最近の「MS-IME」は目に余る――よろしい、ならば「ATOK」だなぜか変換できない vs. なぜか変換できる(3/4 ページ)

» 2008年05月22日 13時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

入力効率を向上させる豊富な機能を搭載

 ATOKには入力効率を向上させる機能がいくつも搭載されている。それらは大きく分けて誤操作を防ぐための機能と、キーストロークを減らす機能、変換効率を高めるための機能などに分類できる。

  • 誤操作を防ぐ機能――入力モード表示

 ATOKを使い始めるとすぐに、日本語入力をオン/オフさせるとそのつど、「ひらがなで入力します」「日本語入力オフ」という表示が出ることに気づく。この入力モード表示はツールバーになっており、カタカナ入力モードや全角英数字入力モードにするキー操作が分からない場合にも、このツールバーをクリックすることで変更できる。同様の操作はMS-IMEでも可能だが、ATOKの場合は入力位置のそばに表示されるので分かりやすい。

入力モード表示ツールバー。ここからメニューへのアクセスもできる

  • キーストロークを減らす機能――推測候補モード

 推測候補モードは途中までの入力で過去の入力内容や辞書から推測した変換候補を表示する。携帯電話での入力時に利用されている方式だ。携帯電話での推測変換の採用は携帯メール文化の拡大に大きく貢献したが、PC上でも意外に重宝する。

推測候補モード(Ctrl+変換)は以前に入力した内容を変換候補として表示する(画面=左)。推測候補には打ち損じなども次々に登録されてしまうので、意図的に削除することもできる(画面=右)

 なお、推測候補として余計なものが入ってしまった場合は、TABで候補一覧にフォーカスし、スペースや変換キーでカーソルを合わせてCtrl+Deleteを押せば削除できる。

 このような学習効果は英文や半角英数字でも有効だ。例えば、原稿を書いていると製品の型番が何度も出てくることがある。「GV-MVP/HS」のようなアルファベットの羅列は、けっこう面倒なものだが、一度入力すれば省入力候補として表示されるようになる。当然、日本語入力をオフにしていると使えないので、日本語入力をオンにしたままCAPSキーを押下して半角英数入力モードにしておく。自動半角切り替え機能(「http:」や「www.」と入力すると自動的にその後の入力モードが半角英数に切り替わる。MS-IMEの和英混在入力の「対象文字列を自動で英数に変換する」に相当する)やスペルチェック機能などもあるので、使い方によっては日本語以上に活用できるはずだ。

  • 変換効率を高めるための機能――複数辞書セットの利用

 ATOKでは変換用の辞書を複数同時に使用することができる。しかし、文章の内容によっては特定の辞書セットのみを使いたいということもあるだろう。「フェイスマーク辞書」は業務では使用しないだろうし、逆にプライベートでは「会社四季報 企業名変換辞書」が必要なユーザーはそれほど多くはないはずだ。

 そのような場合に用途に合わせて複数の辞書のセットを作成し、使用する辞書セットを直接指定しながら変換することができる。MS-IMEスタイルのデフォルトではスペース(基本セット)/F2/F3/F4/Ctrl+F5に割り当てられており、F2で人名変換、F3で郵便番号変換、F4で顔文字変換というような使い方ができる。

複数の辞書セットを使い分けることができる。辞書セット切替ではなく、変換時にダイレクトに辞書セットを指定できるため効率がよい(画面=左)。Shift+F8で変換辞書切り替えメニューが表示される(画面=右)

 これらの機能は、ユーザー自身が本来あるべき姿のかな漢字交じり文をイメージしたうえで、そこに正確に、すばやく到達するためのものだ。一方、入力開始時にはユーザー自身が想像していない文章を生み出すための機能も搭載されている。

  • 連想変換――言い回しを工夫する

 連想変換は正確には「読み」から「漢字」に変換するかな漢字変換とは異なる。例えば「彗星」と入力し、変換後にCtrl+Tabを押すと連想変換として「箒星(ほうきぼし)」「帚星(ははきぼし)」など、類語や同様の意味を持つ言い回しが表示される。本来は文章作成時によりよい表現方法を探したり、同じ語句の繰り返しを避けてリズムを整える、といった目的に使うものだが、敬語変換としても使える。「このあいだはごめんなさい」という、おおよそビジネスとはほど遠い文でも連想変換すれば「先日は失礼いたしました」という常識的な文に生まれ変わる。敬語は読めても書くのは苦手、という人にはよいアシスタントとなるはずだ。

 これは英文レターにも利用できる。高校までで習う英文は意味は通じるがビジネスの場には使わない、というものも多い。例えば「教えてください」も「Tell me」よりは「Let me know」を使うし、「ありがとう」も「Thank you.」だけでなく「I appreciate your kindness.」だとか「I would like to express my appreciation to you.」といった持って回ったような表現をすることが多い。こういった場合にも連想変換が利用できる。日本語の「ありがとう」からでも変換できるので、英文の表現がまったく思いつかない場合には重宝するだろう。

「すいせい(彗星)」で連想変換したところ。連想なので必ずしも彗星を指す言葉ではない(画面=左)。便利な日本語「よろしく」で連想変換(画面=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  9. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
  10. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー