現在のところ、利用可能なUSB機器としてリストアップされているものはストレージ、キーボード、マウス、ゲームパッド、それにワイヤレスLANアダプタだ。もちろん、GP2XのOSはLinuxであり、ドライバさえ登場すればそのほかのUSB機器が利用できる可能性も高い。
マスストレージクラスのUSB機器、つまりWindowsなどで接続するだけでリムーバブルディスクとして認識される機器はGP2Xでも同様に認識される。ただし、試してみた限りではFAT32はOKだが、FATは認識できないようだった。また、USB→IDE/SATA変換アダプタなどを使って接続したNTFS HDDも利用できない。
実用ツールの利用にはキーボード、あるいはその代わりとなる文字入力用デバイスが欠かせない。テキスト入力を要するアプリケーションでは作者たちが創意工夫して、GP2X本体の少ないボタンで入力する方法を編み出しているが、キーボードが使えるに越したことはない。
もっとも、今のところ日本語が入力可能なものは出てきていないため、設定ファイルの書き換えなど限定的な利用にとどまりそうだ。ここではターミナルエミュレータstermを試してみたが、なぜかSHIFTキーが英文字に対してしか有効にならず、数字キーや記号キーでは無視されてしまうという現象が発生していた。そのため、SHIFTキーを押しながらでなければ入力できない文字が入力できず、ちょっと使い物にはならなかった。SHIFTキー自体は認識しているようなので単なるstermのバグなのかもしれない。
表は英語版Happy Hacking Keyboardで確認したもの。日本語キーボードなどでは異なる可能性もあるので、利用する際にはT-Modeで実際に確認するといいだろう。
シリアルポートは主にデバッグ用だが、システムコンソールの入出力となっている。そのためブート時のメッセージのほか、プログラムによってはエラーメッセージなどが出力されている場合もある。起動時にSDメモリーカードが認識されない、アプリケーションが起動後にすぐに終了してしまうなど、原因がよく分からない障害の場合はシリアルポートの出力をチェックしてみるといいだろう。
今回は端末エミュレータの定番であるTeraTerm Proの後継「UTF-8 TeraTerm Pro with TTSSH2」を使用した。設定はボーレート115,200bps、データ8ビット、パリティなし、ストップ1ビット、フロー制御Xon/Xoffにする。文字コードにはUTF-8を選べばよい。
なお、Ctrl+Cを押すと現在のプログラムが終了し、root権限でシェル操作が可能になる。この操作によってGP2Xのスクリーンはブラックアウトし、まったく操作できない状態になる。復帰させるためには“/usr/gp2x/gp2xmenu”と入力してメニューを起動すればよい。
末尾に「&」をつけてバックグラウンドプロセスとして走らせればシリアルコンソールと同時利用が可能だが、あくまでも自己責任のうえで試してほしい。
利用価値が大きいのはUSBマスストレージクラスが利用可能になることと、USBゲームパッドが利用できること、この2点だろう。なんとなく中途半端な印象があるかもしれないがそこは逆に考えてほしい。今まで携帯ゲーム機でしかなかったGP2Xが、ゲームパッドを接続し、Sビデオ端子とオーディオ端子でTVに出力する据え置き型ゲーム機にも変身できるようになったのだ、と。
これは半分冗談だが、半分は本気だ。今はSDメモリーカードもかなり価格がこなれてきており、携帯するには十分な容量を確保することができるようになった。しかし、容量単価で言えばHDDが圧倒的だ。例えば、GP2X File Archiveの全ファイル(原稿執筆時で3.532Gバイト)をすべてダウンロードし、展開しても十分に余裕のある容量のストレージを用意することは難しくないだろう。
しかし、USB外付けHDDを接続するためにGP2Xをクレードルに接続すると、今度はGP2X本体での操作がしづらくなる。それを解決するのがゲームパッドとSビデオ出力だ。結果的にこれは据え置き型ゲーム機の一般的な形態でもある。また、クレードルという、一般ユーザーに受け入れられやすい周辺機器が出たことで、GP2XコミュニティのUSB機器への取り組みもこれまで以上に加速するに違いない。そういった意味でも、非常に期待の大きい周辺機器だと言えよう。
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