ビデオキャプチャカードもHDの時代へ――カノープス「HDRECS」の実力は?HDMIからフルHD録画が可能(2/3 ページ)

» 2007年07月11日 15時30分 公開
[都築航一,ITmedia]

簡単操作でCPU負荷も少なくHDビデオキャプチャが可能

ビデオキャプチャソフトの「HQ RECORDER」。画面はビデオカメラの1080/60i映像をHDMI経由で録画しているところ

 今回は、CPUがPentium D 820(2.8GHz)、メインメモリが2Gバイト(DDR2-667)、7200rpmのSerial ATA HDDを搭載したデスクトップPCに、Windows Vista Home Premiumをインストールした状態で、HDRECSを使ってみた。HDRECSはソース映像の解像度を変えることなく、入力された解像度のままでキャプチャする仕様のため、とくにPCの画面を取り込む場合は、表示解像度の設定をHQ RECORDERのプリセットに合わせるといったコツがいるものの、プレビュー画面に映像が表示されれば、キャプチャの作業自体は実に簡単だ。

 前述したハードウェアエンコーダに加えて、入力した映像を非圧縮表示するためのスケーラも搭載し、PCに負荷をかけずに映像をダウンスケーリングしながらプレビューするため、HQ RECORDERの画面にライブ映像を表示しながらHD映像がキャプチャできる。実際、CPUの負荷は小さく、キャプチャ中にほかの操作をしなければ、システムが不安定になることもなかった。

 HQ RECORDERの画面構成はシンプルで、プレビュー画面上部の一覧から入力ソースを選び、画面下部の録画ボタンを押すだけで、プレビュー中の画面を指定したフォルダにAVIファイル(映像がCanopus HQ Codec、音声がリニアPCM)として保存できる。操作に迷うことはないだろう。また、録画時間を設定できる「スケジュール録画」や、映像入力を検知すると録画がスタートする「自動録画」といった付加機能も持つ。スケジュール録画機能は、タスクバーに常駐させておけば、スタンバイ状態などから自動復帰しての録画や、録画後のスタンバイ状態への移行にも対応する。

HQ RECORDERの設定画面は大きく2項目に分かれる。アプリケーション設定では、スケジュール録画機能を使う場合に便利な動作設定や、プレビュー画面の表示方法などを決められる(写真=左)。HQ Codecパラメータ設定は、画質の詳細設定を行なう画面で、プリセットおよびカスタム設定が可能だが、通常は「オンライン(標準)」で満足のいく画質が得られる(写真=中央)。スケジュール予約の設定では、録画開始時間や録画継続時間、入力ソースなどを設定できる(写真=右)

 ただし、当然のことながら、コピー制御のかかった映像の録画は非対応だ。HDRECSはHDCPに対応していないため、HDCP対応が必須の映像も取り込めない。動作検証のため、HDD/DVDレコーダーをHDRECSのコンポーネントビデオ入力に接続して試したところ、アナログ放送のTV番組は問題なくキャプチャできたが、市販のDVD-VideoなどはHQ RECORDERのプレビュー画面に表示されるだけで、録画ボタンを押すと強制的に停止状態に移行し、録画できなかった。

 また、ソニーのBlu-ray Disc搭載ノートPC「VAIO type A VGN-AR73DB」のHDMI出力端子(HDCP対応)をHDRECSに接続した場合、PCの画面自体は正常にキャプチャできたが、市販のDVD-VideoやBlu-ray DiscのBD-Videoを再生してみると、再生ソフト側で「この画面設定では表示できません」というアラームが出て、映像が表示されなかった。

 一方、自分で撮影したHDビデオカメラの映像は、HDMIでもアナログでも1080/60iから480/60iまで、さまざまな解像度でまったく問題なく録画できた。さらに、プレイステーション 3とのHDMI接続やXbox 360とのコンポーネントビデオ接続を試したところ、複数のゲームがフルHDでキャプチャできることが確認できた(つまりゲームタイトル側にコピー制御信号が入っていない)が、コピー制御のかかったコンテンツを再生する場合は録画できない仕様となっている。

アナログRGB入力では4つの解像度が選べる

 アナログRGBやDVIを経由してPCの画面をキャプチャする場合は、デュアル映像出力対応のグラフィックスカードを使っていれば、HDRECSを装着したPC自身の画面をキャプチャできるため、必ずしもPCを2台用意する必要はない。保存可能な解像度とフレームレートは、640×480ドット/60p、800×600ドット/60p、1024×768ドット/60p、そして1280×1024ドット/30pの4種類で、1280×1024ドットは60pの映像を30pに間引いて記録する仕組みだ。画面を出力する側のPC(もしくはディスプレイ)も、当然これら4つのどれかに出力解像度を合わせる必要がある。

 解像度は最大1280×1024ドット/30pに限られるとはいえ、実はHDRECSにおいてキャプチャの自由度が最も高いのはこのPCの画面を入力した場合と言える。とくにアナログRGBで入力した映像は、HQ RECORDER上でプレビューさえできれば、録画時もすべての画面を正常に保存することができる。デスクトップ上にオーバーレイで表示している映像なども含めて、画面をまるごと動画としてアナログキャプチャすることが可能なのだ。

 なお、DVI-Dで映像を入力するときは、市販のHDMI-DVI変換アダプタを介して、HDRECSのHDMI端子から入力することになる。家電量販店などで販売されている変換アダプタは、映像だけを変換する仕様のものがほとんどだが、PCの画面のみを入力するのであれば問題ないだろう。ただし、デジタル音声とDVI-Dの入力をHDMI出力に変換するアダプタも存在するので、音声もHDMIから入力したい場合は、この方法で対応できる可能性がある。

録画したデータはDVDやBlu-ray Discに保存

 ビデオキャプチャが終わったら、通常はEDIUSなどの別ソフトで編集したうえで、別のファイル形式で保存することになるだろうが、他機器で再生可能なディスクメディアへファイルを変換/保存したいだけであれば、同梱のサイバーリンク製オーサリングソフト「PowerProducer v4」を使うことで作業を完結できる。

 PowerProducer v4では、CD(Video CD)、DVD(DVD-VideoおよびDVD±VR)、そしてBD-R/RE(BDAV)の書き込みに対応しており、もちろんCanopus HQ CodecのAVIファイルをそのまま読み込める。映像の前後を削除する程度の簡単なビデオ編集も可能だ。どのメディアへ保存する場合でも、最終的には各メディアの仕様に合わせた再エンコードが行なわれ、BDAVの場合はMPEG-2でエンコードされる。

 試しに容量12Gバイト(再生時間は約15分)ほどのHD映像を、パナソニックのBlu-ray Discドライブ「LF-MB121JD」を利用してBD-REへ書き込んだところ、データは約5Gバイトほどに圧縮され、圧縮と書き込みにかかった時間は40分ほどだった。完成したBD-REは、サイバーリンクが発売するDVDプレーヤーソフト「PowerDVD7 Vista ハイビジョンシアター」で再生できた。

PowerProducer v4でのBlu-ray Discオーサリング。16:9および4:3のアスペクト比で録画したファイルを正しい縦横比で表示できる。メニュー画面が作成できるような画面構成だが、BDAV形式での書き込み時は、当然ながらメニューを作ることはできない(写真=左)。各ファイルをダブルクリックすると編集の画面に移行し、各ファイルを分割/結合したり、ファイルの前後をカットできる(写真=右)

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