AMDのシェア上昇は「市場に自由がもたらされたため」

» 2007年08月30日 19時33分 公開
[ITmedia]
photo マッコイ氏

 プロセッサ市場の競争環境をめぐり、米Intelと争っている米AMDの法務担当幹部が来日し、8月30日、現在の状況などを説明した。7月に欧州委員会がIntelの独占禁止法違反を認めたことについて、AMD幹部は「日本の公正取引委員会がIntelに排除勧告した判断は正しかったことが明らかになった」と評価した。

 来日した執行副社長のトーマス・マッコイ氏は従来の経緯を説明。欧州では2006年、Intelが独流通大手に対しAMDプロセッサ搭載PCを販売しないよう圧力をかけていたことが明らかになったとして、AMDが独禁法当局に申し立てたことで、欧州委が調査を開始した。

 7月、欧州委はIntelの独禁法違反を認めた異議告知書(Statement of Objections)を送付。PCメーカーにIntelプロセッサの採用を条件に巨額のリベートを支払った──など3点の違反行為があったと指摘。これに対しIntelは「当社の行為は合法かつ競争促進的であり、消費者の利益になるものだと確信している」と反論した(関連記事参照)

 日本では05年3月、Intelが他社製プロセッサの不採用を条件にPCメーカーにリベートを提供し、競争を制限したとして公取委が排除勧告した。Intelは公取委が挙げた事実は認めなかったものの、排除勧告は応諾。これを受け、日本AMDはIntel日本法人に約60億円の損害賠償を求める訴訟を同年6月に起こした。

 AMDによると、AMDは今年4月までに準備書面を7回提出し、インテルの違法行為を指摘。この間、インテル側は営業秘密が含まれる証拠の閲覧制限を申し立てるなどし、AMDの主張に答える最初の準備書面を提出したのは今年5月になってからという。

 吉澤俊介取締役は「できるだけ隠し、延ばすのがインテルの訴訟戦術では」と話し、違法行為をインテルが認めないことに対し、「排除勧告を応諾しながら違法行為を否認するのは論理矛盾」と非難した。両社の主張が真っ向食い違うこともあり、結審・判決まで「数年」はかかる見通し。

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 公取委の排除勧告などがあった2005年以降、AMDの市場シェアは上昇傾向にあるという。マッコイ氏は「これまでも技術的に優れていながらシェアが伸びなかった。05年以降のシェアの上昇は、市場に自由がもたらされたからだろう」と話した。

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