ソニーが満を持して投入したホームサーバ――Liblog Station「HS1」の実力(後編)VAIOとの連携でもっと便利に(2/3 ページ)

» 2008年05月29日 16時00分 公開
[都築航一,ITmedia]

専用再生機器との組み合わせで快適な視聴が可能

 HS1との組み合わせで最も手軽かつ便利だと感じるのが、同じ「Extention Line by VAIO」の専用再生機器で楽しむ場合だ。

WA1と組み合わせる場合、HS1のUSBポートにWA1のワイヤレスアダプタを差し込むことで設定できる

 ネットラジオ機能を備えた音楽プレーヤーである「◆◇WA1◆」との組み合わせでは、HS1のUSBポートにWA1のワイヤレスアダプタを差し込み、ボタンを押すだけでHS1とWA1との接続が確立し、HS1内の音楽コンテンツをWA1で楽しめるようになる。もちろん、今回試用した環境のように、WA1を家庭内の無線ネットワークに参加させている場合も、サーバにHS1を指定すれば簡単にHS1のコンテンツを再生できる。

 さらに、HS1が自身に蓄積された音楽コンテンツの曲調を自動解析し、24のプレイリストに分類する「12音解析」機能により、その日の気分やシーン、時間帯に合わせた曲をWA1で楽しめるのもおもしろい。試用した限りでは「真夏のアルバイト」というタイトルの邦楽の楽曲が「クリスマスソング」に分類されるといったご愛嬌(あいきょう)の部分もあるものの、面倒な作業をすることなく、こうした付加機能を利用できるのがHS1ならではのメリットだ。

 なお、先に紹介したVAIO最新モデルに付属のVAIO Media plusを使った場合、ネットワーク上のコンテンツをプレイリストに登録し、ローカルのコンテンツと組み合わせて音楽付きのスライドショーが行えるといった活用ができる。

Canvas Online「CP1」を使えば、HS1に蓄積したデジカメ画像をいつでも表示しておける

 一方、デジカメで撮影した静止画をスライドショーなどで見たい場合は、HS1と同時に投入された新製品であるCanvas Online「CP1」と組み合わせての再生が楽しめる(CP1のレビュー記事はこちら)。

 CP1はメモリカードスロットに加えて無線LANのインタフェースを装備したデジタルフォトフレームだ。家庭内ネットワーク上のHS1に保存されたデジカメ画像を表示することができるほか、「Picasa ウェブアルバム by Google」や「フォト蔵」といったオンラインの写真共有サービスに対応している。

 さらに、HS1のホームアクセス機能を利用すれば、別のネットワーク上のCP1からでも、HS1の公開フォルダ内にある画像へインターネット経由でアクセスし、液晶ディスプレイに表示することが可能だ。

 ホームアクセス機能については後述するが、離れた場所にいる人とも、PCを使うことなくインターネット経由で大量の画像データを共有できるのは、HS1とCP1を組み合わせた環境ならではの大きな魅力だ。なお、CP1はバッファローの無線LAN簡単セットアップ技術のAOSSに対応しているので、AOSS対応機器があれば無線LANの設定は手軽に行える。

ホームアクセス機能で遠隔地とのデータ共有に対応

外部ネットワーク上のCP1と接続を確立するために、6ケタの暗証番号をやり取りする必要がある

 ここまでは、家庭内の同一ネットワークに接続したHS1の利用シーンを、コンテンツの蓄積と利用に分けて紹介してきたが、実はHS1の最大の特徴ともいえるのが、遠隔地などの別のネットワークからも、難しい設定をすることなく、HS1にアクセスできるようにするホームアクセス機能だ。

 まずは、先に少し紹介したCP1との連携だが、これは「許可コード」と呼ばれる6ケタの暗証番号を交換しておくことで、1対1の接続が確立したHS1の公開フォルダ内にある画像を、CP1で表示できるというもの。許可コードは毎回異なる番号が発行され、一定のセキュリティも確保されている形だ。

 送受信の機器登録は、WebブラウザでアクセスするHS1の設定ページで行えるほか、アップロードの設定はHS1本体のみでもボタン操作で行える。この場合、本体の液晶ディスプレイに6ケタの暗証番号が表示される仕組みだ。

 データをやり取りする相手がPCの場合は、「VAIO Picture Lab」機能を利用する。この場合、データを受け取る側のPCはインターネットへの接続環境とWebブラウザがあれば、発信する側のHS1に設定した公開フォルダ内の画像へアクセスできる。

VAIO Picture Labで外部のクライアントPCと共有する公開フォルダを設定している画面(写真=左)。この画面でURLが自動発行されるほか、パスワードによる保護もかけられる。HS1にはいくつかのフォルダが自動生成されるが(おまかせコピー機能を使って取り込んだデータは「おまかせコピー」フォルダにまとめられる)、VAIO Picture Lab用の公開フォルダの設定なども、設定ページで行なえる(写真=右)。アクセス権の制限をかけることも可能だ

VAIO Picture Labの機能を使って外部ネットワーク上のクライアントからHS1の公開フォルダにアクセスしたところ。アニメーションを多用した作りで、見ているだけでも楽しい

 HS1で画像の公開フォルダを設定すると、公開用のWebページが自動生成される。そのURLを遠隔地の親せきなり友人なりへ伝えれば、親せきや友人と画像を共有できるという流れだ。受け取る側のWebブラウザで表示されるページは凝った作りのもので、ローカルHDDに画像を保存できるほか、BGMを流しながらスライドショー再生する機能も備えている。

 今では、サービスプロバイダが提供するサーバにアップロードすることで、デジカメ画像を共有できるSNSなどのオンラインサービスも珍しくないが、一方でVAIO Picture Labは、HS1の容量いっぱいまでいくらでも無料で公開できるのが利点だ。自宅の機器に保存されたデータを、わざわざインターネット上にアップロードすることなく、友人に見てもらえるのも面倒がなくていい。

 なお、VAIO Picture Labは、同一ネットワークに接続されたクライアントPCからも、WebブラウザからHS1のIPアドレスへ直接アクセスすることで、ほぼ同様の機能が使える。

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