Vistaの発売を振り返るマイクロソフト中長期的な展望は明るい(1/2 ページ)

» 2007年04月23日 19時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]

Vistaによる2007年の経済効果は1兆8000億円と予測

マイクロソフトWindows本部本部長 ジェイ・ジェイミソン氏

 マイクロソフトは4月23日、Windows Vista発売後の市場動向や今後の施策に関する記者説明会を開催した。説明にあたったのは、同社Windows本部の本部長ジェイ・ジェイミソン氏だ。同氏はVistaの発売について「Vistaのリリースは、Windowsの歴史の中で初めて世界同時に行われ、PCメーカー、ソフトメーカー、ベンダーの関係が1つのエコシステムとなり、成功している」と評価し、日本市場は「とくに重要なメーカーが集まっていることから、世界同時リリースができたことは大きな意味がある」と述べた。

 Vista発売後のPCの売上げは、一時的に伸びたものの、3月に入ってから販売台数に陰りが見えてきたのが現状だ。同氏は、PCの売上げは期待していたほど伸びなかったと振り返りつつも、中長期的な展望は非常に明るいと強気な姿勢を見せた。その理由には「パートナーにとってのチャンス拡大」「顧客がプレミアムエディション(Vista Ultimate/Home Premium/Businessの総称)を積極的に購入していること」「互換性の高さ」の3点が挙げられるという。

 まず「パートナーにとってのチャンス拡大」だが、IDC JapanはVistaによる国内市場の経済効果が2007年に1兆8000億円にのぼり、Vistaの売上げ100円にあたる他社(ハードウェア、ソフトウェア、サービス)の売上げは2022円になると予測している。この予測から、同氏は「既存のパートナー企業はサービスを拡大でき、新規パートナー企業も加わることで、とくに中期的にはVistaのエコシステムがさらに大きな成功を収める」と見ている。

 「顧客がプレミアムエディションを積極的に購入していること」については、Vistaをリリース同時に購入したアーリーアダプター層がVista UltimateやHome Premiumを好んで選んでいることから、この流れが近く一般ユーザー層に降りてくると予想している。一般ユーザー層の反応は、表参道ヒルズで実施した体験イベントにおいて、67.8%が「Vistaの購入意向が高まった」と回答した例や、Vista発売後にメディアオンラインの利用が急増した例を挙げ、好調ぶりをアピールした。

IDC JapanによるPC出荷台数の推移とVistaに関する他社売上げの予測(写真=左)。個人向けPC市場における動向(写真=中央)。店頭の個人向けPCにおけるプレミアムエディションの比率は、店頭シェアで40%以上、メーカー製PCの搭載OS比率で70%以上となっている(GfK Japan調査)。DSP版では90%、パッケージ版では87%のユーザーがプレミアムエディションを選んでいる(マイクロソフト調査)。マイクロソフトによるVista体験イベントの来場者に行ったアンケートの結果とメディアオンラインのアクセス推移(写真=右)

 「互換性の高さ」に関しては、同氏が“Vistaのハイライトと言えるもの”と力説した。同社のWindows Vista互換性情報サイトでは、約2300のアプリケーション、約5400の周辺機器のVista対応状況を公表しており、Windows XP発売後の同時期と比較した場合、約150%の対応製品数を掲載しているという。店頭販売の製品では、アプリケーションやプリンタ、スキャナ、デジタルカメラの90%以上がVista対応の確認あるいはソリューションを提供ずみで、対応が遅れている携帯オーディオプレーヤーやビデオカメラは一部製品で対応を準備中としている。また、iPod(iTunes)のVista完全対応は、間もなく行われる見込みと述べた。

Windows Vista互換性情報サイト掲載数の推移(写真=左)。店頭販売製品におけるVista互換性対応状況(写真=右)

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