7月4日に運用が開始された「ダビング10」だが、すでに対応アップデータが出回っているレコーダーに対し、PC用の地上デジタルチューナーは出足が鈍い。現時点で製品を入手可能なもののうち、アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/HS」と「GV-MVP/HX」については7月下旬より公開からダビング10対応アップデータが、ピクセラの「PIX-DT012-PP0」「PIX-DA022-PP0」「PIX-DT050-PP0」については7月18日からダビング10とBD/DVDムーブのアップデータが公開される予定だ。なお、エスケイネットの「MonsterTV HDUS」は原稿執筆時点でダビング10の対応はアナウンスされていなかった。
今のところダビング10対応アップデータが公開されているのは、予告通りバッファローの「DT-H30/U2」と「DT-H50/PCI」だけであり、これもβ版での提供で正式版は7月中旬の予定だ。いまひとつ煮え切らないPC用地上デジタルチューナーの現状を素直に反映しているように思える。
ここでは、バッファローのDT-H30/U2にβ版アップデータ(Ver.1.10β5)を適用してテストを行った。まず、同社のWebページからアップデータをダウンロードし、導入後にPCを再起動してテレビ視聴/録画ソフトウェアの「PCastTV for 地デジ」を立ち上げると、初回起動時と同じようにチャンネル設定ウイザードが開始される。
ドライバとともにPCastTV for 地デジも新バージョンとなり、この状態でダビング10対応のテレビ番組を録画すると、番組情報の「コピー制限」が「ダビング10」となり、「ディスク作成可能回数」が「あと10回」と表示される。


ダビング10に対応したテレビ番組を録画すると、「ディスク作成可能回数」が「あと10回」、「コピー制限」が「ダビング10」と表示される(写真=左)。録画ファイルの情報でも「10回ディスク作成可」となっているのが分かる(写真=中央)。メディアに書き込み中に予約録画やライブ試聴が行えないのは従来通り(写真=右)録画番組をメディアに書き込みを行うと(DT-H30/U2はDVDメディアへのムーブのみ可能)ディスク作成可能回数が減っていき、9回ダビングするとダビング10対応以前の番組と同様に赤字で「あと1回」と表示され、最後の1回はムーブとなってHDDから録画データが削除される。なお、メディアの書き込み中にキャンセルボタンを押すと、ディスク作成可能回数が1回減ってしまうので注意したい。
今回のアップデータで見逃せないのが、TVプロファイルに追加された「LLPモード」だ。解像度は352×480、ビットレートは約2Mbpsと高精細が売りの地上デジタル放送を台無しにするモードのように思えるが、ウィンドウ表示で“ながら見”するには十分な画質で楽しめる。DT-H30/U2でテレビ番組を視聴するにはそれなりのマシンパワーが必要なため、多彩なプロファイルが用意されるのは歓迎したいところ。
試しにCore 2 Quad Q9550(2.83GHz)、メモリ4Gバイト、32ビット版Windows Vista Ultimate(SP1)の自作PCでDPモードとLLPモードを全画面表示で比較したところ、CPU使用率は約半分に減った。さらにAtom N270(1.6GHz)を搭載したMSIのミニノートPC「Wind Notebook」にDT-H30/U2を接続したところ、SPモードでも地上デジタル放送がコマ落ちせずに視聴できた。さすがにDPモードでは荷が重いが、SPモードならCPU使用率は50%前後、LLPモードならば40%前後でテレビ番組が楽しめる。ミニノートPCで地上デジタル放送を視聴するのはあまり現実的ではないかもしれないが、CPUにVIAの超低電圧版C7-Mを搭載した日本HPの「HP 2133 Mini-Note PC」では地上デジタル放送を見ることすらできなかったことを考えると、今後続々と登場するであろうAtom搭載PCのパフォーマンスが気になるところだ。
なお、Wind Notebookについては後日詳細なレビュー記事を掲載する予定なので、楽しみにしてほしい。


ダビング10対応のβ版アップデータ(Ver.1.10β5)で追加されたLLPモード(写真=左)。解像度は352×480、ビットレートは約2Mbpsとなる。上記の自作PCで最高画質のDPモード視聴時のCPU使用率(写真=中央)と、最低画質のLLPモードでのCPU使用率(写真=右)
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「ダビング10」(2)――留意すべき“約束事”
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