本社直援でシェア奪回を目指すMSIの日本戦略

» 2008年03月28日 12時18分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 今回の新体制は、エムエスアイコンピュータージャパン(以下 MSI-J)のトップ人事や社内組織の変更にとどまらず、台湾のMSI本社の協力体制も含めた大規模なものになる。それだけ、日本市場における不振が深刻であったことと台湾本社が考える日本市場の重要性が示され、説明会には、台湾本社から上級副社長のヘンリー・ルー氏とアシスタントバイスプレジデントのビンセント・ライ氏が来日し、新しくMSI-Jの代表取締役に就任したシメイ・テイ氏とともに、MSI-Jの現状とシェア回復に向けた計画を紹介した。

MSI台湾本社上級副社長のヘンリー・ルー氏

 ルー氏は、ワールドワイドで見たMSIの業績について「2007年は過去5年間で最も収穫があった」と、ノートPCを筆頭にPCパーツ部門も最高の売り上げと利益が上げているとアピール。日本市場だけ落ち込んだが、その原因は製品ではないとして、この半年間で台湾本社の直接支援を受けながら(組織上、MSI-Jは台湾本社の海外統括部の指示を受ける形になっているが、上級役員であるルー氏が直接指揮することで、商材調達や予算などの手配がより上層レベルで動くことになる)、日本のユーザーにサービスを提供していくと述べた。

 ルー氏は最初から担当してきたこともあって、日本市場の思い入れは強く、また、説明会で「日本のPCパーツ市場は、規模は大きくないものの常に最先端を求めている」と述べるなど、日本市場の特殊性も十分認識している。「(製品の供給タイミングの遅れと供給量、サポートサービスの縮小などで落ち込んでしまった)日本のエンドユーザーからの信頼を回復したい」とルー氏は語っている。

MSI-Jの代表取締役に就任したシメイ・テイ氏

 MSI-Jの代表取締役に就任したテイ氏は、「ワールドワイドではGIGABYTEを抜いているMSIが、なぜ、日本市場では低迷してしまっているのか」と現状を認識した上で、日本市場におけるシェア回復計画について説明した。ワールドワイドではノートPC部門が好調なMSIであるが、テイ氏は「日本ではPCパーツが根本」と、これまでどおりマザーボードとグラフィックスカードを中心に展開していく予定で、具体的な目標として「2008年中にグラフィックスカードのシェアを10%、マザーボードのシェアを15%」と掲げた。

 ライ氏は、MSIが掲げる2008年の重要キーワード「環境」対策のアピールと、COMPUTEX TAIPEI 2008について言及した。環境への取り組みについては、2008年のCeBITで展示したスターリングエンジン応用のチップクーラーユニットについて「チップセットから発生した熱を再利用するもので、これも“エコ”対策の一環といえる」と述べるとともに、パッケージについてもユーザーへの店頭アピールが必要なハイエンド製品についてはこれまでどおりであるものの、バリュークラスの製品ではリサイクルを重視したパッケージを採用していくことを明らかにしている。

 COMPUTEX TAIPEI 2008の展示内容については、具体的な製品については明らかにできないとしながらも、4つのシートで別々のDVDが利用できるようなエンターテイメント利用を目的としたシステムや、医療システムで日本のメーカーにも納入実績がある心拍数センサーを応用したデバイスといった「車載PC」の開発を進めていて、COMPUTEX TAIPEIで展示する可能性があることを示唆した。

MSI台湾本社アシスタントバイスプレジデントのビンセント・ライ氏

 質疑応答では、ワールドワイドでMSIビジネスの主軸となっているノートPCの今後の計画について、「(Atomプラットフォーム世代で)インテルはMIDを重視する考えを持っている。MSIはDiamondvilleプラットフォームを採用する予定のバリュークラスのUMPC(MSIはUMPCと述べているが、いまでいうカテゴリーとしてはNetbookに近い)を計画していたが、インテルの動向を見極めるため見直しを検討している」(ルー氏)と述べた。このEeePCに対抗するNetbook PCは「Wind PC」という名称が予定されているそうだが、価格は300ドルを切る必要があるが100ドル台は無理だろうという見通しを示している。

 また、CPUやGPU、チップセットベンダーによる新製品投入時期の間隔が著しく短くなってきていて、かつ、ラインアップも多様化している影響について、「MSIにとっては不利ではなく、むしろ歓迎すべき状況」(ルー氏)という考えを述べた。その理由としては、短い期間で開発できるだけの技術力をもつPCパーツベンダーだけが生き残ることになり、MSIにはプラスに働くことを挙げている。

 これに関連して、MSIは独自のPCパーツ製品として、EFI採用マザーを今後の製品で全面的に展開していくことや、グラフィックスメモリの容量が512Mバイトのみとなっているハイエンドグラフィックスカードで320Mバイトモデルを登場させる計画を持っていること、そして、これまで外部のコントローラで制御してきたMOSFETに、チップ内部にコントローラを組み込んだ「DrMOS」を採用することなどを明らかにした。

未発表の「DrMOS」を紹介する資料。質疑応答の発言で出てきたこの技術については、当初「口外」する予定はなかったらしく、資料も準備されていなかった。世界ではじめて外部に紹介された

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