第4回 PCの数を増やして幸せになる“タダ”で幸せになるソフトウェアパラサイト(1/2 ページ)

» 2006年07月19日 11時27分 公開
[爪生聖,ITmedia]

 先日、IT関連のメディアに携わる某編集者と、インスタントメッセンジャーで以下のような会話をした。

編集G 「最近、Wi……P2Pで見知らぬ人とファイル交換ができる便利なソフトって、どうなんですかね」

爪生 「どう、というと?」

編集G 「一時期ほどじゃないですけど、情報流出が騒がれていたじゃないですか。ああいうの聞くと怖くて」

爪生 「そりゃ、Wi……P2Pで見知らぬ人とファイル交換ができる素敵なソフト専用のPCを用意すればいいんじゃね?」

編集G 「そんな金ないです」

爪生 「いや、フリーで公開されてるよ」



 一昔前に比べると現在のPCの性能は飛躍的に向上した。このため、以前は実用的な速度になりえないと思われていたさまざまなハードウェアエミュレータの存在が、現実的なソリューションとして意味を持つようになった。また、今までのエミュレータはIntelプロセッサ上でPowerPCのように振る舞うなど、異なるハードウェアであるかのようにエミュレートするものが主流だったが、現在は1台のDOS/V機上で複数のDOS/V機を動かす、つまりPCの数を増やすかのように同一アーキテクチャをエミュレートするものもある。そのうちの1つがMicrosoftの「Virtual PC 2004」だ。

 Virtual PCは古くはConnectixの製品だったが、2003年にマイクロソフトが関連特許とともに買収している。その後バージョンアップを行い、最近までVirtual PC 2004が実売価格15000円弱で販売されていた。

 だが既報のとおり、マイクロソフトは7月12日(米国時間)にVirtual PC 2004を無償で公開した。突然不良在庫を抱えてしまった販売店の担当者を想像すると涙が頬をつたうが、あんなことやこんなことを安全に楽しめる環境が無料で手に入るなら、これを使わない手はない。というわけで、さっそくダウンロードだ。

 ダウンロードしている間にVirtual PCの仕組みについて少々予習しておこう。Virtual PCの用語では、もともと動いているOSのことをホストOSと呼ぶ。ホストOSの上でVirtual PCが動くというわけだ。そして、Virtual PCのバーチャルマシン(仮想PC)上で動くOSのことをゲストOSという。このゲストOSからホストOSを見ることは基本的にできないが、同じネットワークにいるPCとしてアクセスすることは可能だ。

仮想マシンを構築する

バーチャルマシンはウィザードで作成する。ものの10秒程度で1台のPCができてしまう

 さて、ダウンロードとインストールが完了したらさっそく仮想PCを作っていこう。新規ボタンをクリックすると「新しいバーチャル マシン ウィザード」が開始する。仮想PCを1台作るときに最低限必要なものは2つ。1つはPCのスペックなどを記述したバーチャルマシン設定ファイル。これはXMLフォーマットで書かれており、拡張子はvmcになっている。そしてもう1つはHDDのイメージとなるバーチャルマシンハードドライブイメージ。こちらは拡張子がvhdのバイナリファイルだ。

 バーチャルマシンハードドライブイメージはホストOSから見ると単なるファイルだが、ゲストOS(バーチャルマシン)から見るとHDDとして扱われる。NTFS上のファイルであっても、バーチャルマシンから見ればEXT3だったりする。

 今回は新規作成ということで、バーチャルマシンの作成を選択。バーチャルマシンの名前のところではファイル名を指定する。デフォルトのままだとマイドキュメントの下のMy Virtual Machinesに保存されるので好みに応じて変更しよう。このときのファイル名は導入予定のOSにちなんで名づけることをお勧めする。そうすれば次に出てくる「オペレーティングシステムの入力」の欄に、導入予定のOS名が自動的にデフォルト値として入った状態になる。

通常はバーチャルマシンの作成を選択(画面=左)。「バーチャル マシンの名前と場所」で記述した名前がファイル名になる(画面=中央)。OSの選択は搭載メモリ量の推奨値を決めるためのものだ(画面=右)

 なお、ここで選択するOSは「そのOSが動作するために必要なスペックを提示する」だけで、そのOS自体がインストールされるわけではない。このウィザードはあくまでバーチャルマシンの作成であって、リアルに置き換えて言えばPCの自作をしているような状態だ。

 次の画面ではメモリ容量とHDDのオプションを設定する。HDDの指定では既存のバーチャルハードディスクか、新しいバーチャルハードディスクかを聞いてくるので、新しいバーチャルハードディスクを選択しよう。ファイルの場所を確認したらそのまま次へをクリックする。あとは内容を確認して完了だ。

メモリ容量は、実際のPCでメモリを増設するようにいつでも変更できる。なお、ここで大きな値を設定してしまうと、バーチャルマシン起動時にその容量が確保できなかった場合は起動できない(画面=左)。バーチャルハードディスクのオプションでは「新しいバーチャル ハードディスク」を選択(画面=中央)し、デフォルトのvmcと同じ場所・同じベースファイル名をつければいいだろう(画面=右)

 さて、これで「Virtual PC コンソール」にバーチャルマシンが1台追加された。アイコンをダブルクリックするか起動ボタンをクリックして仮想PCを立ち上げてみよう。おそらくブートできない旨のメッセージが出るはずだ。バーチャルマシンとはいっても、リアルなPCと同様にOSのインストールを行う必要がある。

ウィザードの最後で設定した項目を再確認できる(画面=左)。「Virtual PC コンソール」に新たなマシンが追加された。バーチャルマシン実行中は左のサムネイルが書き換わる(画面=中央)。そのまま起動してもOSがインストールされていないのでブートできない(画面=右)

 ちなみにCDとFDについては、それぞれ物理ドライブ(実際のPCに搭載されているドライブ)をキャプチャするか、あるいはバーチャルハードディスクのようにイメージファイルをバインドする。とくにCDの場合はISOイメージファイルも使えるので利用価値は高いはずだ。

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