ブラザー工業は3月12日、E Inkの電子ペーパーを採用したドキュメントビューワ「SV-100B」を発表した。価格はオープンプライスで、実売価格は13万9800円前後になる見込み。6月1日より販売を行う。同日実施された説明会では、製品の特徴解説や、実際にSV-100Bを用いたデモなどが行われた。
SV-100Bは、9.7型の反射型電子ペーパーを採用した携帯型ディスプレイ端末で、持ち運びやすいA5サイズの本体や、視認性の高い9.7型(202.8ミリ×139.4ミリ)のディスプレイ、約83時間(5000ページ表示)の連続駆動が可能なバッテリー性能などが特徴。表示解像度は約150dpi(1200×825ドット)で、4階調のグレースケール表示をサポートする。ストレージにはmicroSDカード(最大2Gバイト)を使用し、内蔵Bluetooth経由でスマートフォン内のコンテンツを表示することもできるという(現時点ではWindows Mobile端末)。
SV-100Bで閲覧できるファイルは独自フォーマットのため、事前にPC上で変換してからSV-100Bへ転送する必要がある。もっとも、SV-100BとPCをUSBで接続し、転送したいファイルを指定すれば、フォーマットはプリンタドライバによって自動的に変換される仕組みだ。製品説明を行ったブラザー工業NID開発部プロダクトマネージャーの藤井則久氏は、「ブラザーはプリンティングデバイスを提供するメーカーなので、SV-100Bでも文書を印刷するときと同じような手軽さを実現した」と使いやすさに自信を見せる。
また、2GバイトのmicroSDにA4サイズで約1万枚の文書を保存できるほか、ディスプレイ上の表示切り替えに要する時間が約1秒、起動時間が約5秒という点を挙げ、「PCは起動が遅いので電車の中などではすぐに使えない。(SV-100Bは)電源を押せば5秒で立ち上がる作りになっており、携帯性の大きなポイントであると思う」と語り、モバイル利用時のPCに対するアドバンテージをアピールした。さらに、カバンへの収納などを考えてディスプレイ部をアクリル製のパネルで覆ったり、「少々の衝撃を与えても問題のない、“ある程度”の堅牢性」(同社)も確保したという。このほか、紛失や盗難などに備えてデータを暗号化しておくセキュリティ機能も持つ。
SV-100Bは、膨大なマニュアルを持ち歩く必要のあるオンサイトサポートサービスや、医療カルテなどの分野での導入が想定されている。主にB2Bでの販売チャンネルを通じて展開し、初年度5000台の販売をめざす。なお、カラー表示に対応した製品の投入時期に関しては、「早ければ1年くらいかもしれないが、現時点では(表示速度と品質の面で)製品化に耐えうるものがない」とし、電子ペーパーメーカーによる開発を待っている状態だという。
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