ニュース
» 2007年10月10日 21時30分 公開

「動かない価値」をユーザーに提供する──ThinkCentre新製品発表会

ThinkCentreは、ThinkPadとは異なる価値をユーザーに提供するという。発表会では、レノボの“デスクトップPC哲学”が紹介された。

[長浜和也,ITmedia]

 別記事で紹介しているように、レノボ・ジャパンは、容量4.5リットルの筐体を採用したデスクトップPC「ThinkCentre A61e Ultra Small」シリーズと「ThinkCentre M57p Ultra Small」「ThinkCentre M57 Ultra Small」を発表した。同日に行われた発表会では、レノボ・ジャパン 広報・マーケティング担当執行役員の石田聡子氏が、「デスクトップPCの“ThinkCentre”だからこそ、ユーザーに与えられるメリット」について説明した。

レノボ・ジャパン 広報・マーケティング担当執行役員の石田聡子氏

 石田氏は、「PCはユーザーの価値を上げさせるための道具だ」というレノボが考えるPCの役割を紹介したうえで、PCやネットワークの進化に伴なうビジネスの変化に合わせて、個人も企業も変わっていかなければならないと語る。

 石田氏によると、この「変化」には企業のグローバル化によって引き起こされるものも含まれる。しかし、国際競争力のランキングをまとめた調査結果において、日本が上位になれない(総合的な順位で24位、生産性では42位)理由として、状況の変化に応じてビジネスのやり方を変えられない柔軟性や適応性の欠如を石田氏は挙げる。

 その考えを踏まえて、「日本人は状況に合わせて自分を変えていくのが苦手な国民性を持っている。レノボは、日本の企業が頑張っていくためにそれ(状況に合わせてビジネスの方法を変えていくこと)をサポートするための製品を出していきたい」という、レノボ・ジャパンが日本のユーザーにどのように貢献していくのか、というビジョンを示した。

「ITだけ発展しても、周りのプロセスや使う人の気持ちが変わらないと、すぐに(PCを使う効率は)上限に達してしまい、PCはコモディティ化してしまう。PCを使って何をしようか、(ビジネスのプロセスを)どのように変えていこうかということが 次のPCの課題になってくる」(石田氏)

 レノボ、そして、それ以前のIBMの時代からのThinkPadの価値について、「お客様接点のスピードアップを支えてきたモバイルノート」(製品発表会で示された資料より)と説明する石田氏は、デスクトップPCであるThinkCentreの価値については、「(ビジネスで)“動く人”をサポートするITと“動かない人”をサポートするITは当然違う」と語る。石田氏によると、どこでも使えるノートPCによってスピードも生産性もアップするが、犠牲にしていることもたくさんあるという。小さいPCであるがゆえに、毎日長い時間使うことでユーザーは疲労し、PCのパフォーマンスは低く、セキュリティーの問題も最近では危惧されている。その一方で、社内業務で外に出ることがないユーザーには、大きなディスプレイで高解像度が表示でき、管理が簡単で強固なセキュリティが構築できるデスクトップPCで全然問題がないと石田氏は語る。

 さらに、石田氏は、1日の労働における平均VDT作業時間において、「調査対象者の20.6%が6時間以上のVDT作業を行い、そのうちの42.4%がストレスを感じている」というデータを示すとともに、「先日の3連休にB5ノートのXシリーズでExcelのワークシートを操作したが非常につらい」という自分の経験や日本で普及している15インチのディスプレイと22インチのディスプレイで表示されるWebページ範囲の違いを紹介しながら「(小さいディスプレイを使うことは)生産性の阻害要因である」と断じ、扱うデータが膨大になった現在では、データを効率よく扱える操作性のよいPCを使わないと日々の業務もこなせなくなると警告する。

「いまは(効率よく作業できる)ツールがそろっているので、やろうと思えばなんでもできる。(それを)やる人とやらない人でこれから差が出てくる。企業を構成する人員がどのように(効率の良いPCを)活用していくか、そしてITは(それを使うことで)どんないいことがあるのかを(レノボは)伝えていく」(石田氏)

 以上のような考えに基づいて、コンパクトなデスクトップPCとしてThinkCentre M55 Ultra Smallがすでにリリースされているが、小さくするために価格が高くなってしまったことが従来のUltra Smallのネックであったと石田氏は述懐する。「オフィスの快適性と価格が一緒になって初めて、すべてのユーザーにデスクトップの機能をフルに生かしてもらえる」(石田氏)

 この、“ネック”を取り払って、日本のオフィス全体の生産性が上がるように多くのユーザーに使ってもらえるようになった「価格」が、今回登場した新しいThinkCentre A61e Ultra Smallの大きなポイントであると石田氏はアピールしている。

レノボが考える“動く価値”と“動かない価値”
発表会で示された、「ノートPCによってスピードも生産性もアップするが、犠牲にしていることもたくさんある」という根拠

 続いて登場した、レノボ・ジャパン 製品事業部担当 執行役員の落合敏彦氏は、ThinkCentre A61e Ultra Smallの特徴について紹介した。落合氏は、ThinkCentre A61e Ultra Smallの特徴として、TDPが45ワットになったAthlon X2の採用などでシステム消費電力を抑えることによるTCOの削減や、日本のユーザーを意識した静音設計、また、Ultra Smallシリーズで重視されてきた省スペースデザインとThinkVantageテクノロジーの継承などを挙げている。

 Ultra Smallシリーズで最小となる筐体の容積は4.5リットルで、従来のM55 Ultra Smallより25%の小型化を実現し、設置面積はThinkPad X61シリーズとほぼ同等になった。このように、小型化が進んだ筐体であるが、従来のThinkCentreで採用されてきた筐体のツールレス設計も継承された。

 発表会では、出荷時期未定ながら現在開発が進められている「Vertical PC Stand」も紹介された。これは、液晶ディスプレイの背面にThinkCentreのUltra Smallシリーズを載せるスタンドを取り付けた「PCスタンド付き液晶ディスプレイ」というもので、そのスタイルは、「液晶ディスプレイ一体型PC」といった感じになる。なお、Vertical PC Standが誕生したいきさつについて落合氏は、「デザイナー側からの発想とユーザーからのリクエスト」があったと説明している。

レノボ・ジャパン 製品事業部担当 執行役員の落合敏彦氏
発表会で紹介された「Vertical PC Stand」

 今回発表されたThinkCentreは、ThinkCentre A61e Ultra SmallとThinkCentre M57p Ultra Small、ThinkCentre M57 Ultra Smallの3シリーズだが、M57pとM57の違いはインテルのプラットフォーム技術「vPro」を導入しているか否かで、筐体デザインは同じだ(ただし、パーツ構成は両者でだいぶ異なる)。また、ThinkCentre A61e Ultra Smallには、「トップセラー・モデル」と「エンタープライズ・モデル」の2系統が用意されるほか、クライアントとの商談に合わせて内部の構成をカスタマイズすることもありえると、レノボ・ジャパンのスタッフは説明していた。

レノボのデスクトップPCで最小の筐体を採用した「ThinkCentre A61e Ultra Small」
ツールレスの筐体内部にはMini-ITXのマザーとAMD 690Vチップセットマザーが組み込まれている。CPUはAthlon X2 BE-2350とSempron LE-1150から選択できる

関連キーワード

レノボ | ThinkPad | Athlon | デザイン | AMD | TCO


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう