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「Vistaのデフラグは不完全」――ネットジャパンから最新システムユーティリティ

» 2007年04月27日 02時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

 ネットジャパンは、同社のシステムユーティリティ製品に関する製品説明会を実施した。今回発表されたのは、Vista対応の高機能デフラグツール「NetJapan PerfectDisk 8.0」および「PowerX PerfectDisk 8 Pro」と、システムリカバリツール「Standby Rescue Multi 3.0」(以下、SRL)および「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」(以下、SRM)、「PowerX StandbyDisk 4」の5製品。説明会には、PerfectDiskの開発元であるRaxco Softwareと、SRLとSRMの開発元であるLeapfrog Softwareの両CEOが同席し、技術説明や製品デモなどが行われた。

ネットワーク上にあるPCのディスク断片化状況を一括管理

 説明会の前半では、Raxco SoftwareのCEO、Bob Nolan氏が登壇し、PerfectDiskを紹介。同氏は昨今のHDD容量や1ファイルあたりのデータサイズの巨大化にともない、ファイルの断片化がPCパフォーマンスやユーザーの生産性を引き下げ、総じてシステム全体の運用コストを増大させてしまう大きな要因になっていると指摘し、デフラグの重要性を説明した。

 今回登場したPerfectDiskの最新版では、ネットワーク上にあるクライアントPCを監視し、ディスクの断片化状況にあわせてリモートでデフラグやレポート作成などが行える管理者向けコンソールが追加されたほか、断片化の起こりやすい単一ファイルに絞った最適化や、最適化後の自動シャットダウン、デフラグ実行時のCPU優先度の調整、システムがバッテリーやUPS駆動に切り替わった時点でタスクを停止する電源検知機能などが加わっている。

クライアントPCのディスク状況を一覧できるUI。マシンを指定するとパーティションごとの詳細も把握できる(写真=左)。新たに追加されたCommand Centerの設定では、空き領域や断片化状況などのさまざまな項目にしきい値を設定して、該当するマシンがあれば警告を発したりメールを送信できる(写真=中央)。問題のあるクライアントに対してリモート操作でデフラグを実行できる。方法はCommand CenterのUIから「PerfectDiskを使用した接続」を選択して直接実行、もしくはリモートデスクトップ接続を利用する方法の2通り(画面=右)

 またBob Nolan氏は、Windows標準のデフラグ機能には集中管理システムがないこと、ディスク運用状況のレポートを出せないこと、システムファイルに対応していないこと、空き領域の統合ができないことなど、特にエンタープライズでのニーズに対応できない問題を挙げ、さらにはWindows Vista標準のデフラグを実行した結果292の断片ファイルが未解消だった実例を示し、「Vistaのデフラグは不完全。そもそもVistaのツールではディスクの状況を確認することさえできない」(同氏)と述べ、それらの問題を解決できるPerfectDisk 8.0のメリットを強調した。

最適化前のディスク状況(画面=左)と、Vistaのデフラグツールを用いて最適化を行った後のディスク状況(画面=中央)。最適化後でも292のファイルが断片化されており、542ピースに分割され、空き領域の統合機能がないために最も大きな空き領域のサイズは395Kバイトになっている(つまり再び断片化が起こりやすい)。Vistaのディスク最適化ツールにはデフラグの進行内容を示すグラフィカルなUIがないので、この状況を把握することもできない。一方、PerfectDisk 8.0を実行すると断片ファイルはわずか1(2ピース)/最大の空き領域は50.2Mバイトまで最適化されている(画面=右)

 なお、PerfectDisk 8.0には、Desktop Edition(1ライセンス5000円〜)/Server Edition(1ライセンス4万1000円〜)/Exchange Server Edition(1ライセンス7万円)の3つのエディションが用意されている。このほか、個人/SOHO向けに集中管理機能などを省いたPowerX PerfectDisk 8 Pro(パッケージ版シングルライセンス6195円)もある。

障害から瞬時にシステムを復旧する

 続けて後半の部では、Leapfrog SoftwareのCEOであるBob Alitieri氏が、ファイルの破損や誤操作などによるシステム障害からリカバリを行うためのツール「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」(SRL)と、「Standby Rescue Multi 3.0」(SRM)を紹介した。

 SRLはシステムドライブの“スナップショット”を同一パーティション内(スタンバイエリア)に作成し、障害発生時にスタンバイエリアから起動することでリカバリを行うソフト。この“スナップショット”では、システムドライブを内部的に二重化(完全コピー、つまり同サイズの領域を占有)するため、バックアップからの書き戻しといった作業が発生せず、ブートシーケンス時のホットキー操作だけで瞬時にシステムを復旧できるのが特徴だ。すでにNECや富士通などのメーカー製PCでも採用実績がある。

 バックアップ対象はシステムドライブ内のOS、アプリケーション、環境設定、データファイルで、バックアップしたくないフォルダ/ファイルの除外機能も搭載。このほか、電源強制オフの回数によるスタンバイエリアへの自動切り替え機能や、リモート操作のための外部コマンドなども用意されている。

非常にシンプルなUIだ(画面=左)。製品デモでは壁紙を切り替える小さな変更に加えて(画面=中央)、Windows/SYSTEM32/Driversフォルダをゴミ箱に突っ込むといった致命的な変更も加えられたが……(画面=右)
……当然Windowsの起動に失敗(画面=左)。ここでブート時にスタンバイエリアからの起動をうながす選択が表示され(画面=中央)、許可するとWindowsが起動し、壁紙を変更する前デスクトップが現れた(画面=右)

 一方のSRMは、2台のHDDを用い、稼働中のディスクの内容をバックアップ専用HDD(スタンバイディスク)に完全コピーすることでハードウェア/ソフトウェア障害に備える。あらかじめ(予備の)スタンバイディスクにスケジューリング/手動による全自動差分バックアップを実行しておき、障害が発生した際にBIOSでブートドライブを切り替えることにより、即座にリカバリを行う仕組みだ。RAID 1(ミラーリング)のようなリアルタイムの複製ではないため、復旧時はバックアップ時点まで巻き戻されることになるが、ユーザーによる誤操作などが原因のソフトウェア障害からでもリカバリできる。なお、こちらもフォルダ/ファイルの除外機能や外部コマンドが用意されている。

SRMのデモでもSYSTEM32内フォルダを削除。BIOSメニューからブートの優先順位を変更し、スタンバイディスクから起動することで復旧した(画面=左/中央)。なお、復旧後はスタンバイディスクとアクティブディスクをスイッチしてペアリング(正常なディスクから旧アクティブディスクへのコピー)も行えるが、同期するとバックアップ時点のデータに上書きされてしまうため、データファイルなどの巻き戻しを回避するためには、該当ファイルを手動で退避する必要がある(写真=右)

 スタンバイ レスキュー Lite 3.0の価格は、1ライセンスあたり5150円(アカデミック版は3860円)から。Standby Rescue Multi 3.0は1ライセンスあたり8300円(アカデミック版は6230円)から販売される。なお個人/SOHO向けには、Standby Rescue Multi 3.0とほぼ同等の機能を持つ「PowerX StandbyDisk 4」もある。こちらはパッケージ版が1万290円、ダウンロード版が7350円。

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