USB-RGBは一般に言う「グラフィックスカード」とは異なり、標準のVGAドライバでは動作しない。つまり、BIOSなどを表示するプライマリ画面としては利用できず、Windowsが起動したのちにようやく表示が可能になる。USB-RGBがあればグラフィックスカードが不要になるというわけではないので注意が必要だ。なお、ドライバはWindows2000/XP専用で、Windowsが起動してからでないと利用可能にはならない。
さて、専用ドライバをインストールしてUSB-RGBを接続すると、システムトレイに管理ツールアイコンが表示される。USB-RGBの画面モードや解像度はここから設定する。画面モードは、ディスプレイを大きな1つのデスクトップとして利用する「移動」、同じ画面を両方に表示する「ミラー」、表示を行わない「無効」の3種類がある。「移動」の場合はさらに解像度、配置を選択することができる。
ちなみに解像度に関しては前述のとおり最大1440×900ドット(WXGA+)表示まで可能だが、複数のワイド液晶ディスプレイを試したところ、WXGA+に対応したプリンストンの「PTFBHF-19W」では1440×900ドットを選択することができなかった(スクエア画面での最大解像度は1400×1050ドットになる)。
それではUSB-RGBのパフォーマンスはどうだろうか。いままでUSBグラフィックスアダプタは、そもそもパフォーマンスが期待できないこともあって、ベンチマークテストによる評価ではほとんど語られてこなかった。しかし、USB-RGBは動画再生への対応をうたう製品である。ここでは動画再生時の体感的な評価ではなく、きちんとベンチマークテストを実施してみることにした。
評価方法は、USB-RGBを移動モードで使用し、USB-RGBをプライマリにした場合、セカンダリにした場合、ミラーモードの場合、これに加えてUSB-RGBを無効にした場合の計4パターンをCrystalMark2004R2で計測した。なお、テスト機に利用したのはCore 2 Duo T7600(2.33GHz)を搭載したMacBook Proと、Celeron D 2.53GHzを積んだThinkCentre S50 UltraSmallだ。
掲載したグラフは、USB-RGBを無効にした場合のスコアを100%として3回計測した結果の平均を出している。ちなみにこの方法では、プライマリに設定された側にのみグラフィックステストが実行されるため、USB-RGBがセカンダリに設定されている場合は、実際にはUSB-RGB側でのテストは行われない。「USB-RGBを使っているとPC本体側のパフォーマンスも変化するのかどうか」というテストだと考えてほしい(なお、Celeron DおよびCore 2 Duoのグラフは、各マシンについての相対評価であり、Celeron DとCore 2 Duoを比較するものではない)。
ほかの要因によってテスト結果に影響が出ているところもあるが、PC本体側出力のパフォーマンス低下は最大で10%程度、一方、USB-RGBで描画を行った場合は、パフォーマンスの低下はPCスペックに大きく依存する結果となった。
USB-RGBを取り上げたほかの評価記事では「動画をフルスクリーンで表示するとコマ落ちが発生した」という記述もあるようだが、基本スペックの高いMacBook ProでならWMV HD動画のフルスクリーン表示という非常に負荷の高い処理でもコマ落ちはほとんど発生していない(ただし、その間の応答性は非常に悪く、アプリケーションが無応答になることも何度かあった)。
本来AGPやPCI Express x16といった広帯域を必要とするグラフィックスアダプタを、たかだか480Mbps程度のUSB 2.0で接続する以上、ボトルネックはUSB 2.0にあるはず。ところが結果を見ると、実際にはそれ以上にPCスペックの影響が大きいようだ。これはいったいどういうことなのだろうか。
その謎はUSB-RGBを分解してようやく解けた。我々はどうもUSB-RGBについて根本的な誤解をしていたようだ。
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