AIインフラの主役は今もHDD WDがCOMPUTEXで語った「超高密度JBOD」とストレージ価格の行方COMPUTEX TAIPEI 2026(1/2 ページ)

» 2026年06月05日 11時30分 公開
[すまさITmedia]

 生成AIの急速な発展に伴い、現在はGPUをはじめとするコンピューティングリソースばかりに注目が集まりがちだ。しかしその裏では、AIシステムが生成・消費する膨大なデータをいかにコスト効率よく保存・管理するかという「物理的なストレージの課題」に直面しているデータセンターが数多く存在する。

 ウエスタンデジタル(WD)は、台湾で開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2026で、メディア向けブリーフィングを開催した。同社はAIを単なる計算システムではなく「データシステム」であると定義し、データセンターにおけるHDDの圧倒的な優位性と、超高密度実装を支える最新のプラットフォーム技術について解説した。

photo ウエスタンデジタル(WD)がメディア向けブリーフィングを開催した
photo ウエスタンデジタル(WD)のステファン・マンドル氏(ワールドワイドセールス&マーケティング担当VP)(写真=左)と、同社のスコット・ハミルトン氏(プロダクトマネジメントおよびマーケティング&コンシューマーエクスペリエンス担当 シニアディレクター)(写真=右)
photo ウエスタンデジタル(WD)のHDDラインアップ

データセンターの80%はHDD フラッシュストレージとの価格差は「22倍」に

 WDのワールドワイドセールス&マーケティング担当VPを務めるステファン・マンドル氏は、「データはAIの副産物ではなく、AIそのものを支える重要な基盤である」と力説した。

 ステファン氏によると、AIインフラへの投資は今後5年間で年平均30〜31%のペースで成長すると予測されている。その旺盛な需要のなかで、現在データセンターに保存されているデータの約80%をHDDが占めており、この比率は2029年まで維持される見通しだという。

photo ウエスタンデジタル(WD)のステファン・マンドル氏(ワールドワイドセールス&マーケティング担当VP)

 なぜ、全てを高速なフラッシュストレージ(SSD)に置き換えないのか。その理由は「総所有コスト(TCO)」の差にある。同氏によれば、フラッシュストレージとHDDの価格差は、1〜2年前こそ6〜10倍程度だったものの、現在では「20〜22倍」にまで拡大している。膨大なデータを長期間にわたり永続的に保持する基盤として、HDDは依然として圧倒的なコストメリットを誇っている。

4Uに102台を収容 高密度実装を支える冷却/防振技術

 続いて、プロダクトマネジメントおよびマーケティング&コンシューマーエクスペリエンス担当 シニアディレクターのスコット・ハミルトン氏が、データセンター向けハードウェアの最前線について語った。現在のAIサーバ内部はGPUやCPU、メモリによって物理的なスペースが占有されており、ストレージを外に切り離す「ディスアグリゲーテッド(分離型)ストレージ」への移行が加速している。

photo ウエスタンデジタル(WD)のスコット・ハミルトン氏(プロダクトマネジメントおよびマーケティング&コンシューマーエクスペリエンス担当 シニアディレクター)

 会場に展示された「Ultrastar Data 3000シリーズ JBOD」は、わずか4Uのスペースに最大102台のHDDを収容する超高密度設計を誇る。しかしスコット氏は、物理駆動するHDDをこれほど高密度に集積した場合、「熱」と「振動」がパフォーマンスや信頼性に致命的な悪影響を及ぼすと指摘した。

photo 最大60台のHDDを収容できるタイプとなるUltrastar Data60 3000シリーズが会場で展示されていた

 この課題に対し、同社は独自のソリューションを提示した。単に前面から背面へ風を流すのではなく、サーバ内に3つの独立した冷却ゾーンを配置する「ArcticFlow」技術と、サーバ内部に衝撃吸収材の役割を果たすカットアウトを施した特許取得済みの防振技術「IsoVibe」の2つだ。

photo ArcticFlowのイメージ(WD YouTubeより)
photo IsoVibeのイメージ(WD YouTubeより)

 本製品は「Open Compute Project(OCP) ORv3」仕様に準拠したモデルも用意しており、24GbpsのSAS 4ホスト接続を備えるなど、将来的な帯域幅の拡張にも対応可能なスペックを持つ。さらに、ArcticFlowとIsoVibeを組み合わせることで、故障などによるドライブの返品率(返却率)を最大62%も低減できるという。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月04日 更新
  1. 「Steam Machine」をWindows化してみた 導入手順のコツやパフォーマンスは? (2026年09月03日)
  2. ローカルLLMをNPU単体で動かせる「Lemonade Server」をRyzen AI 9 HX 470搭載の「Minisforum AI X1 Pro-470」で試してみた (2026年09月04日)
  3. ドライブ非搭載のPCに適した外付けブルーレイドライブ「LBD-LPWCWU3CVDB」がセールで15%オフの2万500円に (2026年09月02日)
  4. ThinkPadの35周年に「何かやりたい」――歴代記念モデルの歩みと、2027年に向けた開発トップの回答 (2026年09月03日)
  5. あなたの死生観は何おにぎり? 石川県の老舗葬祭用品メーカーが「死ンキング16タイプ診断」を作った深い理由 (2026年09月03日)
  6. REDMAGIC、水冷機構を採用した9型有機ELゲーミングタブレット (2026年09月03日)
  7. マウス参入から22年、バッファロー初のトラックボール「BSTBB700」の完成度をチェックする (2026年09月02日)
  8. 災害時も冷蔵庫を止めない! 停電から10ミリ秒で給電を開始する厚さ約75mmの薄型UPS電源「BLUETTI FridgePower」登場 (2026年09月01日)
  9. サンワ、超小型マウスとして分離もできる2in1設計のエルゴマウス Makuakeで先行販売 (2026年09月03日)
  10. WindowsでもローカルLLMが快適に? 開発中ビルドで見つかった「AI向けメモリ割り当て機能」の正体 (2026年08月31日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー