昨夜、IT関連のメディアに携わる某編集者と、インスタントメッセンジャーで以下のような会話をした。
編集G いそがしいですか?
爪生 うん。
編集G http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0609/14/news070.html
爪生 ……いつまで?
編集G 朝まで。
爪生 ……。
本連載の第2回で「Google Earth 4」β版を紹介した。そのときは次のような言葉で締めくくっている。
「Google Earth 4」β版を使っていて感じるのは、インタフェースが英語であるとかそういった不便さよりも、日本では実現できていないことがUSでは実現できていて、しかもそれを(指をくわえながら)見ることができるというある種の“くやしさ”だ(そういえばApple Computerが提供する「iTunes Music Store」が国内サービスを開始するまで同じ思いをした)。日本でも早く同様のサービスが開始されることを期待してやまない。
あれから3カ月。予想以上にはやくその日はやってきた。9月12日に公開された「Google Earth 4」はついに日本に対応した。単なる日本語対応ではなく、日本の地理情報に対応しており、USで実現されていた機能が一部、日本でも使えるようになっている。
今回のバージョンで最も特徴的なのは建物の3D情報だろう。建物の3D表示をオンにして平面から俯瞰へと切り替え、低空に移動していくとまるで空を飛んでいるかのような独特の浮遊感が楽しめる。しかも、これは単に「楽しい」だけではない。新しい地図のあり方を予感させる便利な使い方もある。
いままさに泣きながら原稿を書いているマンションの屋上で南方面を撮った写真を見ていただこう。夜の風景だ。遠方に赤い光で彩られたビル群が見えるものの、果たしてこれがどのあたりなのか、そしてそのビルが何であるかなどはこれだけ距離があると知りようがない。そこでGoogle Earth 4で同じ位置を基点にして南方向を眺めてみる――建物の3D表示をオフにしたままの画面を見ても、ほとんど手がかりはない。
これは重要なポイントだ。現実世界において地理上の目印となるものは目立つがゆえに目印になるのだ。巨大であったり、高かったりするからこそ、それが手がかりになるのに、高さ、すなわち3Dの情報を持たない地図では平屋と高層ビルが同じように見えてしまう。そこで「建物の3D表示」をオンにしてみよう。写真で撮影したものらしき3つのビルが分かるだろうか。
さて、目的のビルへ進んで行くことにしよう。いまリアルに存在するこの場所から足を踏み出すと別の目的地についてしまうが、Google Earthの中ではそれができる。移動の操作は簡単でマウスのドラッグでも可能。ただし、俯瞰している場合は思いのほか大きく移動しすぎてしまうことが多いので、目標を見失わないようにときどき真上から見下ろしたり、カーソルキーで移動したりと細かく調整したほうがいい。
そしてたどり着いたところは、南千住にある地上32階のタワーマンションだった。ちなみに、これら建造物の3D情報は地域によって密度に差があるものの、日本全国を広く網羅しており、利用できる地域は広範囲にわたっている。
さらに国内の地域情報も追加され、付近の飲食店や宿泊施設、レンタルCD/DVDショップまで表示されるようになった。Googleマップとの機能の差が次第になくなってきた感がある。
今回のGoogle Earth 4を一通り試してみたところ、機能強化よりも提供データの充実による利便性の向上が一番の特徴と言える。ただ、やや気になったのは写真が以前よりも古くなっているのではないかと思われる部分が散見されたことだ。実際、昨年10月に竣工した筆者の自宅が空き地に戻ってしまっている。これは推測だが、建物の3D情報の時期が古い場合には写真の撮影時期もそれに合わせて修正されたのかもしれない。
なお、一番目立つところにあるインタフェース「検索」のうち、「ビジネスを検索」と「ルート」の2つは「日本未対応」としっかりと明記されている。またおあずけを食った格好だ。しかし、「ビジネスで検索」に関してはすでにGoogleマップでは実現している機能なので、それほど遠くない将来に実装されることを期待したい。
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