4月28日に、AMDからRadeon HD 4770が発表された。すでにRadeon HD 4770を搭載したグラフィックスカードがPCパーツベンダー各社から発表されており(詳細は、こちらの「メインストリーム向けGPU「Radeon HD 4770」搭載グラフィックスカードが各社より発表」を参照のこと)、その実売価格は1万円台の前半となっている。
ハイエンドからメインストリームの間を担うモデルであるため、型番で見れば4800シリーズのひとつ下であるが、実質的には、これまで100ドル前後のセグメントをカバーしてきたRadeon HD 4830を置き換えることになる。それ以上に、TSMCの40ナノメートルプロセスルールをいち早く導入した第2世代のRadeon HD 4000シリーズとしても注目される。
以下に、現行のRadeon HD 4000シリーズとRadeon HD 4770の仕様を比べてみる。
| Radeon HD 4000シリーズの主な仕様 | ||||
|---|---|---|---|---|
| GPU | Radeon HD 4770 | Radeon HD 4850 | Radeon HD 4830 | Radeon HD 4670 |
| 製造プロセス | 40ナノメートル | 55ナノメートル | 55ナノメートル | 55ナノメートル |
| トランジスタ数 | 8億2600万個 | 9億5600万個 | 9億5600万個 | 5億1400万個 |
| Stream Processors | 640 | 800 | 640 | 320 |
| コアクロック | 750MHz | 625MHz | 575MHz | 625MHz |
| メモリ | GDDR5:512MB | GDDR3:1GB/512MB | GDDR3:512MB | GDDR3:1GB/512MB |
| メモリバス幅 | 128ビット | 256ビット | 256ビット | 128ビット |
| メモリクロック | 800MHz | 1000MHz | 900MHz | 1000MHz |
| メモリ帯域幅 | 51.2GB/sec | 64GB/sec | 57.6GB/sec | 32GB/sec |
| ROPs | 16 | 16 | 16 | 8 |
| テクスチャユニット | 32 | 40 | 32 | 32 |
| 最大消費電力 | 80ワット | 110ワット | 110ワット | 59ワット |
現行のRadeon HD 4000シリーズでは、4800シリーズのコアと4600シリーズのコアでラインアップが分かれている。この区別を分かりやすく示しているのがメモリバス幅だ。4800シリーズは256ビット、4600シリーズは128ビットとなっており、128ビットのメモリハズ幅を持つRadeon HD 4770は4600シリーズの発展型と捉えることができる。ただし、そのほかのスペックは4600シリーズから大幅に引き上げられている。まず、ストリームプロセッサ数が640基という点に注目したい。これは、Radeon HD 4670の2倍で、Radeon HD 4830と同数というところがRadeon HD 4770の位置付けを考えるうえで重要だ。
スペック面でもう1つ注目したいのが、搭載するグラフィックスメモリだ。Radeon HD 4770は、Radeon HD 4800シリーズですら上位モデルでしか採用していないGDDR5メモリに対応する。800MHzというのは比較的低クロックと言えるが、メモリ帯域幅は51.2Gバイト/秒となり、これもRadeon HD 4830の帯域幅である57.6Gバイト/秒に近い値になっている。

ディスプレイ出力はDVI-I×2基で、変換アダプタによるHDMI出力にも対応している。リファレンスカードに搭載されたクーラーユニットとは別に、店頭販売される製品の多くは簡素化したケース対流式の2スロット厚ファンを採用する見込みだ(写真=左)。補助電源コネクタは6ピン1基で、CrossFireX用のコネクタを2基備える(写真=右)

GPU-Zで取得したRadeon HD 4770の情報によると、ダイサイズは137平方ミリと表示されている。また、ROPsは8基と表示されているが、AMDの資料では16基とされている(写真=左)。同じくGPU-Zで取得したRadeon HD 4830の情報。当初、ストリームプロセッサが560基と認識されるカードだったため、BIOS更新を行い正規の640基に修正している(写真=中央)。こちらは、GPU-Zで取得したRadeon HD 4850の情報(写真=右)機能面では、Radeon HD 4000シリーズと同様に、HD動画の再生支援と高画質化機能を持つ「UVD2」を搭載し、GPGPUを利用する「ATI Stream」に対応する。今後登場する予定のOpen CLアプリケーションを使うことでGPUを演算プロセッサとしても運用できることになる。GPGPU分野に関しては、NVIDIAのCUDAが先行して、その後をATI Streamが追いかけている状況にある。しかし、ATI StreamはOpen CLというオープンスタンダードをトリガーにして巻き返しを図っている。
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