Atom搭載の“新世代Eee PC日本版”を速攻で使い倒す1万円増しの価値はあるか!?(3/5 ページ)

» 2008年07月11日 15時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

タッチパッドを大型化し、4つのワンタッチボタンを新設

キーボードは従来と変わらないが、タッチパッドは大型化した

 キーボードユニットに関しては、Eee PC 4G-Xのものが引き継がれている。キートップは若干ふらつくものの、主要キーで約16ミリのキーピッチ、約2ミリのキーストローク(いずれも実測値)があり、全体的なキーのレイアウトに無理はないため、慣れればタッチタイプも可能だろう。

 ただし、「半角/全角」キーが最上段の「Esc」キーの右に入っており、Enterキー周辺には変則的なキーピッチがあることから、慣れないうちは長文を入力していると、全角と半角の切り替えに時間がかかったり、句読点やカッコが入力しづらかった。

 キーボードの上部には前述のとおり、ワンタッチボタンが追加された。ワンタッチボタンは4つあり、左から、液晶ディスプレイのバックライトのオン/オフ、画面解像度の変更、Super Hybrid Engineのモード切り替え、Skypeの起動が行える。このうち、右の2つはユーザーが任意のプロフラムを割り当てることが可能だ。

キーボードの上部に4つのワンタッチボタンを装備

 一方、タッチパッドと左右のクリックボタンには手が加えられている。Eee PC 4G-Xのタッチパッドは45×30ミリと小さかったが、Eee PC 901-Xでは67×37ミリと無理のないサイズに広がるとともに、左右一体型のクリックボタンはきちんと分離して1つ1つのボタンが大きくなり、操作の快適さが増した。2本の指でパッドをなぞるとスクロール機能が利用できるのも気が利いている。

 タッチパッドを使っていて気になったのは、実装してある位置だ。大型化したパッドがキーボードのホームポジション直下ではなく、その右寄り(本体の中央)に配置されているため、キー入力中に右手の指がパッドに誤って触れてしまうことがあった。また、左右のクリックボタンは硬めで、押すのに少し力がいるため、人によっては指が疲れやすいかもしれない。

それでもSSD空き容量の悩みはつきまとう?

 Eee PC 901-Xの基本スペックは、CPUがAtom N270(1.6GHz)、チップセットがグラフィックス機能統合型のIntel 945GSE Express、メインメモリが標準1Gバイト/最大2Gバイト、データストレージが合計12GバイトのSSDといったものだ。いずれもEee PC 4G-Xよりスペックアップを果たしている。

CPU-Zで見たスペック

 この中で注意が必要なのはSSDだ。SSDの容量は従来比の3倍となる合計12Gバイトに増えたが、これは2台のSSDで提供されており、4GバイトのCドライブと8GバイトのDドライブに分かれている。つまり、Eee PC 4G-Xと比較して、SSDの総量は3倍に増えたとはいえ、Cドライブの容量自体は変わっていないのだ。

 Eee PC 901-XはWindows XP Home Edition(SP3)と複数のアプリケーションをプリインストールしているため、初期状態ではCドライブの空き容量が約1.36Gバイト(容量約3.72Gバイト)、Dドライブの空き容量が約6.74Gバイト(容量約7.5Gバイト)だった。このように、Dドライブの空き容量には余裕があるが、Cドライブは残量が少ないので、アプリケーションのインストール先やユーザーデータの保存場所は極力Dドライブに指定し、Cドライブの空き容量はOSのアップデートなどのために取っておきたい。

初期状態におけるCドライブ(写真=左)とDドライブ(写真=右)の使用状況

 なお、搭載されたSSDはMini PCI Express型のカードになっており、Dドライブに割り当てられている8GバイトSSDは、ドライバーで2本のネジを外し、背面のカバーを開くだけでアクセスできる。SSDはPHISONのコントローラチップ「PS3006-L」を搭載し、IDEのドライブとして接続される仕組みだ。余談だが、Cドライブに割り当てられているSSDは本体をかなり分解しないと露出しない。

背面のネジを2本外してカバーを開くことで、1基のSO-DIMMメモリスロットとDドライブの8GバイトSSDにアクセスできる(写真=左)。8GバイトSSDの配置場所には5ミリ厚1.8インチHDDが収納できるスペースとZIFコネクタがあり、ケーブルの取り回しやSSDとの干渉を工夫すれば増設も夢ではない(もちろん、保証対象外の行為だが)。左がDドライブの8GバイトSSD、右がDDR2-400の1Gバイトメモリモジュールだ(写真=中央)。メモリモジュールを交換することで、最大2Gバイトまでメモリ容量を拡張できる。ユーザーがメモリモジュールを交換した場合のメーカーサポートについては、交換したメモリに関連したトラブルは保証対象外となるものの、故障時に初期状態のメモリに戻すことで通常通り保証が受けられるという。8GバイトのSSDはMini PCI Express型のカードで、基板上にはメモリチップをもっと多く搭載できる仕様だ(写真=右)。ちなみに海外版では合計20GバイトSSDモデルも用意されている

 Eee PC 4G-Xでは4GバイトしかないSSDを補うため、標準で4GバイトのSDHCメモリーカードが付属していたが、Eee PC 901-XではSSDの容量が増えたことから省かれている。その代わりに新たに追加されたのが、20Gバイトの無料Webストレージ使用権だ。残念ながら今回はWebストレージ機能を試せなかったが、外出先からデータをバックアップしたり、家族や友人とデータを共有したりとさまざまなシーンで役立ちそうだ。モバイルノートPCの利便性を高めてくれる付加機能として注目したい。

デバイスマネージャの画面

予想外の仕様変更、それは付属ソフトの強化

ソフトケースやUSBマウスに加えて、付属ソフトも豊富だ

 ちょっと意外な仕様強化としては、付属ソフトの充実ぶりが挙げられる。価格勝負のミニノートPCでは、コストを抑えるためにシンプルな仕様を目指すのが常とう手段といえるが、ASUSはEee PC 901-XにUSBマウスや専用ソフトケース、オンラインストレージサービスを付加するのみならず、ソフトも多数追加してきた。

 それもWindows LiveやSkype、Adobe Reader 8といった無料で使えるものばかりではなく、DVD再生ソフトの「WinDVD」やオフィススイートの「StarSuite 8」といった有償のタイトルも含まれているのだから驚きだ。ちなみに、Adobe Reader 8、StarSuite 8、WinDVDのデータはDドライブにある。

 個人的にSSDの容量が少ないEee PCでは、プリインストールソフトの数は少ないほうがいいと思うが、低価格ミニノートをオールインワンパッケージとして通用する商品に仕上げ、一般層にまでユーザーのすそ野を広げたいというASUSの気概は好印象だ。

 サポートDVDの構成は従来通りだ。ドライバやユーティリティは個別にインストールできるが、USB接続の光学ドライブから直接起動して購入時の状態(Windows XP+各種ドライバ+付属ソフト)にリカバリする場合、サポートDVDからOSだけをインストールし、後からソフトを個別に選ぶといったことはできなかった。

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