ブラザーが9.7型の電子ペーパー端末を発売:印刷の次へ

» 2009年03月13日 10時30分 公開
[ITmedia]
SV-100B

 ブラザー工業は3月12日、E Inkの電子ペーパーを採用したドキュメントビューワ「SV-100B」を発表した。価格はオープンプライスで、実売価格は13万9800円前後になる見込み。6月1日より販売を行う。同日実施された説明会では、製品の特徴解説や、実際にSV-100Bを用いたデモなどが行われた。

 SV-100Bは、9.7型の反射型電子ペーパーを採用した携帯型ディスプレイ端末で、持ち運びやすいA5サイズの本体や、視認性の高い9.7型(202.8ミリ×139.4ミリ)のディスプレイ、約83時間(5000ページ表示)の連続駆動が可能なバッテリー性能などが特徴。表示解像度は約150dpi(1200×825ドット)で、4階調のグレースケール表示をサポートする。ストレージにはmicroSDカード(最大2Gバイト)を使用し、内蔵Bluetooth経由でスマートフォン内のコンテンツを表示することもできるという(現時点ではWindows Mobile端末)。

 SV-100Bで閲覧できるファイルは独自フォーマットのため、事前にPC上で変換してからSV-100Bへ転送する必要がある。もっとも、SV-100BとPCをUSBで接続し、転送したいファイルを指定すれば、フォーマットはプリンタドライバによって自動的に変換される仕組みだ。製品説明を行ったブラザー工業NID開発部プロダクトマネージャーの藤井則久氏は、「ブラザーはプリンティングデバイスを提供するメーカーなので、SV-100Bでも文書を印刷するときと同じような手軽さを実現した」と使いやすさに自信を見せる。

 また、2GバイトのmicroSDにA4サイズで約1万枚の文書を保存できるほか、ディスプレイ上の表示切り替えに要する時間が約1秒、起動時間が約5秒という点を挙げ、「PCは起動が遅いので電車の中などではすぐに使えない。(SV-100Bは)電源を押せば5秒で立ち上がる作りになっており、携帯性の大きなポイントであると思う」と語り、モバイル利用時のPCに対するアドバンテージをアピールした。さらに、カバンへの収納などを考えてディスプレイ部をアクリル製のパネルで覆ったり、「少々の衝撃を与えても問題のない、“ある程度”の堅牢性」(同社)も確保したという。このほか、紛失や盗難などに備えてデータを暗号化しておくセキュリティ機能も持つ。

SV-100B(写真=左)と、「Brother World JAPAN 2008」に参考出品されていた試作機(写真=中央)を比較。試作段階では厚さ12.4ミリ、重量380グラムとアナウンスされていたが、製品版では残念ながら15.5ミリと厚みが増し、重量も600グラムと重たくなった。また、ボタンの種類やレイアウトなどがまったく異なり、ユーザーインタフェースを作り直したのが分かる。反射型の電子ペーパーは、暗所で見えない半面、日光下での視認性が非常に高いが、「ディスプレイを保護するため」(同社)のアクリル製パネルで覆われているため、外光の映り込みも見られた(写真=右)

2GバイトのmicroSDにA4サイズの文書を約1万枚保存可能。なお、容量2Gバイトまでしかサポートしていないのは、開発のタイミングとメモリの急速な下落のため。同社は「将来的な対応は検討しているが、メモリは差し替えて使用できるし、2Gバイト(1万枚)でも実用上問題ないと考えている」とコメントしている(写真=左)。右側面上部にACアダプター用端子とmini USB、独自規格の端子が並んでいる。スペック表にも記載されていない一番下の端子は「現段階では使用しないが、将来的にはPC接続による充電や、ほかのデバイスとの接続など、拡張用ポートとして利用する可能性がある」という(写真=中央)。microSDスロットはバッテリーと同じく背面カバー内にある。バッテリー容量は3.7ボルト/1100mAhと小さいが、電力消費は表示を切り替える時にだけしか発生しないため、「2週間充電せずに毎日500ページくらい読める」(同社)程度の長時間駆動を実現した(写真=右)

 SV-100Bは、膨大なマニュアルを持ち歩く必要のあるオンサイトサポートサービスや、医療カルテなどの分野での導入が想定されている。主にB2Bでの販売チャンネルを通じて展開し、初年度5000台の販売をめざす。なお、カラー表示に対応した製品の投入時期に関しては、「早ければ1年くらいかもしれないが、現時点では(表示速度と品質の面で)製品化に耐えうるものがない」とし、電子ペーパーメーカーによる開発を待っている状態だという。

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