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“モバイル”だけど性能は“モンスター”――日本HP「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」15.4インチでWUXGA(1/3 ページ)

» 2007年11月08日 11時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

HPのモバイルワークステーションノートPC「HP Compaq 8510w」シリーズ

「HP Compaq 8510w Mobile Workstation

 レノボ・ジャパンの「ThinkPad T61p」やデルの「Precision M6300」、エプソンダイレクトの「Endeavor NJ5100Pro」に続いて、日本ヒューレット・パッカードのモバイルワークステーションノートPC「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」を取りあげる。

 このHP Compaq 8510wは、ワークステーションクラスの性能をスリムボディとクラス最軽量の約2.7キロに凝縮したノートPCだ。同社はビジネスシーン向けに、高度なグラフィックス性能を持つノートPCを「モバイルワークステーション」として17インチワイド/15.4インチワイド液晶ディスプレイ搭載機を複数ラインアップするが、本機が最も軽量でバッテリー駆動時間が長く、「持ち歩けるワークステーション」と銘打っている。

 同社がワークステーションと位置付ける通り、そのスペックは充実している。主にCPUやOS、画面解像度の違いで3モデルがラインアップされ、共通部分としてはプラットホームにIntel PM965 Express、グラフィックスチップにNVIDIA Quadro FX570M(グラフィックスメモリは256Mバイト)、DVDスーパーマルチドライブ、IEEE802.11n/a/g/b対応の無線LAN(ドラフト1.02/W56は非対応)、Bluetooth V2.0+EDRなどを装備する。Bluetoothが全モデルに標準装備な辺りはいかにも海外メーカーらしいが、Bluetoothは製品に内蔵してこその機能だと思うので、1つのポイントとして評価したい。

HP Compaq 8510w Mobile Workstationシリーズのラインアップ
型番 GT577PA#ABJ GT576PA#ABJ Directplus専用モデル
CPU Core 2 Duo T7700(2.4GHz) Core 2 Duo T7100(1.8GHz)
メモリ 2048Mバイト 1024Mバイト
チップセット Intel PM965 Express
HDD 120Gバイト 80Gバイト
グラフィックスチップ NVIDIA Quadro FX 570M
液晶ディスプレイ 15.4インチワイド(非光沢)
画面解像度 1920×1200ドット 1680×1050ドット
OS Windows Vista Business Windows XP Professional
直販価格 39万6900円 22万7850円

15.4インチワイドで1920×1200ドットの高解像度を実現

 評価機は上位モデルになる「GT577PA#ABJ」で、主なスペックは上記の通りノートPCとしては間違いなく強力な構成だ。HDD容量が若干少なめに感じるが、AV仕様ではないので必要十分なところだろう。ただ、同社直販のHP DirectplusのBTOでも容量が変更できない点は少々残念に思える(メモリ容量やオプション類は変更可能)。

2基のメモリスロットやHDDベイには底面から簡単にアクセスできる。標準2Gバイトのメモリモジュールは1枚で提供されている

 メモリスロットは2基備えるが、標準搭載メモリはあえて1枚で実装している。スロットには底面から簡単にアクセスでき、メーカー保証などの問題もあるがユーザーが容易にメモリを増設可能だ。デュアルチャネルのほうが性能面では優位だが、快適さに直結するのはやはり容量だろう。32ビットOSでは3〜3.5Gバイト程度までしかメモリは利用できないので、64ビットOSへの移行時にメモリを4Gバイトへ増設しようと思う人も多いだろうから、本機の仕様は意外と親切な気はする。ちなみに、プリインストールOSもWindows Vista Businessの32ビット/64ビット版を初回起動時に選択できるようになっている。

 バッテリーは標準で9セルタイプ(容量は14.4ボルト73ワットアワー)を採用し、バッテリー駆動時間はカタログスペックで約5.5時間、底面に装着可能なHPセカンダリトラベルバッテリーを併用すると約10時間まで伸びる。このクラスの製品としては動作時間は長く、さらに1.5時間で約90%の充電が行える「HPファーストチャージテクノロジ」も搭載しており、「持ち歩けるワークステーション」はだてではなさそうだ。

 ボディサイズは、357(幅)×260(奥行き)×27.5〜38.2(厚さ)ミリと、15.4インチクラスのワイド液晶ディスプレイ採用製品としてはほぼ平均的な底面積を有する。ディスプレイサイズを考慮すれば、これ以上フットスペースを小さくするのは難しい。側面から見ると前面に行くほど薄くなるタイプで、最薄部は約27.5ミリとこのクラスの製品としてなかなかスリムだ。結果として、キーボード面が適度な傾斜が与えられているのも見逃せない。

液晶天面部分はキズが付きにくいコーティング「HP DuraFinish」が施されている(写真=左)。ボディはマグネシウム合金を採用する。ACアダプタは比較的小柄だが、電源ケーブルは3ピンタイプだ(写真=右)

15.4インチワイドで1920×1200ドット表示を実現する。バックライトは白色LEDだ

 15.4インチワイド液晶ディスプレイの場合、画面解像度は普及機で1280×800ドットが多数だが、本機はワークステーションを掲げるだけに1920×1200ドットと広大だ。画面輝度はそれほど高くないが、非光沢液晶とあいまって長時間使用しても目が疲れにくい。ドットピッチが0.17ミリとなる点(アイコンや文字が小さく表示される)を懸念するユーザーもいるだろうが、システムフォントのサイズ変更で対応が可能(Vistaではフォントサイズを変更しても表示がなめらか)なので、それほど気にする必要はないだろう。

 各種インタフェースは主に左右の側面に配置される。USB 2.0ポートは左右に2基ずつ分散して配置され、左側面は縦方向、右側面は横方向に並んでいるため、コネクタ部に厚みがあるデバイスは右側面に接続すればポートが無駄にならない。サウンド入出力は右側面の手前側にあり、ケーブルの取り回しを考えると最善と言える位置だろう。

 ExpressCardスロットは用意されず、TypeIIのPCカードスロットとスマートカードリーダーのスロットを1つずつ備える。1スロットであればExpressCardスロットよりはこちらのほうが現状では無難な選択だ。

 メモリカードスロットはSDメモリーカード(SDHC対応)/MMCのみと割り切った仕様だが、現在のメモリカードのシェアを考慮すれば現実的な選択なのだろう。メモリカードスロットはPCカードスロットの下にスマートカードスロットを挟んで配置されており、一見するとアクセスが不便そうだが、これが逆だと拡張部に厚みがあるPCカード利用時にPCカードを外さないとメモリカードの出し入れができなくなる。現状の配置ならヒョイと本体を持ち上げればPCカード利用時でもメモリカードスロットにアクセスができる。その点では、悪くないレイアウトと言えそうだ。

前面は動作表示ランプとステレオスピーカーのみ(写真=左)で、背面はバッテリーとDC入力、アナログRGB出力端子が並ぶ(写真=右)
左側面にはギガビットLANや4ピンのIEEE1394、HDMI(Ver.1.2準拠)、2基のUSB 2.0、そしてTypeIIのPCカードスロット、スマートカードスロット、SDメモリーカード/MMC対応のメモリカードスロットが配置される(写真=左)。右側面は手前からヘッドフォン、ライン入力、2基のUSB 2.0、DVDスーパードライブ、FAXモデムが並ぶ(写真=右)

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