倍率変更がフリーになった“黒箱”で遊ぶ──Athlon 64 X2 5000+ Black Editionイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2007年09月25日 13時01分 公開
[長浜和也,ITmedia]

そのスペックはノーマルのAthlon 64 X2 5000+と同じ

Athlon 64 X2 5000+ BEの構成はノーマルの64 X2 5000+とまったく同じ。ただし、OPN codeは「ADO5000IAA5DS」と、末尾のPart Definisionがノーマルの“DD”から変更されている

 AMDは9月25日に、Athlon 64 X2 5000+ Black Edition(Athlon 64 X2 5000+ BE)を発表した。1000個出荷時の単価は136ドル。先日発表されたAthlon 64 X2 6400+ Black Editionと同様に、CPUクーラーは付属しない。

 AMDが発表した資料によると、Athlon 64 X2 5000+ BEは65ナノメートルプロセスルールを導入し、TDPは65ワットに設定されている。動作クロックは2.6GHz、L2キャッシュは512Kバイト×2。Socket AM2パッケージを採用して、構成トランジスタ数は2億2100万個、ダイサイズは118平方ミリ、コア駆動電圧は1.25〜1.35ボルトとなる。内蔵するメモリコントローラは最速でDDR2-800MHzに対応する。メモリバス幅は128ビット。HyperTransportは1本で、バスクロックは1GHz。

 スペックを見る限り、すでに出荷されているAthlon 64 X2 5000+とまったく同じ仕様を有している。今回、まったくスペックを持つCPUを、あえて“Black Edition”という特別バージョンで登場させたのは、ひとえに、この新しいAthlon 64 X2 5000+に、「倍率設定を変更できる」機能を持たせたことにある。

 倍率設定が自由に変更できるCPUとして、AMDにはAthlon 64 FXのラインアップが存在していたが、こちらは、ハイエンドシリーズであったため価格が高く、オーバークロックの魅力の重要な要素であった「安価なCPUをオーバークロックでハイエンド並みのパフォーマンスで利用する」という目的にはそぐわず(もちろん、純粋にオーバークロックで最高性能を目指すという需要が多いのは説明するまでもないが)、オーバークロックで遊ぶCPUとしてはやや使いにくい一面があった。

 もちろん、Athlon 64 X2でも倍率変更が可能であるが、これは、定格から低くなる方向でのみ変えることができた。オーバークロック設定の定番として、倍率を低めに設定して、FSBを上げたほうが、同じ動作クロックで設定した場合、ベンチマークテストの結果はよくなる傾向にあるが、これを可能にするためには、マザーボード側のFSBオーバークロック耐性が良好で、FSBにとともに速くなるメモリバスやPCI Expressバス、HyperTransportのそれぞれが別個に動作クロックを設定できる機能を持っている必要がある。

 最近では、ハイエンドマザーボードを中心に、BIOSにそういう機能を持たせた「オーバークロックユーザー向け」のラインアップを用意している場合が多いが、「予算を抑えてパフォーマンスを何とかしたい」というユーザーには、ハイエンドマザーボードの価格も無視できなかったりする。

 また、FSBを上げるためには駆動電圧を高めに設定することが効果的だが、そのためには、マザーボード側で細かい電圧設定機能を持っている必要があるのと同時に、電圧を上げたことで増加する熱に対応するために、クーラーユニットをより強力なものに換装する必要にも迫られるなど、オーバークロックで「コストを抑えるつもりが逆に出費が増えた」ことにもつながってしまう。

 倍率を上がる方向に変更できれば、FSBを定格にしたまま、駆動電圧も上げることなく、CPUのクロック耐性が許せるあたりまでオーバークロックが可能になる。FSBのオーバークロックを併用する場合でも、倍率を上げておけば、FSBをわずかに上げるだけでCPUのクロック耐性ギリギリのラインまでチューニングを進めることが可能になる。

 このように、倍率変更が可能になったAthlon 64 X2 5000+ BEは、現在、AMDプラットフォームの主流となったSocket AM2搭載マザーボードでも、オーバークロックチューニングをギリギリまで堪能できる「遊べる」CPUとして登場したことに、最も大きな意味を持つモデルということができるだろう。

定格動作におけるAthlon 64 X2 5000+BEの情報をCPU-Zで表示する。MemoryのFSB/DRAMが「CPU/7」でメモリクロックが373MHzとなっていることに注意
Athlon 64 X2 5000+BEは倍率設定を上方向に変更できるのが最も大きな特徴だ。倍率15.5倍に設定するとFSBが定格でもCPUのコアクロックは3.1GHzに達する。ただし、奇数倍率なのでメモリクロックは400MHzを下回って設定されるのに注意

 と、この記事を書いているタイミングで、奇遇にもAthlon 64 X2 5000+ BEを試す機会を得ることができたので、短い時間ながら「遊んで」みることにした。

 今回の評価作業では、マザーボードにnForce 590 SLIチップセットを搭載したASUSの「M2N32-SLI Premium Vista Edition」を用いている。この製品には、きめ細かく設定可能なオーバークロック機能が用意されているが、今回は、機能が制限されているバリューモデルを使った初心者ユーザーが行うオーバークロック作業を想定しているので、FSBとCPUのクロック倍率のみを変更するだけとし、FSBとメモリクロックの比率やメモリのタイミング設定、PCI Expressのバスクロック設定、各部電圧設定は定格のままとしている。また、オーバークロックで重要なクーラーユニットも、「普通のユーザー」を想定してAMDのリテールクーラーを使っている。

 メモリには高クロックの1142MHz動作をサポートするCORSAIRの「CM2X1024-9136C5D」(定格設定で5-5-5-15)を2Gバイト実装、グラフィックスカードはGeForce 8800 GTXを1枚構成で、電源ユニットは、一連のレビューで利用しているEnarmax(クーラージャイアント)の「INFINITI EIN720AWT」を用いた。

 また、「M2N32-SLI Premium Vista Edition」はBIOSに設定項目を有しているほかに、チューニングユーティリティも各種用意しているが、今回は、オンラインソフトの「Crystal CPU ID」(ver.4..13.2.343)で倍率設定を行い、NVIDIAのユーティリティ「nTune」の「Adiust Motherboard Settings」でFSBの設定を行っている。

FSBの設定に用いた「nTune」の「Adiust Motherboard Settings」では、HyperTransportの倍率やメモリタイミング、各部電圧とバスクロックを別個に設定できる
倍率変更は「Crystal CPU ID」に用意されている「AMD K6/K7/K8/LX Multiplier」を利用した。再起動なしでFSBと倍率を変更できるので、オーバークロック作業では重宝する

 なお、オーバークロックにおける「動作認定」はPCMark05のテスト項目から「Multithred #2」(File Decompression、File Decryption、Audio Decompression、Image Decompressionテストが4本のスレッドで同時に進行する)、「Memory Read 16MB」、「Memory Write 16MB」、「Memory Copy 16MB」「Memory Latency−Random 16MB」、「WMV Video Playback」が完走したときとした。

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