Netbookより安くて怪しい「山寨」ノートの破壊力:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2009年02月02日 11時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

とっても安くてとっても高性能でとっても怪しい

 数カ月前から、「山寨本」と呼ばれるノンブランドなノートPCが中国市場に登場して、中国のIT系メディアを賑わせている。今では“山寨本”の情報だけを扱うWebサイトも多数登場している。ノンブランドなノートPCは中国のメーカーがリリースしているNetbookよりも安価で、それなのになぜかスペックは高いといった、恐るべきコストパフォーマンスをもっている。連載で2006年に紹介したノンブランドなmp3プレーヤーや、最近では日本のメディアでも紹介されているノンブランドな携帯電話(中国語で「山寨機」、ないしは「山寨手機」)に続き、ついにノートPCでもノンブランドな「山寨」の波がやってきそうなのだ。

 超低価格なノンブランドノートPC(以下「山寨ノート」)は、比較的所得が低い農村部や内陸奥地でも大好評……というわけではない。最初に山寨ノートが登場したのは、ノンブランドのmp3プレーヤーやデジタルフォトフレームや携帯電話を作っていた「よろず工場」が集中する広東省の深センにある電脳街だ。続いて上海や北京など中国を代表する大都市に姿を見せはじめ、最近(2009年1月後半)になって、沿岸部にある福建省のアモイで店頭に並ぶようになった。今でこそ、内陸奥地や農村部でも売られている“山寨ケータイ”も、やはり最初に登場したのは広東省深センで、それから上海、北京、広州に広まり、それから小さな都市へと進出していった記憶がある。山寨ノートも同じ過程で普及していくことになるだろう。

専門のWebサイト(写真=左)までできた山寨ノートの盛り上がり。2009年1月現在で、山寨ノート前線は福建省のアモイまで到達した。内陸部進出まではもう少しだ(写真=右)

ギリギリの生活では山寨ノートでも買えません

 しかし、いくら「山寨」系の安いガジェットとはいえ、ノートPCとなると一般的な中国人消費者がその場の勢いで衝動買いできるような価格ではない。この連載でも紹介しているが、都市部の消費者が月に得られる収入は平均して約2万円程度だが、中国では一般的に「3世代家族」が身と財布を寄せ合って生活しているので、1世帯単位で見れば月8万円の収入があることになる。

 都市部と比べて所得が低い農村部でも3世代が一緒に暮らすのが普通だが、それでも3世代合わせた収入は都市部の数分の1程度に過ぎない。超低価格の山寨ノートといえど2万5000円と世帯の月収に匹敵する価格が設定されているので、気軽に購入することはできないのだ

 さらにいえば、山寨ノートは、名もなき工場が出荷したなにも保証のない、ある意味「ジャンク」的な製品というイメージを中国人も持っている。そういうジャンクな山寨ノートを月収に相当する金額を支払って購入する農村部の中国人消費者はいない。

 結局のところ、ジャンクな超低価格の山寨ノートを買うのは、2万5000円というお金をジャンク品に支払える、平均所得が突出した深センや上海や北京などに住む「人柱OK」の人民だ。「途上国に向けて売ります売れます」とインテルが気高い理想と博愛の精神を掲げていたNetbookよりもさらに価格が安い山寨ノートは、結局のところ金持ちが済む地域では売れているのに、農村部では売られていないという構図ができあがってしまった。

 このように、都市部でしか店頭に並んでいない山寨ノートだが、内陸奥地の都市でも購入できる手段はある。それが中国で人気急上昇中のオンラインショッピングで、最大手サイトの1つである「淘宝網」(TAOBAO)でも、たくさんの山寨ノートが販売されている。ただし、淘宝網は基本的にオークションのような個人と個人の取引が主流のショッピングサイトであるため、出品者にだまされる可能性もある。出品者の信用度を見分けるには経験が必要だし手間もかかる。中国人の本質を見極められるほどにどっぷりと浸かりきった日本人でないと、このようなサイトで山寨ノートを入手するのはリスクが高い。ただ、山寨ノートのラインアップをチェックするだけなら便利であったりする。ここでも、現在登場している山寨ノートのラインアップを紹介してみよう。

百度の検索窓に山と入力しただけで、「山寨」キーワードが多数登場する(写真=左)。オンラインショッピングサイト「淘宝網」で販売されている山寨ノート(写真=右)

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