ハイビジョン動画が撮れるデジタル一眼レフ――ニコン「D90」レビュー(2/4 ページ)

» 2008年09月22日 08時30分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 発色傾向を切り替えるピクチャーコントロール機能や、露出補正、ホワイトバランスの設定は、動画撮影にもそのまま反映される。測光はマルチパターン測光に固定され、絞りとシャッター速度は自動的に決まる。撮影中にカメラ本体のダイヤルを回して絞りやシャッター速度を変えても、その効果は反映されない。背面ボタンによるAEロックは可能だ。また、動画に最適化した撮像素子というわけではないので、撮影中にカメラを左右に動かしたり、高速な被写体が画面を横切った際に、画面や被写体が歪んだような不自然な動きが生じる場合がある。

 以上のような弱点があり、決してビデオカメラの代用になる動画機能とはいえない。旅行やイベントの記録用にはおすすめできない。用途としては、静止画のついでに撮るメモ的な使い方か、逆にじっくりと腰を据えて撮る作品制作などだろうか。といっても、メモ用ならコンパクト機の動画モードのほうが手軽で便利だし、本格的な動画作品用にしては機能や操作にもの足りなさが残る。

容量:約22.5Mバイト、長さ:約13秒、記録画素数:1280×720/24fps、レンズ:「AF-S DX Nikkor 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」
容量:約15Mバイト、長さ:約27秒、記録画素数:640×424/24fps、レンズ:「AF-S DX Nikkor 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」

 だがそれでも、あって邪魔になるわけではないし、おもしろい付加機能であることは間違いない。レンズは、魚眼から広角、標準、望遠までのさまざまな交換レンズを使用でき、レンズ側に手ブレ補正機構があれば、動画撮影でも手ブレ補正は有効になる。一般向けのビデオカメラでは困難な超広角での動画撮影を気軽に楽しめるし、標準や望遠域では大きな撮像素子ならではの被写界深度の浅さ、つまりボケを生かした動画撮影を味わえる。そのあたりが特に新鮮に感じる。

容量:約6.45Mバイト、長さ:約8秒、記録画素数:640×424/24fps、レンズ:「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 12-24mm F4G(IF)」

盛りだくさんの機能とカスタマイズ性

 D90の本来の目的である静止画機能についても触れていこう。製品としての位置づけは、2006年に発売されたミドルクラス機「D80」の後継である。ボディの大きさは変わらないが、デザインのマイナーチェンジと液晶の大型化を果たし、本体重量は約35グラム増の約620グラムとなった。特に大型でも小型でもない中くらいのサイズと重量だ。

 キットとしても発売される新しい標準ズーム「AF-S DX Nikkor 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」を装着した時のボディバランスはまずまず。AFスピードやレリーズ感は良好で、シャッターボタンを押した際の音と振動は比較的小さい。

 連写は、最高で秒間4.5コマに対応する。サンディスクのSDHCカード「Extreme III 30MB/sエディション」を使った場合、JPEG/NORMAL/Lモードで100枚、JPEG/FINE/Lモードで42枚、RAW+JPEG/FINE/Lモードで7枚まで、それぞれ途切れることなく連写できた。

photo 新レンズ「AF-S DX Nikkor 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」を装着
photo 記録メディアはSD/SDHCカードを採用

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