レビュー
» 2008年10月17日 18時00分 公開

次元を超えた画像解析技術――「Deep Zoom」と「Photosynth」を体験するLookup! せんせーしょん(1/4 ページ)

超ズームの次の一手は想像のななめ上どころか、次元を超えていた。日本の誇る文化をモチーフにした実例で、Photosynthの魅力に迫る。

[瓜生聖,ITmedia]

 いまや我々は日常的にPCを使っている。まるで写真のように高精細な動画を瞬時に表示するハイスペックなPC、そしてそれを映し出すディスプレイは一昔前では考えられないものだ。しかし、映画やアニメに出てくる“コンピュータ”とはどうも違うような気がしないだろうか。

 古くは“コンピュータ”といえば研究所に備えられた巨大な筐体の中で磁気ディスクが回り、紙テープで打ち出された計算結果を見て博士が「ヤツの弱点はしっぽだ! しっぽへの攻撃が成功する確率は94%!」とか口走るのが定番だったが、PCが普及し始めるとこの描写も変わってくる。

未来を予感させるマイクロソフトの「Surface

 もちろんその描写は、“コンピュータ”が重要な局面であればあるほど分かりやすい脚色が加えられ、現実離れしていく傾向がある。とはいえ、テクノロジーの進化とともに「将来的にはありえなくもない」ものも決して少なくない。そしてそれらに共通しているのは、もし自分がそのインタフェースを使うことがあったとしたら、きっとわくわくするだろう、ということだ。

 例えば「マイノリティリポート」のマルチタッチインタフェースは、すでにマイクロソフトのSurfaceでほぼ実現できているし、「電脳コイル」の電脳メガネは、透過型のジャイロ付きヘッドマウントディスプレイがあれば、「meet-me」の3次元空間をPTAMによる拡張現実として合成することで同等のものを作り上げることができるかもしれない。

 また、既存のハードウェア上であってもソフトウェアによるインタフェースの進化は止まらない。Google Earthの膨大な情報とそれをクローリングするインタフェースの融合が大きな衝撃をもたらしたことは記憶に新しいし、Google StreatViewに至ってはフィクションを超えているといってもいいくらいだ。さらに、最近のコンピュータサイエンス、テクノロジーは膨大な計算量を前提とした研究が進められており、既存の情報から「本来存在しない」情報を取り出すことも可能になってきている。

マイクロソフトの「Deep Zoom」

 近未来を描いたサイバーパンクアニメにコンピュータによる写真解析が重要な役割を果たす場面が出てくるものがある。公安警察に所属する男が知人から預かった写真を分析するのだが、拡大に拡大を重ねていくと本来写っているべきものが写っていないことに気がつく、というものだ。この解析インタフェースではズームするとドットの荒い、低解像度の画像が表示され、しばらくするとワイプで高精細なものに更新される。

 このアニメの場合はもともとの解像度を超える超解像技術を描いているものと思われるが、操作性に関していえばすでにこれ以上のものが実現されている。それがマイクロソフトの「Deep Zoom」だ。まずはこれ(Jaw-dropping Photosynth demo)を見ていただこう。

 当時“SeaDragon”と呼ばれていたDeep Zoomを使ったデモンストレーションだ。1分19秒あたりの映像からを注目してもらいたい。

BLAISE AGUERA Y ARCAS氏のビデオでSeaDragonが紹介されている(画面=左)。すでにかなり拡大したところだが、マウスカーソルが当たっている画像に注目。縦書きの文章のようだが……(画面=中央)。横書きの文章が並んでいることが分かる。しかしこれではまだ読めない(画面=右)

さらに拡大を進めていく。文字が判別できるようになり(画面=左)、最終的には1文字でいっぱいになるくらいまでズームイン。途中でローディングのインタラプトが入らないのは驚異的だ(画面=右)

 このようなマルチスケールの画像をつなぐ技術は、Google EarthやFlashムービーなどでもよく利用されており、いわば「流行の技術」とも言える。しかし、この高速性となめらかさは圧倒的だ。

実際にDeep Zoomを体験できる「Hard Rock Cafe」のサイト。アーティストのコレクションがずらりと並ぶ(画面=左)。左上端のギターを拡大したところ。ボディのサインがはっきりと読み取れるまで完全にシームレスに拡大される。このようにばらばらの写真を並べて一覧表示させるのは楽だ(画面=右)

 さらにSeaDragonは先日正式版が公開された「Silverlight 2.0」の標準機能、Deep Zoomとして統合されており、Silverlightを使えば誰でも実装することができるようになっている。Deep Zoomの超拡大可能な画像データは、無料で配布されている「Deep Zoom Composer」で作成することが可能だが、1枚絵の場合はPhotoZoomのサイトにアップロードするだけで体験することができる。

 実際にPC USERでもDeep Zoom Composerを使って作成してみた。URLはこちら(→http://photozoom.mslivelabs.com/album.aspx?alias=TogusaS9&album=1)。ちなみに、瞳のモデルはTargetTVリポーターでおなじみの上田仁美さんだ。

上田仁美(うえだひとみ)

1987年11月5日生まれ。 エルクハートプロモーション所属

本人の公式ブログ「RE∀L TエME!! 上田仁美☆」公開中。


Deep Zoom Composerを使って実際に作成してみた(画面=左)。マウスとホイールを使って中央の新型MacBookにズームイン(画面=中央)。画面の中に並ぶ中央の写真をさらに拡大(写真=右)

1つだけホワイトバランスの違う中央の写真を拡大(写真=左)。女性の右目をズームしていくと(写真=中央)、瞳の中にはのぞき込むようにカメラを構える男の姿が見える(写真=右)

別の写真を使ってDeep Zoom Composerで合成画像を作成中。遠景写真の上にズーム写真を重ねているところ(画面=左)。仕上がりはこんな感じ。ちょっと違和感がある(画面=中央)。写真をタイル状に敷き詰めるのはガイドもあって非常に簡単。本来こちらが正しい使い方か(画面=右)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2023年11月11日 更新
  1. 「Meta Quest 3」を仕事に生かす 最大5画面のデスクトップを表示するMR対応「Immersed」は神アプリか (2023年11月09日)
  2. Googleの新型スマートウォッチ「Pixel Watch 2」はどこが変わった? 試して分かったこと (2023年11月10日)
  3. 次世代の「Core Ultraプロセッサ」に採用! リアルタイムレイトレに対応したIntel内蔵GPUの“秘密”に迫る (2023年11月09日)
  4. ウエスタンデジタル、小型スティック筐体を採用したUSB外付けポータブルSSD (2023年11月10日)
  5. ウエスタンデジタル、USB 3.2外付けポータブルSSD「サンディスク ポータブルSSD」の新モデル 転送速度を最大800MB/sに高速化 (2023年11月09日)
  6. PC向けトレインシミュレーターの操作に革命が!? 司機工が「マスコン型汎用コントローラー」を開発 (2023年11月10日)
  7. 今後のMacはどうなる!? 新型「iMac」に見るGPUを強化したM3チップの実力 (2023年11月07日)
  8. M3ファミリー搭載の新型iMacと16インチMacBook Proを試して分かったこと (2023年11月06日)
  9. 「Steam Deck」にOLEDディスプレイ採用の上位モデルが追加 (2023年11月10日)
  10. 18.5型のビッグサイズでデスクトップ用スタンドも付属! VGA接続にも対応したアイティプロテックのモバイルディスプレイ「LCD18HCR-IPS」を試して分かったこと (2023年11月08日)