ドコモのハイエンドケータイは、ワイドVGAディスプレイの搭載がほぼ標準になりつつある。しかし、表示するコンテンツのクオリティは、それに追いついていないのが現状だ。例えばワンセグはQVGAで放送されているため、そのままではせっかくのワイドVGAディスプレイが生かされず、YouTubeなどのネット動画もPCで見るより画質が劣っている。
こうした課題の解消に向け、ドコモとモルフォが共同開発したのが、ソフトウェア処理で低解像度の動画を拡大し、ノイズを除去する「高先鋭・高画質 映像拡大技術」だ。両社は2007年10月、画像処理技術の開発で資本提携しており、今回披露した技術が初の成果となる。
この技術の特徴は、低解像度の動画をリアルタイムで高精細に拡大しながら、ブロックノイズやモスキートノイズ、ちらつきを抑える処理も同時に行っている点だ。QVGAのワンセグを拡大して高精細化する機能は、すでにいくつかの端末に搭載されているが、「合わせて圧縮ノイズを減らすのは難しく、両立を実現しているものは少ない」と説明員。また、この技術は既存の拡大・高精細化技術と組み合わせることもでき、例えばすでにハードウェアで処理を行う拡大・高精細化技術を持つメーカーが、ソフトウェア的にノイズを処理する部分のみを使うことも可能だ。
「この技術は、ワンセグやiモーションなどの動画コンテンツをケータイで視聴する時だけでなく、ダウンロードしたコンテンツをテレビに出力したり、コンセプトモデルで展示した“プロジェクターケータイ”で投影するような時にも役立つ」(説明員)
すでに携帯端末に組み込み可能なレベルの処理の高速化はめどがたっており、来年度の提供に向け、開発を進めるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.