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“モバイル”だけど性能は“モンスター”――日本HP「HP Compaq 8510w Mobile Workstation」15.4インチでWUXGA(2/3 ページ)

» 2007年11月08日 11時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

スティック操作は慣れが必要だがタッチセンサは直感的で使いやすい

Enterキーの右側に縦一列のキーが並ぶ点を除けば不規則な配列は見られず、主要キーは19ミリ×19ミリのキーピッチを維持する

 キーボードはA4サイズノートらしく、ピッチ19ミリとデスクトップPCのそれと同じサイズを維持し、キーストロークも2.5ミリを確保する。左右のShiftキー、EnterキーやTabキーなど利用頻度の高いキーは大きめで、Ctrl、Altキーも左右にそれぞれ配置されるなど、デスクトップPCとの併用や移行でも違和感のないレイアウトを実現している。また、ほかのノートPCではレイアウトが逆のことがままある左端のFnキーと右隣のCtrlキーを、BIOSセットアップで機能を入れ替えられるのもありがたい。

 右端にはHome、End、PageUp、PageDownを縦一列に配置し、Enterキーの右側に空間を設けることで誤操作を防止する。実際、筆者はこういったキー配置は苦手なのだが、すき間を作ることでそれなりに効果はあると思う。ボディの幅を少しでも生かそうという発想だと思うし、このレイアウトのおかげで右Shiftキーや右Alt、右Ctrlキーを変則ピッチにせずカーソルキーを一段下に並べているからだ。また、PageUp/PageDownキーを多用する人にとっては、Fnキーとの併用よりはやはり便利だろう。

 なお、キーボードユニットの下には静電・非透過特性のフィルム(デュポン製マイラー)を挟むことで、キーボード部分に液体をこぼした場合でもOSを正常に終了する時間を確保する。加えて、パームレスト部にはキズに強いプラスチック素材であるレキサンを採用し、キートップに従来の50倍以上もの耐久性を備えた特殊コーティング「Dura Keys」を施すことで塗装はがれを防止する。タッチパッドや液晶ディスプレイ部にも「HP DuraFinish」(旧名はインモールド・ラミネーション・コーティング)を行い、キズ付きを防いでいるのは従来機通りだ。

タッチパッドとポイントスティックともに3つのクリックボタンを用意する(写真=左)。タッチパッド(画面=中央)とポイントスティック(画面=右)ともにシナプティックス製の多機能ドライバを採用している

 ポインティングデバイスは、Compaqの伝統とも言えるスティックタイプ(ポイントスティック)とタッチパッドのデュアル仕様だ。ディスプレイの解像度が高くなるとタッチパッドはマウスカーソルの移動速度の設定が難しくなるのだが、おおまかな移動はスティックで、細かな移動はタッチパッドでという使い分けもなかなか便利だ。その半面、気になったのはキーボード直下にあるスティック用のクリックボタンで、センターボタンの幅が広すぎるのか筆者は左右のボタンを押したつもりでセンターボタンを押してしまうことが多かった。

音量調整や消音、無線LANやBluetoothオン/オフボタンなどはタッチセンサ方式になっていて、直感的に扱える

 筆者の常用機はThinkPad T43なのだが、こちらも本機と同様にデュアルポインタ仕様ではあるものの、同じような不満は感じたことがない。この辺りは筆者がThinkPadに慣れてしまっている点も問題だとは思うが、実際に本機ではクリックボタンとスペースキーとの間にほとんどすき間がなく、スティックとボタンの距離が近すぎるように思える。おそらくタッチパッドとキーボードの距離をあまり空けたくないといった事情もあると思うのだが、スティック操作が中心な人は少々注意がいるかもしれない。

 ユーザビリティとして非常に優れていると思えたのは、タッチセンサ式のコントロールボタンだ。無線LAN、HPプレゼンテーションモード、各種ユーティリティにアクセスできるHP InfoCenter/PCを起動せずにOutlook2007/2003の個人データにアクセスできるQuickLook、消音、音量調節はLEDランプがそのままスイッチになっており、直感的に操作可能だ。合理的で非常に分かりやすく、音量も横長のタッチセンサ部を指でスライドすればLEDランプの変化とともに音量調整ができる。すぐに慣れてしまうと思うが、使っているとちょっと楽しかったりもする。

HPならではのセキュリティ機能や安全性に注目

 ビジネスユースで重要視されるセキュリティは、指紋認証で手軽さとの両立を図る。指紋センサは指の表面より一段深い真皮層を読み取るタイプで、指のちょっとしたキズや汚れ程度なら問題なく読み取りが行える。身近な使い方としてはWindowsへのログイン、Webサイトへのアクセス、スクリーンセーバーの解除などに利用可能だ。指紋センサ自体は着々と採用例は増えているが、本機のそれが面白いのは常時指紋センサが待機し、登録した指をスキャンさせるとランチャーがポップアップして各種機能を呼び出せることだ。ランチャーからログイン認証を登録したサイトを選択するとブラウザの起動から実行してくれるので、隠しブックマーク用にも利用できるのは結構便利だ。

 暗号キーなどは専用のセキュリティチップ(TPM)に保存されるため、HDDの盗難などに対しても暗号キーを解読されるといったことはなく、セクタレベルでHDD全体の暗号化にも対応している。Eメールやファイル、フォルダの高度な暗号化に加え、HDDの一部に仮想ドライブを作成し、ここにファイルを記録すれば自動的に暗号化して保存するといったことも可能だ。

Windowsへのログインはパスワード、指紋認証、スマートカードを組み合わせて利用できる(画面=左)。Webサイトへのログイン認証の自動化は、実際にサイトにアクセスしてIDとパスワードなどを入力し、入力ウインドウを指定するだけで完了だ(画面=中央)。指紋センサで指をスキャンするとメニュー画面がポップアップし、各種機能を利用できる。タスクバーのアイコンを探す必要がなく、なかなか重宝する(画面=右)

 ほかにも、内蔵したモーションセンサで本機の動きを察知し、必用に応じてHDDのヘッドを安全な位置に退避する「3Dドライブガード」は、物理的にHDDを保護する緩衝材の採用と合わせてHDDを衝撃から保護してくれる。

 同様の機能の採用はめずらしくないが、本機の場合には使用状況に応じてセンサ感度をコントロールする点が特徴的だ。液晶ディスプレイを開いた状態は使用中と判断して主に落下の動き、つまりある程度急激な動きに反応し、液晶ディスプレイを閉じた状態では起動したままの持ち運び中と判断して揺れに対して反応するようになっている。もちろんHDDを保護するという観点では動きに対していくら過敏に反応しても構わないわけだが、例えばヒザに乗せて使用中といった場合にHDDを頻繁に停止されるのもストレスがたまる。この辺をうまくコントロールしているわけだ。

 開発を1から行う大手ベンダー製品ならではといえる機能としては、Windows上からBIOSのセットアップが行えるほか、アカウント単位でUSBポートや光学ドライブの使用をコントロールできる点が挙げられる。オフィスへの大量導入ではシステム管理者にとって非常にありがたい部分だろう。もちろん、本機はインテルのCentrino Proに対応し、同社のvPro Technology向け管理ソフトウェアを利用可能だ。

Windows上でのBIOS設定や、アカウント別にデバイス利用を制限するといった細かいセキュリティは「HP ProtectTools Security Manager」で統合的に管理できる(画面=左)。BIOSセットアップはWindows上からも非常に細かい部分まで扱える。当然ながら設定を有効にするには再起動が必要だ(画面=右)

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