CEATEC JAPAN 2008で行われたマイクロソフトの基調講演では、同社が開発を進めるテーブル型ユーザーインタフェース「Microsoft Surface」についても触れられ、実際に音楽再生や写真管理、地図検索など、日常生活内での利用シーンを想定したデモが行われた。日本国内でSurfaceが一般公開されたのは今回が初めて。
マイクロソフトのハードウェア部門は、マウスやキーボードをはじめ数々のデバイスをリリースしているが、そのインタフェースとして現在最も注目しているのがMulti Touch技術だ。同社は、前述したHTC製のTouch DiamondとWindows Mobileの組み合わせですでにその“画期的な体験”を提供していると語るが、やはり30インチのディスプレイを備えたSurfaceのユーザーインタフェースを眺めると、一足先に未来をのぞいたような気分になる。その模様を少しだけお伝えしよう。
今回はSurfaceの機能としてスクリーンセーバーと3つのアプリケーションが紹介された。まず、インタラクティブスクリーンセーバーと呼ばれる機能だが、これがSurfaceの特徴をよく表すものになっている。デモでは、池をのぞき込んだようなグラフィックスがSurfaceに表示され、その画面に対して表面を指でなでると、本当に水が動いたように波紋が起こる――ただそれだけなのだが、Surfaceではパネル上に置かれた物体を認識する機能を持つため、何かを画面にのせて波紋を起こせばその境界できちんと反射するし、入力する側のモノの形によっても波の形が変わる。画面表示だけを見ていると、それがデジタルデバイスであることを忘れてしまうほど自然な動きだ。


二つ折りにした紙で表面をなでると、直線に対応した波が起こる。また、Surface上に置いた紙に向かって波を起こすと反射して減衰しながら戻ってくる。まるでSurfaceの中に実際に水が張られているようだまた、画面上のオブジェクトをタップしたりドラッグして、音楽や写真といったデジタルコンテンツを直感的に扱える様子を披露した。特に地図アプリのバーチャルコンシェルジェでは、現在地の表示から広範囲に俯瞰(ふかん)していき、やがて両手の中に地球の姿がすっぽりと収まる状態にまでシームレスに縮小できるため、超高密度の情報を保持する地球儀を実際に手で触っているような印象を受ける。同様のWebサービスは複数あるが、入出力を一体化したSurfaceで動作しているのを見ると、思わず“近未来”という言葉を連想してしまう(実際のところ、Microsoft Surfaceの公式サイトに掲載されているSurfaceの紹介ビデオは、未来を舞台にした映画のようだ)。


地図の縮尺を下げていくと、航空写真のような表示からやがて地平線が描かれ、地球の姿が一望できるようになる。もちろん、地図上にプロットされる施設や店舗などの情報は、あらかじめデータベースに登録しておくことで呼び出せる。Surface上で地球のグラフィックスをくるくる回すと単なる地球儀を触っているように見えるが、その中には膨大な情報が集積されているなお、今回Surfaceを披露した目的は、Multi Touchが実現するユーザー体験を示すためで、国内展開の可能性やその時期などについては未定としている。
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