Nehalemのパフォーマンスは?──Core i7 965 ExtremeとCore i7 920の性能に迫るイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2008年11月04日 01時45分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

 「Nehalem」と呼ばれてきたインテルの新世代マイクロアーキテクチャを採用した次世代CPU「Core i7」がまもなく市場に投入される。これまで「Bloomfiled」という開発コード名で呼ばれてきたCore i7は、メモリコントローラをCPU側に内蔵させることでメモリレイテンシを削減させたほか、従来のFSBを“QPI”と呼ばれる新しいシリアルバスに置き換えることで、性能を大幅に向上させている。

 ここでは、インテルの正式発表に先だって、製品サンプルから分かったCore i7シリーズのパフォーマンスを紹介する。

3種類のモデルが用意される「Bloomfiled」

 先ほども紹介しているが、Core i7に導入された特徴で最も大きなものとなるのが、従来チップセット側にあったメモリコントローラをCPU側に移動したことだろう。これにより、CPUがメモリへアクセスする時間(メモリレイテンシ)が削減され、CPUの待ち時間が減ることでCPUの処理能力が大幅に向上することになる。なお、キャッシュは各コアあたり32Kバイトの1次キャッシュ、256Kバイトの2次キャッシュに加えて、各コアで共有する3次キャッシュが8Mバイト搭載される。

 また、Core i7シリーズは、クアッドコアとなっているが、以前Pentiumシリーズなどで採用されていたHyper Threading Technology(HTテクノロジ)に対応しているため、各コアあたり論理コアが2つある仕様になっている。これは、各コアの演算器をより効率よく利用するため、命令の入り口にあたるデコーダ部分を拡張し、複数のスレッドを同時に処理できるようにしたためだ。このため、合計で、4コア×2=8つのコアがあるようにOSからは見える。

 Core i7には以下の3つのSKUが用意されている。

動作クロック QPI メモリ メモリチャネル数 TDP CPUソケット
Core i7-965 Extreme Edition 3.2GHz 6.4GT/秒 DDR3-1066/800 3 130W LGA1366
Core i7-940 2.93GHz 4.8GT/秒 DDR3-1066/800 3 130W LGA1366
Core i7-920 2.66GHz 4.8GT/秒 DDR3-1066/800 3 130W LGA1366

Core i7の表側。ヒートスプレッダを取り外したところ。これまで、2つに分かれていたインテルのクアッドコアCPUも、Core i7でようやく1つにまとまることになった
Core i7の裏側。ピンの数は従来の775から1366本へと増えて、物理的にも電気的にも互換性はなくなった

Core i7のダイ画像。Core i7ではメモリコントローラをCPUに統合し、システムバスも従来のFSBからQPIに変更された
Core i7のコア内部。2次キャッシュはコア専用の256Kバイト、さらにコア共有の3次キャッシュとして8Mバイトを搭載する

 最上位となるのがCore i7 965 Extreme Editionだ。“Extreme”とあることからも分かるように、Core 2 Extremeシリーズの後継という扱いになる。不動の“999ドル”セグメント向けの製品だ。一般市場向けのCore i7は2つのモデルが用意されている。それが、Core i7 940と同920だ。

 上位モデルのCore i7 965 Extreme Editionと下位モデルのCore i7 940、同 920の違いは動作クロックだけではない。QPIと呼ばれる、CPUとノースブリッジを接続するバスインタフェースの帯域幅も異なっている。Core i7 965 Exptreme Editionが6.4GT/秒という現在のQPIで最高スペックなのに対して、Core i7 940と同 920は4.8GT/秒となっている。下位モデルだけQPIの動作スペックを落とさなければならない理由はないので、これは差別化のためと考えて間違いはないだろう。

 このため、3DアプリケーションのようなCPUからGPUへと大量のデータを転送するアプリケーションでは、下位モデルは不利ということになる。もっとも、4.8GT/秒でも従来のFSBに比べて高速であるので、下位モデルを選んだからといって従来製品に比べて不利になることはない。

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