デルがAMD製CPU搭載機の第1弾としてリリースしたInspiron 1501が、Windows Vista搭載モデルに生まれ変わった。ワイド液晶ディスプレイや、統合チップセットながらRadeon X300 SE相当のグラフィックス機能を備えるなど、当初よりWindows Vistaの受け入れ態勢を整えていた本機だが、果たして実際に「Vistaが使える」PCなのか、改めて検証してみたい。
Inspiron 1501は、デルのノートPCラインアップの中で最も安価な構成を選択できる15.4インチワイド液晶搭載モデルだ。本機の詳細については過去のレビュー記事で詳しく取り上げているので、ここでは最新のBTOで選べるパーツ構成と特徴を紹介しよう。
現行のBTOメニューでのポイントは、Windows Vistaを選択できるようになったことだ。エディションはHome Basic、Home Premium、Businessの3つを用意し、低価格構成からビジネス用途まで、幅広いシーンに対応可能である。ちなみに、OSのエディションによって必要なメモリ容量が異なり、Windows AeroやFlip 3Dを搭載したHome PremiumおよびBusinessを選んだ場合は1Gバイト以上、Home Basic選択時は512Mバイト以上となっている。Windows XPは現行のBTOメニューでは消滅(個人向けの場合)したため、Windows XP搭載機からの買い替え組は、あらかじめ手持ちのアプリケーションがWindows Vistaに対応しているかを確認した上で購入してほうがベターだ。
一方のCPUは、デュアルコアのTurion 64 X2 TL-56(1.8GHz)とTL-50(1.6GHz)、シングルコアのTurion 64 MK-36(2.0GHz)の3種類が用意される。また、メモリ容量はOSのエディションに関わらず最大2Gバイトまで搭載可能だ。ただ、本機が採用するAMD製の統合型チップセットATI Radeon Xpress 1150 HyperMemoryがメインメモリをグラフィックメモリとして流用すること(搭載量によって異なる/ローカルメモリは128Mバイト)、Vistaを快適に扱うことを考えれば、最大容量である2Gバイトでの購入をおすすめしたい。
そのほかのパーツは、HDD容量が60G/80G/120Gバイトから(すべて5400rpm)、無線LAN機能はIEEE802.11g/bおよびIEEE802.11a/g/b、無線LANなしから、光学ドライブはDVD±RWドライブ(DVD+R DL対応)とコンボドライブから選択できる。
続いて、キーボードや液晶ディスプレイなどのインタフェースをチェックしよう。
評価機は15.4インチワイドの非光沢液晶ディスプレイを搭載しており、明るさと発色は非光沢パネルとしては標準的で、照明などの映り込みも少ないことから正面に置いた状態での視認性は悪くない。ただし、視野角は左右が80度、上下方向もやや狭いので、パネル角度の微調整は必要だ。
液晶ディスプレイはBTOで15.4インチワイドの光沢/非光沢、14.1インチワイドの非光沢パネルの3種類から選べるが、画面解像度は1280×800ドットに統一されている。14.1インチから15.4インチ非光沢タイプの価格差は2000円、15.4インチ光沢タイプ(TrueLife)は7000円であり、14.1インチと15.4インチでもボディサイズは変わらないため、よほどのことがない限り、15.4インチワイドを選びたい。また、DVD-Videoの鑑賞などがメインとなるならば光沢タイプを選んだほうがよいが、液晶ディスプレイへの映り込みは非光沢タイプに比べて増えてしまうので注意しよう。
キーボードは同社のノートPCではおなじみの7段配列を採用し、PageUp/DownやHome、Endといったキーを独立して搭載している。Deleteキーが右端になく、コンテキストメニューキーが最上段の左端にあるなど慣れが必要な部分もあるが、配列に関してはおおむね満足できる。また、主要キーのキーピッチは19ミリ、スペースバーも75ミリと余裕があり(キーストロークは2.5ミリ)、大型のEnterキーを採用することから、文章入力を多用する人も快適にタイピングが可能だ。
タッチパッドはスクロールボタンを持たないシンプルな2ボタンタイプながら、多機能なSynaptics製ドライバが導入ずみなので、エッジを使ったスクロールやコーナータップによる機能の呼び出しなどを利用できる。ただし、ボタンはクリック感に乏しく、ストロークも深めだ。ボタンのサイズは十分に大きいので操作性に問題はないが、筆者の好みではボタンを押したことをはっきりと知らせてくれる感触がほしかった。
インタフェースは、Expressカードスロットやメモリカードスロット(SDメモリーカード/MMC/メモリースティックに対応)、2基のUSB 2.0といったデバイスを頻繁に着脱する端子類を右側面に並べる。また、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)やアナログRGB出力などのケーブルをつなぐ必要がある端子類を背面に集め、ケーブル接続時のわずらわしさを軽減しているのも歓迎できる。また、USB 2.0は背面にも2基が搭載されている。プリンタなど着脱の頻度が少ない機器は、背面のUSBポートに接続すればケーブルが邪魔になることはないだろう。
白と銀、そしてつや消しの黒というメリハリの利いたカラーリングを採用するボディは見栄えがよく、価格を抑えるためにデザインに妥協するといった、エントリー機を購入する際にありがちな悩ましい選択とは無縁ですむ。
システムに高い負荷をかけ続けると、背面左側にある排気口からやや大きめの風切り音が聞こえてくる。もっとも、周囲が騒がしい日中なら気になることはなく、グラフィックスに負荷をかけるプログラムでなければ、ファンのノイズはさらに低減する。発熱は全体的に控えめで、HDDが位置するキーボードや底面右側以外で熱を感じることはなかった。
別途グラフィックスチップを選択できず、チップセット統合型のグラフィックス機能ゆえ最新の3Dゲームを楽しむには不向きだが、それを除けば性能面で不満を感じる部分は少ない。液晶ディスプレイの表示品質にも割り切りは必要となるが、Vista Home Premiumを搭載しても最小構成なら9万円強、HDDの増量など必要最小限の強化を施しても10万円の予算を見込めば十分に間に合うことから、コストパフォーマンスを重視してVistaノートPCを選びたい人にとって非常に有力な選択肢となる1台だ。クセが少ないため、家庭からSOHOまで幅広い用途をカバーできるモデルとしても魅力的と言える。
原稿執筆時は、随時展開中のオンライン限定パッケージにおいて、Expressカードのワンセグチューナーをセットにして9万9990円、Home Basicを備えたモデルが6万円台と買い得感が高いモデルが用意されていた。さらに「個人事業主・SOHO・法人様向け限定ページ」では、OSにWindows XP Home Editionを搭載した最廉価モデルで5万9980円という価格が付けられており、価格を最重視するユーザーはキャンペーン情報を随時チェックしたいところだ。
次のページでは筆者おすすめのBTO構成を紹介しよう。
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