラッグシップであることを意識し、デザインにも注力している。液晶パネル部のシャーシにはヘアライン加工のアルミニウム素材を多用し、重厚さを醸し出している。ボディカラーはブラックとシルバーのツートーンというデルのハイエンドディスプレイではおなじみの配色だ。液晶パネルのフレームが反射の少ないブラックではなく、シルバーなのは好みが分かれるところだが、ヘアライン処理のおかげで外光の反射は抑制できている。大画面モデルにしてはフレームの幅が狭いのも好印象だ。

 スタンドのベースは、ほかのモデルのようなV字型のスマートなものではなく、長方形のがっしりとした作り。ただし、スタンドに光沢感のあるガラスコートを施すことで無骨さは排している。液晶パネルの背面には放熱用のホールがあるが、これを目立たないようにブラックで塗装してメッシュ加工にすることでデザイン性を高めており、全体的な高級感はデルの液晶ディスプレイの中では突出している。

 無論、見た目だけではなく機能面も問題ない。スタンドは、上21度/下3度のチルト調整、左右80度のスイベル調整、約90ミリの高さ調整が可能だ。画面を90度回転させて縦画面表示にする機構は備えていないが、VESA準拠のアームマウント規格に準拠した100ミリピッチのネジ穴があり、標準装備のスタンドを外して市販のフレキシブルアームや壁掛けアームを装着することもできる(スタンドを外すにはトルクスレンチが必要)。ただし、液晶パネル部は27インチワイドと大型で約8.5キロの重量があるため、実際に利用できるアームは限られる。

 ボディは大型で安定性が高いため、動作もスムーズに行える。高さ調整は、これまた安定したスタンドの恩恵か、画面をかなり低い位置にまで下げられる。可動部を2つ設けたデュアルヒンジ機構により、画面の角度を維持したまま高さを変えられるのも便利。大型の液晶ディスプレイでは画面の位置を高めに設定している製品も見られるが、2707WFPは設置場所に苦慮することなく、自然に画面を見下ろす姿勢で作業できる。

デュアルヒンジ機構のおかげで、画面の角度を維持したまま高さを調節できる(写真=左)。背面のデザインにも手は抜いていない(写真=中央)。スタンドにはケーブルを束ねて背面に出す穴が設けられている。スタンドは、チルト、スイベル、高さ調整に対応しつつ、デザインにも配慮している(写真=右)

 本体の奥行きは243ミリと短めだが、横幅は636ミリと60センチを超えるため、デスク上に設置するとかなりの存在感がある。オンラインで注文する場合は大きさをイメージしにくいが、あらかじめ設置スペースを確認しておくことが必要だ。

HDCP対応DVI-Dをはじめ、豊富なインタフェースを装備

 それでは、大きな特徴であるインタフェースを見ていこう。映像入力端子はHDCP対応DVI-DとD-Subに加えて、コンポジットビデオ、S-Video、3RCAコンポーネントビデオの5種類を装備。いずれも液晶パネル部の背面に端子を集めている。各種の映像入力は前面のボタンにより、順次切り替えが可能だ。

 また、USB 2.0ハブ機能もあり、背面と左側面に2つずつのUSBポートを設けている。左側面には、メモリカードリーダー(CF TypeII、SDメモリーカード、MMC、メモリースティック、スマートメディアに対応)も搭載し、デジタルカメラのメモリカードを手軽に着脱できるのは、通常のPC用ディスプレイにあまり見られないポイントだ。そのほか、オプションで液晶パネル部の下に装着してアンダースピーカーとして使える外付けスピーカーユニット「AS501」(4200円)も用意されている。

 インタフェースの種類は豊富なものの、この時期に出る製品にしては、HDCP対応のDVI-Dが1基ということ(もしくはHDMI端子がないこと)に物足りなさを感じる人もいるだろう。2707WFPは、今後普及する見込みのインタフェースよりも現状で多くの機器に搭載されているアナログビデオ入力を充実させつつ、USB 2.0のハブ機能とメモリカードリーダーを盛り込むことで、より幅広い外部機器との接続性を確保するという設計思想だ。インタフェースについては、競合製品である三菱電機の25.5インチワイド液晶「RDT261WH」と真逆の発想と言える。

主要なインタフェースは背面に並ぶ(写真=左)。電源ユニットは内蔵されているため、ACアダプタの接続は不要。オプションのスピーカー接続用の電源端子も用意されている。左側面にはCF TypeIIスロット、SDメモリーカード/MMC/メモリースティック/スマートメディア共用スロット、2つのUSB 2.0ポートが並ぶ(写真=右)

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