600万円の業務用ビデオ編集環境を3万円で個人へ――カノープス「EDIUS Neo」Vista対応ハイビジョン編集ソフト

» 2007年06月06日 00時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

AVCHDの編集に対応した個人向けEDIUSの最新版

EDIUS Neo

 カノープスは6月5日、個人向けビデオ編集ソフト「EDIUS Neo」を7月下旬より発売すると発表した。価格は通常版が3万1290円、他社製品からの乗り換え版が2万4990円、優待版およびアカデミック版が2万2890円となっている。

 EDIUS Neoは、同社が展開するビデオ編集ソフト「EDIUS」シリーズにおいて、業務用の「EDIUS Pro」と、教育機関および初心者向けの「エディウスJ」の間に位置する製品。「EDIUS 3 for HDV」の後継製品に相当する高機能な個人向けビデオ編集ソフトだ。エディウスJとEDIUS 3 for HDVのユーザーがEDIUS Neoにアップグレードするには、優待版の購入が必要となる。

 ユーザーインタフェースは、同社を傘下に収めるトムソン・グラスバレーが人間工学に基づいて開発したという新デザインを採用。タイムライン方式による基本的なレイアウトは従来のEDIUS 3 for HDVを継承しているが、カラーを黒ベースのものに一新し、アイコンを大きくしたり、フォントを見直すなどの変更が加えられた。これにより、トムソン製品全体の使用感統一と直感的なユーザビリティの実現を図ったとしている。

 ビデオカメラはDV、HDV、AVCHDの各形式をサポートし、異なるフォーマットの混在編集も可能だ。DVとHDVはビデオカメラからのキャプチャと編集後のテープ書き戻しに対応するが、AVCHDは入力と編集のみ可能で、編集後はHD解像度のMPEG-2ファイルとして保存することになる。MPEG-4やMPEG-4 AVC/H.264での出力には対応しない。MPEGの編集部分だけを再エンコードして出力するセグメントエンコード機能、HDV(MPEG-2 TS)を高速に出力できるSpeed Encoder for HDV機能、メニュー付きDVD-Videoの作成機能も持つ。

 対応OSはWindows XP/Vista(32ビット版)で、EDIUSシリーズとしては初めてWindows Vistaをサポートした。HD映像を扱う場合の動作環境は、CPUがXeon 2.8GHz以上、Pentium D 3.0GHz以上、Core 2 Duo E6300(1.86GHz)以上、メモリは1Gバイト以上を推奨している。

 製品発表会で壇上に立った同社企画マーケティング部の安齋尊顕氏は、EDIUS Neoについて「カノープスが発売する600万円の業務用ビデオ編集システムと同じエンジンと操作系を採用した製品。ハイアマチュアや将来的に業務用ビデオ編集の道に進みたいという人がステップアップのために触れるソフトとして最適だ」と語った。

デザインが変更されたEDIUS Neoの操作画面(写真=左)。カノープス企画マーケティング部の安齋尊顕氏(写真=右)

業務用のEDIUS Proは対応フォーマットを大幅拡張

EDIUS Pro version 4.5

 同社は業務用ビデオ編集ソフト「EDIUS Pro version 4.5」も同時発表した。現行版の「EDIUS Pro version 4」からのアップデートモジュールとして、7月下旬より無償で提供される。EDIUS Pro version 4の価格は7万3290円。

 EDIUS Proは、EDIUS Neoと共通の新しいユーザーインタフェースを採用するほか、対応フォーマットを拡張。AVCHD(1920×1080/1440×1080ドット)のインポートに加えて、パナソニックの業務用ビデオカメラで使われるAVC-Intraのインポート、DVCPRO HD 720 59.94p/23.98p over 59.94pのキャプチャと出力、グラスバレーの業務用ビデオカメラ「infinity」が採用するJPEG2000のインポートが可能だ。HDV形式のサポートも拡充され、ソニーのHDV 1080 24p/25p/30pやJVCのHDV 720 59.94p/50pが扱えるようになった。

AVC-Intra(写真=左)、XDCAM新型ドライブ(写真=中央)、ソニーの24p over 60iのHDV(写真=右)に対応した

 機能面では、ソフトの設定やGUIのレイアウト、プロジェクトの設定、出力時のプリセット設定を保存可能になったほか、タイムライン上からワンボタンでDVD-Videoを作成できる機能、AAF(Advanced Authoring Format)のインポート/エクスポートによるPro ToolsやAfter Effectsとのデータ連係、エクスポート時のバッチ処理などが追加された。

 他機器との接続に関しては、武蔵のコントローラー「MKB-88」やBEHRINGERのコントローラー「BCF2000」、フロンテックの日本語タイトラー「VZ50」やカンバスの日本語タイトラー「SST」シリーズに対応。グラスバレーの業務用ビデオシステムやカノープスのネットワーク映像配信システム「MEDIAEDGE」との連携も強化された。

ユーザープロファイルやプロジェクト設定の保存に対応(写真=左)。エクスポート時のバッチ処理は、1つの映像コンテンツを用途別の複数フォーマットで出力する場合に役立つ(写真=中央)。EDIUS Proに搭載されている機能のうち、EDIUS Neoにはない機能の一覧(写真=右)

 製品の説明を行った安齋尊顕氏は、EDIUS Proのメリットを「カメラメーカーとの密接な連携による最新フォーマットと各種コーデックの対応、コストパフォーマンスの高さ、サーバシステムへの対応やサードパーティとの連携による柔軟なソリューションが提供できること」とし、「今回のバージョンは4.5だが、バージョン5にしてもよかったほど進化している」とアピールした。

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