写真で予習するX58マザー(その1)──機能充実のASUS「P6T Deluxe」イマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年11月11日 10時00分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

16+2フェーズ電源回路で武装したハイエンド仕様に注目

 ASUSのX58マザーのラインアップは、R.O.G.シリーズとして用意される「Rampage II Extreme」と、通常のハイエンドラインアップとして用意される「P6T Deluxe」が予定されている。また、P6T Deluxeには外付けのステータス表示ユニットを付属させた「P6T Deluxe/OC Palm」も投入される。今回は、“正統派ハイエンドラインアップ”として登場するP6T Deluxeの外観をチェックしていきたい。

新しいCPUに対応するLGA1366を実装し、Intel X58 Expressチップセットを搭載したASUSのハイエンドマザーボード「P6T Deluxe」

 P6T Deluxeの姿を見て、まず目を引くのがCPUソケット周辺にずらりと並んだチョークコイルとコンデンサの“群れ”だ。P6T Deluxeでは16フェーズの電源回路が採用されている。16フェーズにも及ぶ電源回路となると、今のところASUSのハイエンドマザーでも「Maximus II Formula」や「P5Q Deluxe」などに限られる。しかし、P6T Deluxeでは、コンデンサの数が10個から15個へと増強されており視覚的な迫力も増している。

 このように電源回りが強化されたP6T Deluxeでは、「ASUS True 16+2 Phase Power Design」という回路設計が導入されている。これは、CPUのVcoreとして16フェーズ、CPUに内蔵されたメモリコントローラ用として2フェーズという仕様になっていることを示している。CPUソケット近くには、電源管理LSIである「EPU2」が装備され、CPU負荷によって供給電力をコントロールして消費電力を抑える機能を実現している。

 なお、このEPU2のちょうど裏側に「PEM」と印字されたチップが実装されている。このチップは電源回路拡張チップで16フェーズの実現に貢献しているが、その機能の詳細は非公開とされている。

CPUの電源を供給するVRMは、16フェーズというハイエンド仕様となっているだけでなく、メモリコントローラ用の電源も2フェーズ構成となった「ASUS True 16+2 Phase Power Design」が採用されている
この「EPU2」によって、CPU負荷に応じた電源のフェーズ管理が行われ、省電力運用が可能となる

これぞ「X58マザー」たる、6本のメモリスロットに3本のPCI Express x16スロット

 インテルの新しいCPU「Core i7」に対応するIntel X58 Expressは、開発コード名「Tylersburg」と呼ばれていた新型チップセットだ。メモリ周りの設計がこれまでのチップセットと最も大きく違う。Core i7では、AMDのAthlonやPhenomのようにメモリコントローラがCPUに内蔵されるようになったため、チップセット(ノースブリッジ)にメモリコントローラの機能を持たなくてもよくなり、メモリアクセスでも従来のデュアルチャネルからトリプルチャネルにパワーアップしている。

 さらに注目される機能として、チップセットがネイティブでNVIDIA SLIに対応していることが挙げられる。これまで、NVIDIA製以外のチップセットではNVIDIA SLIの対応はできなかったのだが(例外としてnForce 100を実装したD5400XSでNVIDIA SLIが構築できた) 、Intel X58 Expressでは、インテルがNVIDIAとライセンスを結び、NVIDIA SLIが構築できる機能をチップセットに内蔵できた。インテルのチップセットは、従来からCross FireXに対応していたので、Intel X58 ExpressによってNVIDIA SLIだろうとCrossFireXだろうと3Dグラフィックスのパワーアップが可能になっている。

 なお、Intel X58 Expressに組み合わせるサウスブリッジは、インテル 4シリーズと同じICH10、またはICH10Rになる。そのため、ストレージやインタフェースに関する仕様は変更ないようだ。

 インテル製チップセット搭載マザーボードでは、(混載マザーでない限り)DDR2でもDDR3でも、メモリスロットは4本というのが定番だった。ところが、P6T Deluxeでは6本ものメモリスロットが搭載されている。対応するメモリは、DDR3の1066MHz、1333MHz、1600MHzとされる。Core i7のラインアップが正式にサポートするのは1066MHzまでなので、P6T DeluxeはオーバークロックでDDR3 1333MHzと1600MHzに対応することになる。最大メモリ容量は12Gバイトなので、Intel P45 Expresマザーが最大16Gバイトであるのと比べると少ない。

 P6T Deluxeだけではなく、Intel X58 Expressチップセットを搭載するマザーボードの多くが、PCI Express x16スロットを3本装備している。これは、Intel X58 Expressチップセットが3-way SLIに対応しているためだろう。

 P6T Deluxeも3本のPCI Express x16スロットを持ち、青、白、黒の3色に色分けされている。この3本のスロットは、16レーン+16レーン、または、16レーン+8レーン+8レーンとして利用できるようになっている。この仕様は、NVIDIA SLIの仕様と同じで、Intel X58 ExpressチップセットにnForce 200を組み合わせたシステムならば、16レーン+16レーン+16レーンの構成が可能だが、Intel X58 Express単体の場合は16レーン+8レーン+8レーンという構成が最大となる。

トリプルチャネルメモリアクセスに対応しているため、メモリソケットは6本用意されている。パフォーマンスを求めるなら3本セットで増設したい
P6T Deluxeは3本のPCI Express x16スロットを搭載して、NVIDIA SLI(3-wayを含む)、およびCross Fireに対応する

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