「LOST PLANET」でDirectX 10をもっと楽しむ──アップデートで改善される速度と視覚効果:“ふさふさ”モンスターは好きですか(2/2 ページ)

» 2007年08月10日 00時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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MTマルチプラットフォームでPCゲーム開発にシフト

カプコンの竹内潤氏(開発統括本部CS開発統括編成部長)は、多忙を極めるため社内で捕まえることは難しい。近くの家電量販店で目撃されることが多いという(自己申告)

 LOST PLANETの開発を統括してきたカプコンの竹内潤氏(開発統括本部CS開発統括編成部長)は、同社のPCゲームに対する考えを説明してくれた。竹内氏によると、これまでのコンソールゲーム機市場では、競争を経て「勝ち組」と呼ばれるメインプラットフォームがでてきたが、Xbox 360やPS3、Wiiといった新世代ゲーム機では勝者が見えてこない状況にあるという。これに対応するため、「マルチプラットフォーム戦略」を取り入れることになったと述べている。また、ゲーム市場が縮小傾向にある日本から、海外市場に進出するには“PC”もほかのコンソールゲーム機と同じプラットフォームとして扱わなければならないという事情もあったそうだ。

「日本では台数ベースでWiiがトップだが、北米ではXbox 360が大きなシェアを持っている。 ヨーロッパではどちらもこれから立ち上がるところで、現行ではPS2。しかし、普遍的なプラットフォームとしてPCがある」と竹内氏が分析するように、各地域で別々なプラットフォームがメインとなった場合、カプコンのようなゲームタイトルを供給するサードパーティは、「正直なかなか戦略も立てにくいし技術的にも“しんどく”なっていく」(竹内氏)

 そういう状況で、開発研究チームから提案のあった、マルチプラットフォームで共通エンジンを採用し、各プラットフォームに同じタイトルを提供できる環境を整備することになった。このマルチプラットフォームの1つとしてPCゲームにも力を入れていけるベースができたと竹内氏は説明する。

 このように、カプコンがPCゲームに参入できる大きな要因となったのが、マルチプラットフォームでゲーム開発環境を共有できる同社独自の「MTフレームワーク」だ。この開発環境をゲームタイトルで採用することで、エンジンの開発費が安価にでき、それがゲームタイトルの開発コストの抑制につながると竹内氏は説明する。このMTフレームワークが技術の進化に合わせてアップデートされていけば、個別のゲームタイトルでも最新の技術を容易に導入できるというのがカプコンの考えだ。

 とはいえ、最大解像度がコンソールゲーム機より格段に上がっているPCゲームを開発する場合、テクスチャの作りこみ1つにしても膨大な手間と多大な開発リソースを必要とするはずだ。この問題について竹内氏は、増えた手間が開発コストを押し上げる事実を認めながらも、MTフレームワークの採用でPCゲームでも開発コストが削減されることと、1つのゲームタイトルが複数のプラットフォーム向けに販売されることで対象市場が拡大し、収益の増加につながるので、そこで増えた開発コストを吸収できるという考えを示した。

 また、最初に“重い”PC版を作っておけばコンソールゲーム機に移植するときは、実装する機能の取捨選択となるのでリーズナブルになるともしている。「テクスチャも(少ないものから)伸張して使うとボケて使いにくいが、(多いところから少ない方向への)圧縮技術は進んでいるのでさほど難しくない」(竹内氏)

 ただ、過渡期の運用となったLOST PLANETはXbox 360からPC版を開発したので大変だったと竹内氏は振り返る。これは、フレームワークの開発がそもそも、PCを起点としてそこからXbox 360に特化し、それからさらに(LOST PLANETの開発で)PCに特化していくという、寄り道の経過をしているためで、LOST PLANETの開発は特殊な例とカプコンでは考えているという。

 そのうえで竹内氏は、今後のPCゲーム戦略は、このマルチプラットフォームがベースになるとして、MTフレームワークを使った第一弾のLOST PLANETがXbox 360が登場したのちにPC版が登場したが、今後はタイムラグが発生しない、異なるプラットフォーム向けのゲームタイトルがほぼ同時に登場することを目標としていくと語った。「プラットフォームを問わず、ユーザーが持っているハードウェアで最高のゲーム体験ができるようになればいいなというのを(カプコンの)一番大きな戦略にしている」(竹内氏)

 カプコンの開発チームは、アップデートが頻繁に行えないコンソールゲーム機と異なり、パーツレベルでより革新的な技術が随時投入されるPCのゲーム環境は、 ゲームの未来像をいち早く把握する大きな指標であり、カプコンの技術を堅持するための重要な要素だと考えている。そのため、各ゲームプラットフォームに最適化していくために技術を注いで行くのがPCであると認識しているという。「カプコンの考えとしては、これまでのコンソールゲーム機ベースの開発からもう少しPCベースの開発にシフトするような感じです」(竹内氏)

 カプコンは次のPCゲームタイトルとして、「DEVIL MAY CRY 4」のPC版を投入する予定だが、そのタイミングは「ほかのプラットフォームと近い時期の発売を目指したい」としており、その時点における最新のDirectXのバージョンやGPUなどの最新技術に対応できるようにすると竹内氏は述べている。

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