今回紹介するマザーボードは、一見すると大変豪華に見えるMSIの「P45-8D Memory Lover」(以下、P45-8D)だ。8本のメモリスロットを持ち、DDR2、DDR3をそれぞれ4枚差しで利用できる。DDR2とDDR3に対応するマザーボードはこれまでにもあったが、8本のメモリスロットは珍しい。
MSIでは、これまでにもDDR2とDDR3に対応するマザーボードをリリースしてきた。DDR3メモリに対応した「Intel 3」シリーズチップセット搭載のモデルでは、初期にDDR2×2スロット+DDR3×2スロットという4スロット構成を投入し、その後、DDR2×4スロット+DDR3×2スロットの6スロット構成のモデルで、メモリの大容量化を進めてきた。
P45-8Dは、従来には見られなかった8本のメモリスロットを有する。対応するメモリは、DDR2はDDR2-1066まで、最大メモリ容量は16Gバイトとなる。一方、DDR3ではDDR3-1333まで、容量はDDR2より控えめとなるが、最大8Gバイトまで搭載が可能となっている。
メモリスロットを8本も用意するというのは、フットプリントの限られたマザーボードで実現するのは難しい。そのため、P45-8Dはレイアウトでいろいろと苦労しているようだ。例えば、Intel P45 Experssマザーでは、PCI Express x16スロットを複数搭載しているモデルが多いけれども、P45-8Dでは1本のみとなっており、2枚差しのCrossFireに対応できない。また、PCI Express ×1スロットも1本だけでほかにはPCIスロットが3本という構成になっている。最近のマザーボードとしてはPCIスロットが多めに確保されているが、PCI Express対応が増えてきた拡張カードを複数搭載できないことは留意しておきたい。
CPU電源周りのレギュレータやチップセットのヒートシンクが比較的小型であることも、メモリスロットに場所を確保したのが影響していると思われる。ただし、レギュレータとヒートシンクには、「DrMOS Touch」のロゴが印刷されているように、狭い実装面積でも問題ない性能を発揮できる工夫が施されている。DrMOSは、MSI P45 Platinumのレビューでも紹介しているが、MOS-FETとドライバICを1つにまとめた専用チップの名称で、高効率低発熱が特徴だ。P45-8Dの電源回路は、ハイエンドモデルのP45 Platinumと同じ5フェーズ構成になっている。高効率低発熱のDrMOSによってヒートシンクの小型化を実現でき、そのおかげで8本のメモリスロット搭載が可能になったのかもしれない。使用されているコンデンサは、すべて固体タイプとなっており、耐久性も十分に考慮された高級仕様だ。
オンボードで搭載している機能は、ギガビットLAN、IEEE1394、8ポートのSerial ATA、8チャネルオーディオと、ひと通りそろっている。P45-8Dはオーバークロッカーを特に意識したモデルではないが、それでも、オンボードのパワー&リセットスイッチと、バックパネルにCMOSクリアスイッチを装備しているなど、オーバークロッカーによくあるような、PCケースに入れずにチューニングを行うときでも便利なようにデザインされている。
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