モバイルノートPCの液晶ディスプレイでは、輝度の調整範囲が重要なポイントとなる。外光が明るい場所や動画再生時では輝度を最大まで上げ、薄暗い場所やバッテリー駆動時間を少しでも延ばしたい場合は輝度をギリギリまで下げるなど、利用シーンに応じてバックライト輝度をコントロールすることで、使いやすくなるからだ。
ここでは、コニカミノルタセンシングの輝度計「LS-100」を利用して、各モデルが搭載している液晶ディスプレイの輝度を計測した。下表の測定結果は、左が最大輝度の設定における計測値となっており、そこから1段階ずつ輝度の設定を下げた場合の計測値を左から右へ記している。なお、計測したのは画面中央付近の高輝度域で、実際は画面周辺部で輝度が下がるため、液晶ディスプレイ全体の平均輝度は計測結果より低い値になる。
液晶ディスプレイの輝度計測値(カンデラ/平方メートル) | |||||||||||
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製品名 | メーカー | 最大 | -1 | -2 | -3 | -4 | -5 | -6 | -7 | -8 | -9〜-20 |
LaVie J LJ750/LH | NEC | 326.1 | 258.2 | 218.7 | 181.2 | 137.8 | 72.5 | 31.8 | 6.6 | − | − |
VAIO type G VGN-G2KAN | ソニー | 338.2 | 243 | 153.1 | 120.1 | 91.8 | 65.8 | 47.5 | 28.8 | 10.6 | − |
VAIO type T VGN-TZ72B | ソニー | 346.9 | 220.5 | 147.5 | 91.7 | 56.4 | 35.1 | 22.5 | 16.3 | 10.3 | − |
dynabook SS RX1/T7E | 東芝 | 243.4 | 191.5 | 144.7 | 103 | 74 | 53.2 | 27.5 | 8.7 | − | − |
Let'snote LIGHT CF-W7 | パナソニック | 226 | 217 | 201 | 191.3 | 182.5 | 175.7 | 158.3 | 144.2 | 127.1 | 114.4、101.6、87.7、73.8、57.6、45.5、34.6、25.7、17.7、13.9、10、2.4 |
FMV-BIBLO LOOX R70Y | 富士通 | 301.3 | 252.7 | 175,7 | 139.5 | 100.7 | 54.9 | 17.9 | 7.3 | − | − |
最大輝度の設定では、LaVie J LJ750/LH、VAIO type G VGN-G2KAN、VAIO type T VGN-TZ72B、FMV-BIBLO LOOX R70Yの4台が画面中央部で300カンデラ/平方メートルを超えており、映像コンテンツを明るい画面で楽しめる。数年前のモバイルノートPCに比べて、随分と高輝度になった印象だ。最大輝度が明るいことは、屋外など外光が強い場所で使う場合にも有利に働く。
残る2台も200カンデラ/平方メートル以上の輝度を確保しており、屋内で画面が暗く感じることはない。画面の輝度はLet'snote LIGHT CF-W7が最も暗かったが、調整可能な段階数が21段階と非常に多い点は特筆できる。ほかの5台も8〜9段階に輝度を調整できるため、通常は問題ないが、輝度を微調整したいときに「もう少し暗くしたいが、1段階下げると暗くなりすぎてしまう」といった問題が生じるかもしれない。
dynabook SS RX1/T7EはLet'snote LIGHT CF-W7の次に輝度が低かったが、半透過型の液晶ディスプレイを採用しているため、バックライトが明るくなくても屋外での視認性がよい。半透過型液晶ディスプレイの検証については後述する。
一方、最小輝度の設定では、いずれも10カンデラ/平方メートル前後かそれ以下まで輝度を下げられる。暗い場所で使う場合に、画面が明るすぎて困ることはないだろう。
一般的にモバイルノートPCの液晶ディスプレイは、視野角の狭さが気になることが多い。モバイルノートPC用の液晶パネルは視野角が狭いものがほとんどで、写真を全画面表示する場合などでは、チルト角度のこまめな調整を求められることがある。
ここでは、各モデルが搭載する液晶ディスプレイの視野角を写真とともに比較する。左から、液晶ディスプレイ正面、上方向、横方向からの見え方だ。画面の角度は6台でできるだけ合わせている。
視野角が最も広いのはVAIO type T VGN-TZ72Bだ。画面サイズが小さいため、視野角の狭さが目立ちにくいということもあるだろうが、液晶パネル自体の視野角補償がしっかりしており、チルト角度の調整に手こずるようなことがなかった。反対にdynabook SS RX1/T7Eの半透過型液晶ディスプレイは、液晶パネル内部に透過型と反射型の機構を持たせる必要があることから、視野角では少々見劣りする。そのほかの4台は同じような傾向で、上下方向の視野角がやや狭いが、通常の利用では気にならない程度だ。
ところで、常に持ち歩いて利用するモバイルノートPCでは、視野角が広いことがメリットにならない場合がある。状況に応じて、情報漏えいの危険性などに配慮する必要があるからだ。例えば、電車でモバイルノートPCを広げ、仕事の資料やプライベートなメールなどを扱う場合に、隣の席に座っている見知らぬ人に液晶ディスプレイの表示内容が見えていないか気になることもあるだろう。
こうした場合には視野角の広さがかえってデメリットになるが、視野角を狭めるプライバシーフィルタを液晶ディスプレイに別途装着することで解決できるはずだ。ソニーはVAIO type G VGN-G2KANとVAIO type T VGN-TZ72Bのオプションとして、左右の視野角を60度に狭めるプライバシーフィルタを用意している。このプライバシーフィルタを装着した状態では、横からのぞきこんでも表示内容がほとんど見えない。
次のページでは、dynabook SS RX1/T7Eが採用する半透過型の液晶ディスプレイについて、もう少し詳しく見ていこう。
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